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森の学校2022 森の素材でつくるミニ門松

 2022年12月24日(土)、「クリプトンの森の素材でつくるミニ門松」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンで開催された。参加者は18名。門松は、新年を迎えるにあたり、今年一年の幸福をもたらす「歳神様」を迎える目印(依代)として玄関前や門に立てる。古くは、神が宿る木として「松」を一本立てたのが始まりとされる。室町時代に長寿を招く縁起物として、真っ直ぐに節を伸ばす「竹」が添えられ、江戸時代に「松竹梅」の三点セットが出来上がったと言われている。ミニ門松は、業務用の大きな缶を使い、伝統的な縁起物として松竹梅三点セットと、ナンテン、ユズリハを使った本格的なものである。
  • 主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン
  • 協力/秋田県森の案内人協議会
  • 講師・・・門松づくりの名人・黒崎良雄氏 
  • 1814年秋田藩の門松(風俗問門状答/国立公文書館蔵)・・・赤松とエゾユズリハだけのシンプルなものであった。秋田には竹が自生せず、正月に梅の花も咲かないからであろう。門口のしめ縄は、細く切った紙片、エゾユズリハ、コンブ、干し魚などを刺し添え、神迎えや祈願の場所に張り下げ、正月祭の聖域の象徴としていた。 
  • 竹の切り口は二種類
    1. 元々は真横に切った寸胴・・・節があるので「お金がたまる=商売繁盛」の意味がある。金融機関、料亭、飲食店、歌舞伎などは、寸胴タイプが多い。
    2. 斜めに切った「そぎ」・・・徳川家康が「三方ヶ原の戦い」(1572年)で敗れた武田信玄に対して、「次は斬るぞ」という念を込めたのが始まりといわれている。その切り口が「笑っている口」に似ていることから、「笑う門には福来る」のとおり、「福を招く」とされている。 
ミニ門松に使われる縁起物
  • アカマツ・・・松は常緑樹で、冬でも枯れないことから、永遠の生命=「長寿」を象徴する縁起物。歳神様が天から降りてくるのを「待つ」という意味もある。だから門松の主役は、竹ではなく松である。
  • 竹・・・竹は地下茎を広げで増えるので強風・暴風・地震に強く、さらに真っすぐに伸び成長も速い。「繁栄」を意味する縁起物として松に添える。 竹を3本にする理由は、「3」は二人の男女の仲を取り持つ意味の縁起物で、高さが違うのはそのためである。決して高さをそろえてはいけない。  
  • ・・・早春、他の花に先駆けて美しい花を咲かせる。大陸文化の「風雅」を象徴する縁起物。梅は、まだ咲いていないので、梅の枝に花の代用としてポップコーンを使った。 
  • ユズリハ/エゾユズリハ(上右写真)・・・春に古い葉と新しい葉が入れ替わるので、親が成長した子に後を譲るのにたとえて、古くから「子孫繁栄」を象徴する縁起物。  
  • ナンテン・・・「難を転じて福となす」縁起物。また火災避け、悪魔除けの効果があるとされている。 
  • ミニ門松見本
 ミニ門松づくり
  • 縄で業務用の大きな缶の外側をきっちり巻く。 
  • 縄の結び目がある側が隠れるように裏側にして3本の竹を立て、缶に5cmほど砂を入れて安定させた後、缶の7~8割まで入れる。 
  • アカマツは、枝を一つ一つ剪定バサミで切って、運が右肩上がりになるように、右側が高く、左側が低くなるように挿し込む。 
  • 次にユズリハ、まだツボミの梅を挿しポップコーンを白い梅の花に見立てて飾りつける。
  • 作業風景
  • 門松はいつ立てるの?・・・12月13日は、山から松を取ってくる「松迎え」をおこなう日=お正月の準備を始める「正月事始め」の日。12月29日は「苦立て」、31日のギリギリに立てるのは「一夜飾り」といって嫌われる。故に門松を立てるのは、12月13日~28日までの間が良い
  • 門松を飾る期間・・・門松を飾ってから取り外すまでの期間を「松の内」と言い、その期間は、1月7日(関東)~15日(小正月・関西)までが一般的である。
  • 「秋田風俗絵巻」に描かれた小正月行事(秋田県立図書館デジタルアーカイブ)・・・「カマクラ」の原型は、小正月1月15日に行われる火祭り「左義長」のことで、別名「ドント焼き」とも呼ばれている。いわば正月飾りの後始末の行事で、正月に飾った門松やしめ飾り、書初めの作品などを持ち寄って燃やした。その燃やす時の煙に乗って、歳神様が天上に帰っていくと言われている。また、その火で餅を焼いて食べると、一年間病気にならないと言われている。
  • 縁起の良い森の素材でつくった門松を玄関に飾り、良い御年をお迎えください。