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山野の花シリーズ67 サワオグルマ、ミヤマオグルマ、キオン

  • サワオグルマ(沢小車、キク科)
     かつては田の畔道など至る所で見られたが、一時余り見られなくなった。その後、休耕田が増えるにつれて再び見られるようになった。沢沿いや水辺などの湿地帯に黄色一面になるほど群生し、遠くからでもよく目立つ。高さは80cmほどにもなり、茎の毛が少なく緑色をしている。本州以南に分布。(写真:サワオグルマとコウゾリナの群落/男鹿市)
  • 名前の由来・・・水辺や沢に咲き、花の形が小さい車のようだから、「沢小車」と書く。 
  • 古くから親しまれた野草・・・平安初期の「本草和名」という本をはじめ、江戸時代の「草木図説」のほか7書に掲載されている。昔から身近な野草として親しまれていたことが分かる。
  • 花期・・・4~6月
  • 草丈・・・50~80cm
  • 根生葉・・・葉柄が長くヘラ状披針形で、長さ12~25cm。
  • 上部の葉・・・葉柄がなく、茎を抱く。
  • ・・・黄色の頭花で6~30個つき、総苞片は広披針形であることが特徴。 
  • 頭花・・・花の外側の花びらをばらすと、舌状花だと分かる。真ん中の半球形に盛り上がった部分は筒状花。
  • 果実・・・花の後、白い冠毛が伸びる。その根元に無毛の種子(そう果)がついている。
  • 県内の生育場所・・・日当りの良い山野の湿原、田の畔、放棄水田などに大きな群落をつくる。
  • 里山の田んぼを黄色に染める花々・・・手前の畦の黄花はオオジシバリ、その奥がサワオグルマとコウゾリナ。その奥の花園を拝みたくて、ぬかるんだ畦を歩きながら近づいて撮った写真が次の写真。
  • 一面黄色に染めるキク科植物の競演(コウゾリナとサワオグルマの群生)
  • 食用・・・春菊のような香りと優しい味を楽しめる。若芽や花の開く前までのやわらかい茎全体を付け根から摘み取る。開花していたら花も利用できる。そのまま天ぷらが美味しい。茹でてからゴマ油で香りづけした醤油で和えたり、マヨネーズ和え、酢の物、汁の実など。
  • 薬効・・・花を乾燥させサワオグルマ茶に、あるいは紅茶こしのネットに約半量の乾燥花を入れて熱湯を注ぎ紅茶の用に飲用すると、利尿作用がある。
  • ミヤマオグルマ(深山小車、キク科)
     高山帯に生え、花の形が小車のような高山植物。利尻岳、ポロヌプリ山、夕張岳など、北海道のごく限られた高山帯の草地や礫地に生える。高さ10~30cmになり、白いクモ毛が多いので、全体が白っぽく見える。頭花は直径2~2.5cmで3~10個が散状につく。舌状花は7~8個あり、黄色で雌花。筒状花は、橙黄色で両性花。 
  • 花期・・・7~8月 
  • キオン(黄苑、キク科)
     北海道から九州の山地帯~亜高山帯のやや日当りの良い草地に生える。茎は直立して太く、葉は互生し、葉柄はないかあっても短く、やや茎を抱く。秋田では、乳頭山や朝日岳、薬師岳、焼石岳などで見られる。 
  • 名前の由来・・・紫色の花をつけるシオン(紫苑)に対して、黄色の花をつけることから、「黄苑」と書く。 
  • 花期・・・7~9月、草丈50~100cm 
参 考 文 献
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の高山植物」(山と渓谷社)
  • 「ハイキングで出会う花ポケット図鑑」(増村征夫、新潮社文庫)