山野の花シリーズ98 ハハコグサ、ノボロギク
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- ハハコグサ(母子草、キク科)
茎や葉の両面にびっしり綿毛が生えているので、全体が白っぽく見える。春の七草のオギョウ(御形)とかゴギョウと呼ばれるのは本種で、七草粥に入れたりする。江戸時代までは「草餅」と言えば、本種の葉を摘んで作っていた。後に緑色の鮮明なヨモギがこれに取って代わり、今では草餅に用いることはほとんどなくなった。花びらがないので、花の最盛期になってもツボミのように見える。日本全土に分布。
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- 名前の由来・・・茎や葉に綿毛が密生し、花の冠毛が「ほおけ立つ」ことから「ホオコ」と呼ばれ、これが転訛したとの説や、株の広がりを「這う子」とみなし「ハウコ」が転訛したとの説など諸説ある。
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- 茎葉・・・茎は根元で枝分かれし、葉は倒披針形で互生し、縁はゆるく波打つ。両面にびっしり綿毛が生えている。
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- 花・・・茎の先端に小さな黄色い頭状花が固まってつく。頭状花は、中心部に筒状花で先が5裂する数個の両性花と、その周りに筒状花で先が3裂する多数の雌花がある。
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- 果実・・・冠毛のある細かい果実は、風で遠くに飛ばす
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- 山菜・・・早春、若芽を根元から切り取り、良く洗う。塩一つまみ入れた熱湯で茹でて水煮さらす。繊維質が強いので細かく刻み、和え物や草団子など。茹でずに天ぷらにする。
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- 薬草・・・開花期に全草を採取し、洗ってから日干しで乾燥させる。咳や痰が出る時に煎じて飲んだり、煎じた液でうがいをする。
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- ノボロギク(野襤褸菊、キク科)
ヨーロッパ原産で、明治の初めころ日本に渡来した帰化植物。繁殖力が強く、人里近くにしばしば群落をつくる。秋田では春から秋に開花するが、暖かい地方ではほぼ一年中見られるという。花は円柱形で、黄色い花びらが先端部で少しすぼまってつく。頭花の下部に黒いヤジリ模様がある。葉は互生し、縁は不規則にギザギザしている。全草が有毒。日本全土に分布。
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- 名前の由来・・・野に咲く菊の仲間で、頭状花が集まって咲く様子を「ボロキレ」に例えて、「野襤褸菊(ノボロギク)」と書く。
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- 茎葉・・・茎はよく分岐し、紫褐色を帯びる。葉は柄がなく、不規則に羽状に裂け、基部は浅く茎を抱き、互生する。
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- 花・・・茎の先につく黄色の頭状花は、一般に筒状花だけが集まっているので、ツボミのように見える。ごく稀に舌状花がつく。
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- 果実・・・円柱状で10本の脈がある。種子は長い白色の冠毛を持ち、風にのって飛散し、繁殖する。
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参 考 文 献 |
- 「食草・薬草・毒草が分かる野草図鑑」(金田洋一郎、朝日新聞出版)
- 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
- 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
- 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
- 「山菜ガイド」(今井國勝・万岐子、永岡書店)
- 「身近な野の花のふしぎ」(森昭彦、サイエンス・アイ新書)
- 「山渓名前図鑑 野草の名前/春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
- 「江戸草花図鑑」(岩槻秀明、エクスナレッジ)
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