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第2回林業体験学習~能代市常盤中学校

 2018年6月20日(水)、平成30年度第2回林業体験学習が、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に行われた。昨年度、県では県内中学生を対象に将来、林業を職業選択の一つとして考えるきっかけとなるよう、林業体験プログラムを完成させ、今年度から本格的にスタート。第2回は、能代市常盤中学校1年から3年まで23名を対象に行われた。
  • 内容・・・林業大学生実習見学、林業ユニフォーム撮影、学習の森・森林散策、森のクラフト体験、森林学習展示室見学。
  • 林業体験学習の対象は、能代市常盤中学校1年8人、2年11人、3年4人 計23名。学年ごとに3班に分かれて実施。上の写真は、クリプトンから歩いて林業大学生が実習している現場に向かうところ。
  • 高性能林業機械を使った林業大学生の実習現場見学・・・かつては3K(きつい、危険、汚い)と呼ばれた山仕事も、最近は機械化が進み、高性能な大型林業機械を使った能率的な作業が主流になっている。複数の作業を1台でこなす高性能林業機械があれば、女性でも楽に、安全に作業ができる。  
  • 秋田林業大学校・・・民間と行政が連携し、オール秋田で「林業県あきた」を担う若い人材を養成する大学校。定員18名、研修期間は2年間で、高性能林業機械等の各種資格も取得できる。さらに「緑の青年就業給付金」が年間最大約137万円、最大2年間もらえる。
  • 就職先・・・森林組合(県内12)、林業会社(県内約100社)、製材加工会社(県内約120社)。ちなみに、2017年3月に卒業した1期生18人全員が県内の森林組合や木材関連企業に就職している。
  • ハーベスタ(伐倒造材機)・・・従来チェンソーで行っていた立木の伐倒、枝払い、玉切りと、玉切りした材の集積作業まで一貫して行う自走式機械。 
  • ウィンチ付きクラップル(木寄せ)・・・木材をつかんでまとめる。  
  • フォワーダ(集材)・・・玉切りした材を荷台に積んで運ぶ集材専用の自走式機械。
  • 秋田県の森林林業・・・森林面積は82万haで全国6位、人工林面積の92%はスギで面積23万8千haは全国1位、木材生産量112万m3は全国2位、高性能林業機械保有台数352台は全国3位、生シイタケ生産量4,224トンは全国4位など、全国トップクラスの林業県
  • 昭和40年代に植栽したスギが50年生に成長し、伐採・利用できる林齢になっている。今まさに資源を活用する時期を迎えているだけに、林業機械を活用した低コスト生産から木材を利用・販売できる若い技術者の確保育成が急務になっている。
  • 林業ユニフォーム撮影・・・明るいオレンジ系。誤ってチェーンソーの刃が当たっても切れないジャケット、頭と耳を保護するヘルメットとイヤーマフ、両手にチェーンソーを持てば、格好いい林業マンに変身。  
  • 学習の森・森林散策・・・指導は、森の案内人2名。
  • コナラの原木を使ったシイタケ栽培・・・シイタケは、春に植菌すれば翌年の秋、又は翌々年の春から発生し、以降春と秋の二回発生する。なかなか発生しない場合は、金槌でホダ木をコンコンと叩いて刺激を与えると出てくる。 
  • ヤマボウシの実・・・秋になると、上向きにサクランボ大の赤い実をつける。甘くて美味しい。生食のほか、ジャム、果実酒に利用している。この周辺にはたくさん植栽されているので、赤く熟すと、ヒヨドリやメジロ、ムクドリが群れでやってきて夢中で食べている。
  • ブタナ・・・遠くから見るとタンポポのように見えるが、ヨーロッパ原産の帰化植物。日本には、昭和の初め頃に入ってきて瞬く間に広がった。フランスでは、豚が好んで食べる花なので「豚のサラダ」という意味が名前の由来。
  • 秋田スギを使って作られた東屋・・・東屋内に配置された椅子は、トチノキの丸太を加工したもの。 
  • 森の恵み・ワラビ・・・ワラビ採りは、採れば採るほど生えてくる。例え採り尽しても、三日もたてば採り頃のワラビが生えてくる。こうして採り続けていると、5月中旬頃から8月まで楽しむことができる。一般に、おひたしやワラビたたきで食べると美味しい。 
  • 森の中を歩き、立ち止まって耳を澄ますと・・・「ピィーヨ、ピイーヨ」とうるさいヒヨドリの声、ヤブの奥から「ホーホケキョ」と鳴くウグイス、「デデッポッポー、デデッポッポー」と森に響き渡るような重低音で鳴くキジバトの囀りが聞こえた。 
