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2018森の学校 森と木の生活塾

 2018年7月28日(土)、森の学校「森と木の生活塾」が、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。一般参加者、森の案内人、森林インストラクター等80名が参加。森の散策・ネイチャーゲーム、木登り・ツリークライミング、青竹のそうめん器づくり、森の紙芝居・エプロンシアター、アウトドア体験、アルプホルン体験、森の恵み・笹巻き体験、森の木工体験、森のクラフト、林業体験など多彩な催しが行われた。
  • 主催・共催/秋田県森の案内人協議会、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン、秋田県森林インストラクター会、秋田県林業研究研修センター
  • 協賛/(一社)秋田県森と水の協会、(公社)秋田県緑化推進委員会
  • 受付・総合案内 
  • アルプホルン体験(奥山勝栄さん作)・・・豪雪地帯のスギ人工林では、雪圧で根元が曲がっている木をよく見掛ける。その自然がつくった曲線がアルプホルンの形にピッタリである。 アルプスホルンは、筒の長い楽器で、指で押さえる穴のようなものは着いていない。吹き方で音程を調節する。アルプスの少女ハイジのテーマソングで、最初になる低い音の楽器が、アルプスホルンである。  
  • アウトドア体験・・・アウトドアを始めようとすると、まずはテントが欲しくなる。軽くてコンパクトなテントは、ザックに背負って歩くことができる。しかし大人数を収容するロッジ型テントは、重くて背負えない。登山や釣り、沢登りで使うのか、家族で使うのかなど目的に応じて失敗しないテント選びのコツを伝授。その他虫よけ、クマ避け対策など学ぶことは山ほどある。疑問や分からないことがあったら、まずはアウトドアの達人に聞くのが一番の近道である。
  • ロープワーク体験・・・アウトドアのあらゆる場面で役立つ基本的な結び方を学ぶ。「命綱」の言葉どおり、ロープワークは、「森と木の生活」に欠かせない技術。しかし一度覚えたと思っても、日常生活では使わないので、すぐに忘れてしまう。そんな場合は、山に出かける前日に数回復習して、現場ですぐに使えるように準備することが肝要である。 
  • 林業器具展示・体験 
  • 青竹のそうめん器づくり・・・青竹は、指導者に両端を抑えてもらいながら、ノコギリで焦らずゆっくり切る。押す時ではなく、引く時に切るのがコツである。
  • ノコギリで切った青竹を指導者に割ってもらう・・・竹を割る専用のナタを使い、真っ二つに割る。
  • 青竹そうめんセットの使い方
    1. 節の黒い汚れの部分を水とかたいブラシなどできれいに落とす。
    2. そうめんを食べる前は、必ず除菌洗剤で洗った後、洗剤をよく洗い流す。
    3. 水やツユが漏れるので、下におしぼりなどを敷く。長い時間、入れたままにしないこと。
    4. そうめん入れは、回転するのでおしぼりの両端を丸めて固定する。
    5. 使い終わったら、水やお湯でブラシ等を使って洗うこと。洗剤に漬け込むと、染みこむので✖。
    6. 竹コップの中に漏れないコップを入れてお花などを飾ることができる。
    7. 今年の夏しか使えない。割れたり、カビが生えたりするので、外で植木鉢などに利用してください。
  • ドングリでつくった森の妖精
  • クワガタ、カブトムシの標本
  • 森の木工体験・・・ミニ椅子をつくる木工体験や昔懐かしい竹トンボづくりが行われた。 
  • 芝生広場で竹トンボを飛ばして遊ぶ。 
  • 林業体験・スギの高さを測る・・・ブルーメライス測高器やトゥルーパルス・レーザー距離計などでスギの高さを測る体験を実施。 
  • ブルーメライス測高器でスギの高さを測る。
  • トゥルーパルス・レーザー距離計・・・木までの距離をレーザーで測定する装置と角度を測る装置を組み合わせ、内蔵している計算機で木の高を自動計算して表示することができる。だから、子どもでも簡単にスギの高さを測ることができる。
  • 森のクラフト体験・・・クリプトンのクラフト体験は、森の素材が豊富なこと。森のバイキングのように、気に入った素材を小皿に入れて、自分だけのオリジナル作品づくりに挑戦。
  • 森のクラフト見本 
  • 森のクラフト作業風景 
  • 森の素材でつくったオリジナルペンダント・・・来場者に無料配布された。
  • 森の散策・ゲーム・・・学習交流の森の散策とふれあい広場でネイチャーゲームが行われた。
  • アカエゾマツ・・・北海道の代表的な造林樹種で、北海道の木に指定されている。樹皮がエゾマツより赤っぽいのが名前の由来。
  • ヒグラシ・・・成虫は6~9月にかけて現れる。夕方の日暮れ時に鳴くことから、「日を暮れさせるもの」としてヒグラシの和名がついた。曇天時、気温が下がったり、林内の暗い場所では日中でも鳴く。
  • ビオトープ・・・人工的に作られた様々な生き物が共生できる場所のこと。ここに生えているミズバショウ、ギボウシなどの植物の名前や、サワガニ、サンショウウオなど多様な生き物たちが棲息しているとの説明が行われた。この水辺に産卵するオニヤンマたちも、林内を飛び回る姿が多数見られた。
  • ネイチャーゲーム「カモフラージュ」・・・生きものたちは、敵から身を守るために、まわりに同化する色(保護色)になったり、色や形を周囲の他のものに似せたりして、カモフラージュしている。それを見つけることのできる観察力を養うことができるゲーム。  
