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山野の花シリーズ79 ミヤマリンドウ、エゾリンドウ

INDEX ミヤマリンドウ、エゾリンドウ
  • ミヤマリンドウ(深山竜胆、リンドウ科)
     高山帯の草地に生える多年草で、高さ5~10cmほどになる。花は美しい青紫色で、茎や枝の先に1~5個つける。一般に曇りや雨の日は花が閉じているとされるが、たまに薄日が射すような明るい曇天でも咲いている。秋田駒ケ岳では、新道コースの上部から現れ、阿弥陀池周辺などで見られる。 
  • 名前の由来・・・高山に生える竜胆(リンドウ)の意味で、「深山竜胆」と書く。なお竜胆の由来は、若い根茎や根を乾燥させたものを漢方で「竜胆」と称することから。 
  • 県内の生育地・・・八幡平、乳頭山、秋田駒ケ岳、鳥海山、栗駒山などの高山帯の草地 
  • 花期・・・7~8月、草丈5~10cm 
  • 茎葉・・・広披針形で、基部は急に細く鞘状になって対生する。 
  • ・・・茎や枝の先に青紫色の花を1~5個つける。花冠は筒状鐘形で5裂する。花の色が薄く帯紫色のものをウスイロミヤマリンドウという。白花はシロバナミヤマリンドウという。 
  • ミヤマリンドウ:花粉を大事にする戦略・・・山の天候は変わりやすい。俄かに霧がかかり気温が低下すると、ミヤマリンドウは一斉に花びらが閉じる。その直後雨が降り出した。花びらが開いたままだと、雨で大切な花粉を流されてしまう。ミヤマリンドウは、気温低下から雨を予測し、花びらを閉じて花粉をしっかり守る知恵がある。 
  • 雨が上がると、すかさず花びらを開く。まもなく昆虫たちがやってくる。こうして花びらの開閉は一日に何度も繰り返される。 
  • エゾリンドウ(蝦夷竜胆、リンドウ科)
     山地の湿地に咲くエゾリンドウは、花つきが良く、園芸の母種になっている。だから花屋で売られているリンドウは、本種の栽培品が多い。ちなみに由利本荘市特産「鳥海りんどう」は、エゾリンドウの高山型・エゾオヤマリンドウが原種である。北海道と福井県以北の山地帯~亜高山帯の草地や湿地の周辺に生える。茎は太く、草丈は80cmほどになり、何段にも花を咲かせる。数本がかたまって生えるのが普通で、時に群生することもある。ふっくらとした花は、長さが5cmほどにもなる。茎は赤みを帯びることが多い。 
  • 名前の由来・・・北の蝦夷地域に多く生えるリンドウだから、「蝦夷竜胆」と書く。
  • 花期・・・8~10月 
  • 草丈・・・30〜100cm
  • ・・・濃紫青色~淡い紫青色で、何段にも花を咲かせる。花冠は浅く5裂する。ガク片は不ぞろい。
  • 花屋で売られている栽培リンドウ 
参 考 文 献 
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「フラワートレッキング 秋田駒ケ岳」(日野東ほか、無明舎出版)
  • 「高山植物ポケット図鑑」(増村征夫、新潮文庫)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の高山植物」(山と渓谷社)
  • 「秋の野草」(永田芳男、山と渓谷社)