山野の花シリーズ86 ネジバナ、タネツケバナ
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- ネジバナ(捩花、ラン科)
最も身近に見られる野生ラン。庭の芝生から山の草原まで、日当りの良い草地であれば至る所に生えている。排気ガスにも強く、道路周辺に大群落することもある。高さが30cmほどになり、らせん階段のようにねじれて花がつく。株によってねじれ具合が様々で、全然ねじれないものもある。花の色は淡い紅色だが、白花も見られる。北海道から九州に分布。
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- 名前の由来・・・花がらせん状にねじれてつくことから、「捩花(ねじばな)」と書く。
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- 別名モジズリ・・・花穂がねじれ、もじれている姿から、別名モジズリとも呼ばれている。花のよじれは一定ではなく、左巻きも右巻きもある。
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- 花茎・・・淡い緑色で、上部がねじれるが、右巻き、左巻きのどちらもある。
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- 花・・・下から順に咲く。淡い紅色の小花が多数咲く。小さな花だが、よく見ると立派な美しいランの花の形をしている。
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- 花粉塊
蜜を吸っているハチの口には、白い小さなドロップ形の「花粉塊」がついている。昆虫の真似をして、花の中に楊枝の先をそっと入れてみると、簡単に花粉塊がついてくるという。
花の入り口の天井には、雄しべと雌しべが合体したズイ柱がある。その裏側に、瞬間接着剤付きの花粉塊が隠れている。花に潜って蜜を吸ったハチは、花から出ようとすると、ズイ柱をこすり、頭に粘着体を貼り付けられる。後ずさりすると、粘着体につながっている花粉塊も一緒に引きずり出される。頭に白い花粉塊を乗せたまま、別の花へ飛ぶ。ハチは、露出した雌しべのネバネバをこすりながら入っていく。この時花粉塊の袋が破れ、中から花粉があふれ出て雌しべにへばりつき、受粉が成立する。
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- タネツケバナ(種漬花、アブラナ科)
花は小さく目立たないが、どこの田んぼでも見られる水田雑草の一つ。水田に多いが、畑や道端などにも生えている。花の最盛期には、高さ30cmほどになり、多数の枝を分けて真っ白に咲く。秋に芽生えて冬を越し、早春から開花する。若芽は食用になる。日本全土に分布。
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- 名前の由来・・・種もみを水に漬けて苗代の準備をする頃に花を咲かせることから、「種漬花」と書く。
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- 花・・・白色の小さな十字花で、10~20個を総状花序につける。
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- 花と昆虫・・・ハナアブやハナバチのほか、チョウ類もよく訪れるが、細い口吻を差し込むだけなので花粉を運ぶ確率は低いと言われている。
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参 考 文 献 |
- 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
- 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
- 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
- 「見わけがすぐつく野草・雑草図鑑」(成美堂出版)
- 「したたかな植物たち 春夏篇」(多田多恵子、ちくま文庫)
- 「POINT図鑑 花の顔 実を結ぶための知恵」(田中肇ほか、山と渓谷社)
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