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山野の花シリーズ99 ホトケノザ、イヌゴマ

  • ホトケノザ(仏の座、シソ科)
     有史以前から農耕文化の伝来に伴って、様々な雑草が入ってきた古い帰化植物の一つ。肥沃な畑や道端に自生する。時に大きな群落をつくる。よく春の七草のホトケノザと間違われるが、キク科の別種(コオニタビラコ)である。2枚の葉が向かい合わせにつき、仏様の台座のように丸くなる。花は長い筒状で、先が上唇と下唇に分かれる。下唇側には赤紫色の斑点があり、虫に蜜をありかを知らせる看板の役目をしている。花色は紅紫色。ガクは花の後も残り、種はその中で育つ。その種の端にアリを誘引するエライオソームがついているから、熟すとアリがやってくる。開放花が作る種は、閉鎖花の種よりもエライオソームが大きくアリに運ばれやすいという。こうして世界中に分布を広げてきたのである。北海道から沖縄に分布。 
  • 名前の由来・・・半円形の葉が向き合ってつく姿を、仏像の台座に見立てて、「仏の座」と書く。 
  • 別名三階草・・・葉が段々につくことから、別名三階草(サンガイグサ)とも呼ばれている。 
  • 花期・・・4~5月 
  • 草丈・・・10~30cm
  • ・・・断面は四角形で、下向きの毛がある。 
  • ・・・対生し、扇状円形で鈍い鋸歯がある。上部の葉は柄がなく、下部の葉には柄がある。 
  • 上部の葉・・・緑色で重なってつき、その形が仏が座る台座に似ている。 
  • ・・・紅紫色の唇形花を密につけ、花冠は上下に2裂する。上唇は笠状、下唇は3裂し、中央裂片は2裂する。 
  • 下唇には、赤紫色の斑点模様がある。 
  • 開放花と閉鎖花・・・花は小さく、ツボミのまま結実する閉鎖花が交じる。 
  • 花と昆虫・・・花は細い筒部に蜜をためて虫を呼ぶ。下唇は、虫のための着陸台になっている。下唇の斑点模様は、蜜のありかを示すガイドマーク。雌しべと雄しべは上唇のフードに隠れている。 
  • イヌゴマ(犬胡麻、シソ科)
     山野の日当りの良い湿地に生える。茎は四角形で下向きに固いトゲ状の毛があるのが特徴。葉にも細かな毛があって触るとざらつく。花は輪生して段々につく。花の形は唇形で、上下二つに分かれる。下唇に濃い色の斑点がある。地中に白色の長い地下茎があり、それを伸ばして繁殖する。葉は対生し、表面にシワがある。北海道から九州に分布。 
  • 名前の由来・・・果実の形がゴマに似ているが、役に立たないことから、「犬胡麻」と書く。 
  • 花期・・・7~9月 
  • 草丈・・・30~70cm 
  • ・・・披針形の葉は対生し、表面にシワがある。 
  • ・・・茎の先に花穂をつけ、淡い紅色の唇形花を輪生状につける。 
参 考 文 献
  • 「食草・薬草・毒草が分かる野草図鑑」(金田洋一郎、朝日新聞出版)
  • 「山渓カラー名鑑 日本の野草」(山と渓谷社)
  • 「秋田の山野草300選」(秋田花の会)
  • 「春の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
  • 「夏の野草」(永田芳男、山と渓谷社)
  • 「山渓名前図鑑 野草の名前/春」(高橋勝雄、山と渓谷社)
  • 「江戸草花図鑑」(岩槻秀明、エクスナレッジ)
  • 「野に咲く花の生態図鑑 春夏篇」(多田多恵子、ちくま文庫)