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山野の花シリーズ66 タカネスミレ、ミヤマスミレ

  • タカネスミレ(高嶺菫、スミレ科)
     秋田駒ケ岳、岩手山、焼石岳、早池峰山の薬師岳など、東北地方の高山帯の砂礫地に生える多年草。葉は厚く、光沢があり、キバナノコマノツメよりも濃い黄色で、やや広い花弁がある。秋田駒ケ岳では、大焼砂や焼森周辺などでコマクサの咲く前に、大きな群落が一面黄色に染める。 
  • 名前の由来・・・高山に生えるスミレの意味で、「高嶺菫」と書く。
  • 花期・・・6~7月 
  • 草丈・・・根茎は横に這い、長さ4cmほどになる。高さは5~10cm。風当たりが強く、環境条件の悪い礫地では数センチと小さい。 
  • ・・・腎円形から腎心形で、縁に波状の鋸歯がある。根生葉は厚く、表面は濃緑色で光沢がある。葉脈は両面ともやや隆起し、基部に近い葉の縁と脈上には短毛がある。 
  • ・・・濃い黄色。唇弁は大きく、暗紫色の筋がある。 
  • コマクサとタカネスミレ・・・コマクサの咲く前に満開となるが、稀にコマクサとの競演を見ることができる。 
  • 大群落・・・地下茎で増えるため、しばしば群生し、時には大株をつくる。秋田駒ケ岳では、花の盛りになると壮観である。 
  • ミヤマスミレ(深山菫、スミレ科)
     山地帯や亜高山帯の林縁や草地に生える多年草。根を伸ばして増えるため群生することも多い。普通赤紫色だが、稀に見かける白花をシロバナミヤマスミレという。また葉の葉脈に沿って白い斑紋があるものを、フイリミヤマスミレという。花の高さは、葉と同じくらいか、葉よりも低い位置で咲く。 
  • 名前の由来・・・高山に生えるスミレの意味で、「深山菫」と書く。 
  • 花期・・・5~6月。秋田駒ケ岳では、6月上旬~下旬。 
  • 草丈・・・5~10cm 
  • ・・・根生葉は薄く、先は鋭く尖り、基部は深く湾入する。耳状に張り出した部分がくっつき、互いに重なる場合もある。縁に粗い波状の鋸歯がある。 
  • ・・・淡紅紫色の花を1個つける。距は長さ6~8mmと長い。 
参 考 文 献
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の高山植物」(山と渓谷社)
  • 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
  • 「夏の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
  • 「フラワートレッキング 秋田駒ヶ岳」(日野東・葛西英明、無明舎出版)