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山野の花シリーズ58 クサノオウ、オドリコソウ・・・

INDEX クサノオウ、コメナモミオドリコソウキバナアキギリハナタデニラ
クサノオウ(草の黄、ケシ科)

 花の色は鮮やかな黄色で、花弁は4枚、清楚で美しい。花は秋に返り咲きがみられるが、上の写真は、9月に返り咲きした花を撮影したもの。葉は羽状に1、2回深く切れ込み、互生する。アルカロイドを含む毒草だが、乾燥させて鎮痛、解毒薬として使われている。茎を折ると黄色い汁がでるが、虫刺されやイボ、腫物などに塗る民間薬として知られる。
花 期 5~9月 草丈30~80cm
名前の由来

 茎を切ると、黄色い汁が出ることから、「草の黄」と書く。また、皮膚病の湿疹「くさ(瘡)」を治す薬効があることから、「くさ(瘡)の王」と呼ばれたとの説がある。
薬 草

 古くから薬草として使用されてきた歴史がある。夏から秋にかけて全草を刈りとり、天日で乾燥させる。これを生薬で、「白屈菜(はっくつさい)」という。しかし、毒性が強く、多量に服用した場合は、頭痛、冷汗、悪心、血圧降下、目眩などの副作用が出るので、家庭での内服は絶対にしてはいけないと言われている。また、誤食すると、皮膚同様に消化器内の粘膜がただれ、時には死に至ることがあるという。
花言葉 思い出、私を見つけて、枯れた望み
コメナモミ
コメナモミ(小雌菜揉み、キク科)

 古い時代に中国から渡来した帰化植物。山野の荒れた所や山道のそばに多く見られる。メナモミに似ているが、全体的に毛が少なく、ほっそりしている。頭花には黄色の筒状花を咲かせる。花の周りに突き出た5個の総苞片が衣服によく粘りついてくる。葉は、10cmほどの卵円形で先が尖り、縁に不規則な鋸歯があり、3本の葉脈が目立つ。
花 期 9~10月 草丈50~100cm
名前の由来

 ナモミとは、漢名が「菜揉み」で、奈良・平安時代の古代の強壮薬「神麹(しんき)」をつくるときに、米麹、アズキ、カワラニンジンなどと、オナモミやメナモミの未熟果を混ぜて、揉んで発酵したもの。この揉むことから、「菜揉み」と名付けられた。雄菜揉み(オナモミ)より、小型であることから、「小雌菜揉み」と名付けられた。
薬 草

 開花期に全草を刈り取り、良く洗ってから、刻んで陰干しして乾燥させたものを生薬名で「しょうきれん」という。中国では腫毒,中風,血圧降下に効果があるとされている。
花言葉 人懐っこい(粘腺が多くべたつく)
オドリコソウ
オドリコソウ(踊子草、シソ科)

 花の色は二色で、東日本には白花が多く、西日本には淡い紅紫色の花が多いといわれている。花は、上部の葉の脇に輪生状につける。平地の野原や道端に普通に生えるが、標高の高い山にも生える。水平分布、垂直分布ともに幅が広い。花を抜き取って吸うとほのかに甘い。
花 期 4~6月 草丈30~50cm
名前の由来・・・花の形が、笠をかぶった踊り子の姿に似ていることから、「踊子草」と書く。
キバナアキギリ
キバナアキギリ(黄花秋桐、シソ科)

 茎先に花穂をつくり、黄色い唇形の花が段になってつく。庭で栽培するサルビアの仲間で、花の形がよく似ている。花には巧妙な仕掛けがあり、蜂が蜜を吸いに花に潜り込むと、確実に花粉が付着する構造になっている。山地の林縁や林下、山麓の石垣などに生え、高さは40cmほど。葉は三角状の鉾形で、対生する。葉の縁には鋸歯がある。春の新芽は、山菜として利用される。
花 期 8~10月
名前の由来・・・秋に咲いて花の色が黄色く、葉の形が桐に似ていることから、「黄花秋桐」と書く。  
山 菜

 春の若芽を採取して食用にする。そのまま天ぷらに。塩を少し入れて、茹でて水にさらしてから、和え物、おひたしに。
花言葉 華やかな青春
ハナタデ
ハナタデ(花蓼、タデ科)

 タデの仲間では一番小さく繊細である。花は、まばらにつき、一つの花の長さは2~3mmと小さい。ほとんどがツボミのような形をしている。タデの中では色が淡く白っぽく見える。茎は細く、葉は互生し、先端が急に細くなる。
花 期 8~10月 草丈30~60cm
名前の由来

 梅の花に似ていることから、「花蓼」と書くと言われているが、見た目の印象は全く違うように見える。むしろ、山野の草藪などに生えるから、「ヤブタデ」と呼ばれる別名の方が理解しやすい。また、花以外の言葉が見つからず、ハナタデになったという説もある。
ニ ラ
ニラ(韮、ユリ科)

 ニラは万葉の時代から食卓に欠かせない野菜だが、今では山野のあちこちに自生している。ニラは、ネギの仲間で、扁平な葉は一茎から5~6本出てその中心から葉よりも長い花茎を出し、先端に20個前後の六弁の小花を半球状につける。柔らかい時の葉と開花前の花茎を食用にする。
花 期 8~10月
名前の由来

 古名はカミラ、コミラ、ククミラと呼ばれていた。ニンニクの古名の「オオミラ」に対してニラを「コミラ」と呼び、それが簡略されて「ミラ」、それが転訛して「ニラ(韮)」となった。
薬 効

 玉ねぎやニンニクと同じく、硫化アリルを含み、スタミナ増強、下痢、腹痛、便秘、胃腸を整える効能がある。栄養面でも、ビタミンA、B2、C、カルシウムを多く含む。そのため、血液循環をよくし、貧血、鼻血、生理痛などにも効果がある。特に虚弱体質、胃腸の具合がよくない人は、常備薬として常に食べる習慣をつけるとよいと言われている。料理は、みそ汁、みそ和え、ニラがゆ、ニラ雑炊、肉野菜炒め、ニラレバー炒めなど。
参 考 文 献
「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
「野草の名前 夏」(高橋勝雄、山と渓谷社)
「夏の野草」「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
「花ごよみ花だより」(八坂書房)