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山野の花シリーズ89 シュンラン、カキラン

  • シュンラン(春蘭、ラン科)
     最も一般的な春に咲く野生ランの一つで、常緑の葉を広げる。主に里山や人里に近い山地の雑木林などに自生する。手打ちうどんのような太い根がある。花芽は、前年の秋にできていて、半透明な膜質の鱗片に包まれている。花には、ほのかな芳香があり、唇弁に赤紫色の模様がある。観賞用に栽培もされている。かつて塩漬けにした花は、めでたい席で使う蘭茶にしていた。古くから親しまれてきた植物で、ジジババ、ホクロなどの地方名がある。 
  • 名前の由来・・・春に咲くランの意味で、「春蘭」と書く。 
  • 花期・・・4~5月 
  • 草丈・・・10~25cm
  • ・・・常緑の葉は線形で硬く、縁がザラつく。 
  • ・・・茎の先に1個の淡い黄緑色の花をつけ、横向きに開く。
  • 花アップ・・・花弁に見える3枚のガク片は黄緑色。唇弁は、白色に濃い赤紫色の模様がある。 
  • 栽培・食用・・・東洋ランの一つとして観賞用に栽培される。またツボミや花をサラダの彩として生食するほか、天ぷらや汁の実、酢の物にして食べる。開きたての若い花は塩漬けにする。その塩漬けにした花に湯を注いで香りを楽しむ蘭茶は、古くから慶事の際にお茶として用いられた。 
  • 薬効・・・ヒビ、アカギレの特効薬。地下茎を粉末にし、これを飯粒に混ぜて練り合わせたり、焼いたりしたものを、布に包み絞って出た粘液をヒビやアカギレに塗布する。 
  • カキラン(柿蘭、ラン科)
     根茎は横に這い、節から根を出す。山野の湿地に多く、数本がまとまって生える。山の草原などにも生えるが、1本ずつ生えることが多いという。高さ50cmほどになり、10個前後の花を咲かせる。葉は5~10枚つき、中ほどの葉が大きく、基部は茎を抱く。北海道から九州に分布。 
  • 名前の由来・・・柿色の花を咲かせる蘭の意味で、「柿蘭」と書く。 
  • 花期・・・6~8月 
  • 草丈・・・30~70cm 
  • ・・・橙黄色で、茎の先に総状に10個ほどつく。唇弁の内側に紅紫色の斑紋があり、関節によって上下2唇に分かれる。 
参 考 文 献
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
  • 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
  • 「見わけがすぐつく野草・雑草図鑑」(成美堂出版)