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春を待つ冬芽の観察会&アニマルトラッキング

 2023年2月11日(土)、森の学校「春を待つ冬芽の観察会&アニマルトラッキング」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。一般参加者等20名が参加。今冬は水道が凍るほどの記録的な寒波が襲来したり、前日に大雪警報が出るなど、悪天候が心配されたが、当日は、透き通るような青空と雪がまぶしいほどの好天に恵まれた。スノーシューを履いて、ふかふかの雪原を歩きながら、冬芽の観察とアニマルトラッキングを楽しんだ。
  • 主催 秋田県森林学習館・プラザクリプトン
  • 協力 秋田県森の案内人協議会
  • 協賛 (一社)秋田県森と水の協会 
  • 森の入口でスノーシューを履く
  • 講師・・・森の案内人酒井さん、亀井さんほか
  • ヤマボウシの冬芽・・・冬芽は1対の毛の生えた芽鱗(がりん)でおおわれている。芽鱗とは、葉または花になる芽を覆って保護する鱗状の小片のこと。
  • オニグルミの冬芽・・・冬になって、葉が落ちたあとを「葉痕」という。大きな葉ほど、葉痕も大きく、いろいろな形に見える。オニグルミは、ユニークな動物の顔に見える。 
  • 何に似ているかな?・・・「羊」、「猿」、「ピエロ」等々。
  • ユニークなオニグルミの葉痕模様を撮影
  • ミズキ・・・樹形は、真っすぐ伸びた幹から横に階段状に出ている枝は、水平に広がっているのが特徴。また若枝は、冬に色鮮やかな紅色を帯びて美しく、冬の風物詩「大館アメッコ市」に利用されている。
  • エゴノキ・・・春になって伸びる芽を主芽(しゅが)と言う。主芽が動物や虫に食べられた場合、代役を果たす予備の芽を副芽(ふくが)と言う。主芽が順調に成長すると、副芽は消えてしまう。主芽と副芽が上下に並んでいる樹種は、エゴノキ、ハクウンボク、アブラチャン、オニグルミなどがある。
  • ニホンカモシカの足跡・・・前足痕の上に後足痕が乗るので、重なって残る。雪が深い場合、二列の太い線のように連なる。 
  • 蛾の仲間・クスサンの「スカシダワラ」・・・7月頃、楕円形の固い網目の繭を作ってサナギになる。9~11月に成虫になる。冬から初夏にかけて、木の枝に羽化した後の粗い網目状の空マユを、俗に「スカシダワラ」と呼んでいる。 
  • 参考:クリプトンの森で多く見られるクスサンの幼虫と成虫
  • マルバマンサク・・・枝先が雪に埋もれても、枝はよくたわみ折れない弾力がある。だから、雪国では輪かんじきを作る材料に使われた。早春真っ先に咲くので「まず咲く」から「マンサク」となった。
  • 雪の綿帽子を被った森を眺めながら一服 
  • アップダウンが続く森の斜面を下ったり、上ったりしながらのんびり雪上散策
  • 枝分かれして横に張り出したバイカウツギ・・・雪の綿帽子を被ると、なかなか美しい。
  • ニホンリスの足跡・・・深い新雪の上を歩くと、足跡はこんな感じになる。恐らく、昨秋、オニグルミの実を貯食したスギ林に探しに行った足跡であろう。
  • 悪天候が続いていたので、ちょっと動物の足跡が少なかったのが残念・・・クリプトンの森には、他にウサギ、タヌキ、キツネ、テンなどの足跡が見られる。アニマルトラッキングをしたい方は、晴れた日を狙って歩いてみてください。 (写真:トウホクノウサギの足跡)
  • トチノキの冬芽・・・冬芽にネバネバした樹脂をくっつけて、冬の寒さ・乾燥・虫害を防いでいる。
  • 落ちないブナの枯葉・・・枯葉なのに、冬でも落葉していない状態を「枯凋性(こちょうせい)」という。若いブナに枯凋性が生じやすい。その役割は、枯れ葉を残しておくことで、新芽を守るために枯葉でカモフラージュしているとの説がある。 
  • 2022年ブナの実豊作①・・・2022年10月18日、乳頭高原遊歩道に落下した大量のブナの実
  • 2022年ブナの実豊作②・・・2022年11月7日、大平山麓のブナ原生林では、ブナの実を100%食べたクマの糞が至る所にあった。さらにブナの木を見上げるとクマ棚や、歯でかじって枝を下に落とし、ブナの実を食べた枝が大量に散乱していた。
  • 昨秋のクマによる人身事故がゼロとなったのは、ブナの実が豊作だったから。またブナの実が豊作になると、クマのベビーラッシュになると予想されている。豊作の翌年は決まって凶作になると言われている。だから、今年は危険な親子グマに遭遇する確率が高くなるので注意!

    森の学校2023 「クマ問題を考える」講座PR

     近年クマ問題で目立つのは、奥山ではなく、生活圏内で悲惨な人身事故(重傷・死亡事故)が多く発生していることから、秋田県自然保護課鳥獣保護管理班ツキノワグマ被害対策支援センターの近藤麻美さんを講師に「クマ問題を考える 人身被害の事例と対策」について開催する予定。乞うご期待ください。