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山野の花シリーズ97 ハコベ、サワハコベ

  • ハコベ(繁縷、ナデシコ科)
     道端や空き地、畑など至る所に生える。春の七草のひとつだが、コハコベを本種とする図鑑やミドリハコベを本種とする図鑑もある。花の雌しべの花柱が3つに分かれる。コハコベの茎は淡い紫色だが、ミドリハコベは淡い緑色をしている。ここでは区別せずに記載する。ハコベの仲間は、花弁が5枚だが、深く2裂するので10枚のように見えるのが特徴。よく似たウシハコベは大形で、花柱が5つに分かれる。日本全土に分布。 
  • 名前の由来・・・古名をハクベラといい、「絹糸のような糸を引き、群がり繁る草」を意味し、それがハコベになった等の説がある。漢名は「繁縷」。 
  • 春の七草の「はこべら」は本種 
  • ミドリハコベ・・・茎が淡い緑色をしている。
  • ウシハコベ(上写真)との見分け方・・・花柱の数で見分ける。ウシハコベは花柱が5本
  • ハコベの花柱・・・3本
  • 花期・・・3~9月 
  • 草丈・・・10~30cm 
  • ・・・卵形で互生し、全縁。下部のものは柄があり、上部に柄はない。 
  • ・・・白い花弁は5個で、深く2裂するので10個に見える。雌しべは1個で、花柱が3つに分かれる。雄しべは、コハコベは1~7個、ミドリハコベは5~10個。 
  • 食用・・・特有の青臭さがあるので、細かく刻んでゴマやサンショウ、柚子など香り高いものと合わせるのがコツ。塩をひとつまみ入れた熱湯でさっと茹で、水にさらし、和え物、汁の実、バター炒め、刻んで溶き卵に混ぜてオムレツなど。 
  • 薬用・・・開花期に地上部を採取し、乾燥させて粉末にしたものを、生薬名「繁縷」といい、産後の浄血薬、催乳薬、胃腸薬や湿疹などの皮膚炎の治療薬として用いられてきた。また同粉末に塩を混ぜてハコベ塩をつくり、これを指に付けて、歯茎をマッサージすることによって、歯茎からの出血、歯槽膿漏の予防にも用いられてきた。 
  • サワハコベ(沢繁縷、ナデシコ科)
     花弁は5枚で浅く2裂し、ハコベのように深く裂けない。茎は緑色で柔らかく、葉は柄があり対生する。余り日の当たらない林下の湿った場所に生える。草丈は5~30cm。
  • 名前の由来・・・湿地に生え、ハコベに似ていることから、「沢繁縷」と書く。
  • 花期・・・5~7月
参 考 文 献
  • 「食草・薬草・毒草が分かる野草図鑑」(金田洋一郎、朝日新聞出版)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
  • 「山菜ガイド」(今井國勝・万岐子、永岡書店)
  • 「身近な野の花のふしぎ」(森昭彦、サイエンス・アイ新書)
  • 「山渓名前図鑑 野草の名前/春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
  • 「江戸草花図鑑」(岩槻秀明、エクスナレッジ)