  • オオバクロモジの葉の香り・・・葉には、リモネン、シネオール、リナロール、テルピネオール、カルボンなどの芳香のあるクロモジ油が多く含まれているので良い香りがする。マタギは、胃腸が弱っている時にクロモジの木の枝葉を煎じて飲んでいた。そんなマタギの里阿仁では、クロモジを細かく刻んで天日干ししたクロモジ茶が販売されている。 
  • 松枯れ・・・問題「松枯れの原因であるマツノザイセンチュウという目に見えない虫はカブトムシがはこんでくる。〇か×か」。答えは「×」。 
  • 松枯れを起こす犯人は「マツノザイセンチュウ」という2ミリにも満たない外国からやってきた生物。このセンチュウを松から松へ運ぶ共犯者が「マツノマダラカミキリ」。センチュウは健康な松の樹体内で繁殖し、松を衰弱させる。衰弱した松はカミキリの絶好の産卵対象木となり、次々と枯れていく。 
  • 樹木見本園、ブタナの大群落
  • ヒメジョオン・・・ハルジオンと似ているが、茎に髄が詰まっていて、葉は茎を抱かないことで区別できる。 
  • ニホンアマガエル・・・樹上での生活に適応しているカエルで、森林やその周辺の水辺などに生息し、小さな昆虫類やクモ類を捕食する。 
  • バイカウツギの実
  • ノアザミ
  • ドクダミ
  • コウゾリナ
  • 国際教養大学「メタセコイヤの並木道」・・・大昔に絶滅した化石植物と思われていたが、1946年に中国奥地で発見され、「生きた化石」として有名になった。秋、針葉樹では珍しく美しく紅葉し、側枝ごと落葉する。円錐形の整った樹形が美しく、公園樹や街路樹として植えられる。  
  • 間伐はなぜ行うのか・・・木が大きくなってくると、だんだん混み合って木同士の競争がはじまり、成長が次第に衰えてくる。木を間引いて本数を減らし(間伐)、残った木に十分な光と水分を与えて成長を良くするために行う。間伐は、50年間に3回ほど行う。
  • サクラの実「さくらんぼ」・・・熟すと黒くなる。昔は、おやつ代わりによく食べた。
  • 参考:果樹「さくらんぼ」・・・花を鑑賞するためのサクラは、実が大きくならない。日本で栽培されている果樹のサクランボは、ヨーロッパ系のミザクラ(セイヨウミザクラ、スミミザクラ)。
  • 黒く熟したサクラの実を食べてみる。余り美味しくないようだ。なのに野鳥やクマは大好きだ。 
  • 参考:クマが落下したサクラの実を食べる(撮影:小沼森林インストラクター)・・・サクラの木に上って黒く熟した実を食べた後、道路に落下した黒い実を食べていたという。学校周辺には、よくサクラの木が植えられているが、その実が熟す頃になると、クマを誘因する食べ物になるので注意!
  • CLT(直交集成板)を床板に使った橋  ・・・CLTとはCross Laminated Timberの略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料のこと。能代市にある秋田県立大学木材高度加工研究所では、CLTを橋梁の床版として利用するための研究開発を行っている。仙北市田沢湖の林道に国内初のCLTの橋も完成。今後、コンクリート床版の代替として、地元の木材を活用して、CLT を床版に用いた既設橋梁の補修に利用されることが期待されている。 
  • 死んでいたアズマモグラ・・・東北に生息するモグラ科の代表はアズマモグラで、本州の中部以北に生息している。トンネルを掘って地下で暮らし、夜になると地上に現れ、昆虫やミミズ、クモ、ムカデ、カタツムリ、植物の種子も食べる。学習交流の森では、モグラがトンネルを掘る際に出た残土「モグラ塚」を至る所で見ることができる。
  • ツタウルシ・・・小葉が3枚で、かぶれ成分を含んでいるので要注意。
  • サラサウツギ・・・ウツギの八重咲き品種。花が満開になると見応えがある。
  • 森のクラフト体験・・・講師は秋田県森林学習交流館インストラクター2名。
  • 森の素材を使ったクラフト体験・・・森を歩くと、味のある木の枝、色づいた葉っぱ、かわいい花、どんぐりや松ぼっくりなどの木の実、草の種など芸術心をくすぐる素材に溢れている。クリプトンの森などで採取した豊富な素材を使い、楽しい「森のクラフト体験」を実施。 
独創的な作品
  • 最後に完成した森のクラフトを持って記念撮影
  • 米代川流域の森は、天然秋田スギの産地として有名。その天然秋田スギの核心部に位置する能代市は、大正から昭和初期にかけて、東洋一の「木都」として栄えた歴史がある。だから今でも「木都能代」と呼ばれている。それだけに、こうした林業体験学習を通して、将来は林業を職業選択の一つとして考える学生が一人でも多く出てくることを期待したい。