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山野の花シリーズ93 アマドコロ、ナルコユリ

  • アマドコロ(甘野老、ユリ科)
     若葉は山菜に、地下茎は薬用に利用される。ナルコユリに似ているが、本種は茎に6本の稜があり、切り口が6角形なので、触ると角ばった感じがするのに対して、茎が丸いので簡単に区別できる。高さが60cmほどになり、茎は放物線を描くように伸び、葉の付け根に筒状の花を1~2個ずつ吊り下げる。花は白だが、先端部分が緑色になる。果実は丸く、秋に青黒く熟す。県内では、大型のオオアマドコロがほとんどと言われている。北海道から九州に分布。 
  • 名前の由来・・・根を掘ると、横に伸びるヤマノイモのような根茎がある。この根がトコロ(野老)に似て、甘くて食べられることから、「甘野老」と書く。 
  • 花期・・・4~5月 
  • 草丈・・・30~80cm 
  • ・・・6本の稜があり、切り口は六角形になるので、見た目も角ばっている。
  • ・・・長楕円形で、ほとんど無柄で互生し、葉の裏面は粉白緑色を帯びる。 
  • 斑入りの葉
  • ・・・葉腋に白い筒状の花が1~2個ずつ垂れ下がってつき、先は緑色で6裂する。花と花柄の接点に突起はない。
  • 山菜・・・葉が拓く前の若芽をナイフで切り採り、下側の苞を外して利用する。そのまま天ぷらやフライ、さっと茹でておひたしや和え物に。味噌ともよく合う。初夏の咲く花も食用になる。花はさっと湯にくぐらせて、酢の物や寒天寄せに利用する。 
  • 薬用・・・干した根茎を生薬名「イズイ」または「ギョクチク」といい、滋養強壮作用があるという。 
  • ナルコユリ(鳴子百合、ユリ科)
     アマドコロに似ているが、本種は茎が丸く、筒状の花が3~5個ほどと花つきが良く、葉はこの仲間のうちで最も細いことで区別できる。また葉の中央に白い筋が入ることも多い。春の若芽は山菜に、根茎は薬用にする。初夏の花も食用になる。北海道から九州に分布。 
  • 名前の由来・・・花が並んで垂れ下がって咲く様子を、田んぼの鳥を追い払うのに下げる鳴子に見立てて、「鳴子百合」と書く。 
  • 花期・・・5~6月、草丈50~90cm 
  • ・・・稜はなく円柱形で、上部は弓状に垂れ下がる。 
  • ・・・細長い披針形で、先は尖る。鋸歯はなく、互生する。 
  • ・・・筒状の花が3~5個垂れ下がってつく。花は緑白色で、先端は緑色。花被は6裂する。花と花茎の接点に突起がある。 
  • 生薬名「黄精」・・・根茎を乾燥させ、アルコールなとに漬けて服用される民間薬として古くから利用されている。江戸時代後期、砂糖漬けにされたものが売り出されたとたん、遊郭の遊女たちが競うように買い求めたという。それほど強壮効果が高いことで注目されたらしい。 
参 考 文 献
  • 「山菜ガイド」(今井國勝・万岐子、永岡書店)
  • 「食草・薬草・毒草が分かる野草図鑑」(金田洋一郎、朝日新聞出版)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
  • 「身近な雑草のふしぎ」(森昭彦、サイエンス・アイ新書)