山野の花シリーズ65 クリンソウ、サクラソウ
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- クリンソウ(九輪草、サクラソウ科)
山地の沢のほとりなど、根元に水が流れるような多湿の場所を好んで生える。時に中州で群生することもある。庭などにもよく植えられている。葉は、根元に集まって放射状に広がり、その中心から太い花茎を伸ばし、上へ上へと咲きながら花茎を伸ばしていく。ハート形の淡い紅色から深い紅色の花びらは5枚。果実は球形の蒴果。日本に自生するサクラソウの仲間では、最も大きい。北海道、本州、四国に分布。
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- 名前の由来・・・花が4~5輪と段咲きする姿を、五重塔の先端に細長く伸びる九輪に見立てて、「九輪草」と書く。日光の九輪沢で発見されたので、九輪草という説もある。
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- 葉・・・根元に集まってロゼット状で全て根生する。幅が広い長楕円形で鋸歯がある。
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- 花・・・株の中心から長い花茎を伸ばし、下から順に咲き、2~5段に花をつける。
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- 花アップ・・・花冠は淡紅色から深紅色で、中心部が濃くなる。先が5裂し、横向きに平開する。花冠の裂片の先は浅くへこみ、基部は筒状。ガクの先は5裂し、先が尖る。
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- 俳句
九輪草四五りん草でしまひけり 一茶
九輪草茎まつすぐに花の塔 池部久子
九輪草咲くあたり水にじみ出づ 北原東洋男
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- サクラソウ(桜草、サクラソウ科)
江戸時代を代表する俳人・小林一茶が「我国は草もさくらを咲にけり」と呼んだほど、桜の花に似た淡い紅色の花を咲かせる。当時からサクラソウの愛好者が増え、多種多様な栽培品種がつくられ、現在400種ほどの品種がつくられているという。湿り気のある野原や山の草原に群生する。葉は、縮れてシワが目立ち、表面に粗い毛が生えている。北海道南部、本州、九州に分布。
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- 名前の由来・・・花がサクラ(山桜)に似ているので、「桜草」と書く。
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- 葉・・・楕円形で、葉脈がへこんでシワ状になり、縁には浅い切れ込みがある。
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- 花・・・株の基部から花茎を伸ばし、先端に淡い紅色の花を放射状につける。花冠の先は5深裂して平らに開く。先は2浅裂する。
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- 白花・・・突然変異で現れた色素のないタイプ。花弁の色や切れ込み方に変異が多い。
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- 園芸品種・・・古くから観賞用に栽培され、橙ピンク色や白色、濃いピンク色、赤、しぼり花、緑斑入りなど。花の形も、大輪、小輪、切れ込み弁、抱き咲き、玉咲きなど多彩。
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参 考 文 献 |
- 「食草・薬草・毒草が分かる野草図鑑」(金田洋一郎、朝日新聞出版)
- 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
- 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
- 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
- 「山渓名前図鑑 野草の名前/春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
- 「江戸草花図鑑」(岩槻秀明、エクスナレッジ)
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