  • ロープを張り、その内側に自然の中では絶対にない人工物を目立たないようにセットしてある。参加者は、お互いに話をせずに人工物を探し、その数を数え、終点にいる指導者にこっそり耳打ちをする。間違うと、もう一度、スタート地点に戻って再挑戦する。
  • 難しかったようで・・・全問正解は一人だけであった。
  • カモフラージュする生き物たち・・・敵から身を守るために、まわりに同化した生き物の写真を見せて、どれが本物の生き物か当ててもらう。これまた難しいが、目が慣れてくると即座に当てれるようになった。
  • タンポポに似た外来種・・・遠くから見るとタンポポのように見えるが、ヨーロッパ原産の帰化植物。日本には、昭和の初め頃に入ってきて瞬く間に広がった。当初は、タンポポモドキと呼ばれたが、その後ブタナと呼ばれるようになった。タンポポ属は1つの花茎に1つの頭花をつけるが、ブタナは花茎が枝分かれして複数の頭花をつけるのが特徴。
  • 松枯れ・・・松枯れを起こす犯人は「マツノザイセンチュウ」という2ミリにも満たない外国からやってきた生物。このセンチュウを松から松へ運ぶ共犯者が「マツノマダラカミキリ」。センチュウは健康な松の樹体内で繁殖し、松を衰弱させる。衰弱した松はカミキリの絶好の産卵対象木となり、次々と枯れていく。
  • セミの抜け殻・・・夏の朝、樹木見本園では、セミの幼虫が地上へはい出し、羽化して成虫になる様子を観察できる。大きい抜け殻はクマゼミ、その他はアブラゼミなど。
  • ツタの葉についたセミの抜け殻を観察・・・樹木見本園入口のドイツトウヒの幹には、全体を覆い尽くすようにツタが絡みついている。そのツタの葉にセミの抜け殻がたくさんついていた。以降、子どもたちはセミの抜け殻探しに夢中になる。
  • アオギリの大きな葉に、何と6匹もの抜け殻がついていた!これを見てしまった子どもたちは、セミの抜け殻探しに、さらに拍車がかかった。
  • アオギリの樹木周辺でセミの抜け殻を探して集める子どもたち。 
  • 帽子一杯集めた人も数人いた。それにしても、その数の多さには驚かされる。樹木見本園の頭上では、ヒヨドリの鳴く声が・・・ヒヨドリは、羽化したばかりの動きの鈍いセミを狙って捕食し、セミを丸呑みにする。
  • ベニシジミ(チョウ)・・・人家周辺でも最も普通に見られるチョウのひとつ。地面近くを飛び、いろいろな花でよく吸蜜する。 
  • キササゲ・・・豆のササゲに似た長さ30cmにもなる細長い果実が特徴。 秋田では、雷除け、魔除けとして屋敷内によく植えた。古く中国から伝来した薬用植物で、果実は非常に利尿作用が強く、排尿障害や水虫を改善する効果があるとされている。また幹や根の皮の部分は、解熱、解毒剤として用いられた。 
  • 夏休みの自由研究のフィールドに最適・・・樹木見本園では、至る所の樹木にセミの抜け殻が数多く見られた。地中に生息するセミの幼虫は、モグラが好んで捕食する。そのモグラが穴を掘ったモグラ塚も数多く観察できる。また羽化した成虫を狙ってクモやカマキリ、鳥類などもたくさんやってくる。多種多様なセミの抜け殻が多いということは、それだけ生き物の多様性が豊かな証左でもある。また、樹液がよく出るミズナラの幹には、日中でもカブトムシやクワガタを見掛けることもある。朝早く来れば、キツツキ類やカモシカ、リス、キツネなど、普段は滅多に出会えない生き物たちに出会えるかもしれない。
  • ツリークライミング・・・ツリークライミングは、大きな木で下枝が無く、素登りができない木に登るときに使われる木登りの方法である。高い木にかけた専用ロープと、ツリーハーネスと呼んでいる安全ベルトをつなげて、ぶらさがったまま登る。手を離したり力を抜いても落ちる心配がない。
  • ツリークライミングに必要なロープなどのセッティングは、あらかじめ講師が全て準備済み。その設置されたサドルに座り、ノットと呼ばれるロープの結び目を手でギュッと押し上げ、もう一本のロープに作られた小さな輪をグッと足で踏みこむ。その単純な動作を繰り返すだけなので、誰でも簡単に登ることができる。ツリークライミングジャパンの基準では、対象年齢は6歳以上。
  • コツさえつかめば、余分な力は不要で、自由にスイスイ登れちゃう。だから子どもや女性に人気。 
  • 森の恵み・笹巻き体験・・・笹巻きは、県内各地でつくられる伝統食で、かつては端午の節句や田植え後のさなぶりでつくられる行事食であった。秋田県では、別名「菱巻き」「角巻き」「三角巻き」とも呼ばれている。
  • 笹巻きは、中国から伝来した「ちまき」の一種で、端午の節句に邪気を祓うために供えたと言われている。地方によって形や大きさ、結び方が違うが、角ばっているのはどこも同じ。これは、鬼の角を食べることからきている。もち米を笹の葉で巻いて茹でるという古い時代からのつくり方は、秋田・山形・新潟など日本海側に面した米作地帯に伝わっている。
  • もち米
  • チマキザサ
  • いぐさ(水にぬらしたもの)
  • 巻き終えた笹巻きは水につける
  • もち米を洗い、チマキザサで三角菱に包んで、水につけてやわらかくしたイグサで結わえる。巻き終えた笹巻を一晩水につける。沸騰したお湯に笹巻きを入れ、40分~1時間ほど茹でる。茹で上がったらすぐに冷水にとると笹の色がきれいに仕上がる。きな粉や砂糖をつけて食べると美味しい。
  • 笹の葉の殺菌効果で長持ち・・・風通しのよい所に吊るしておくと保存がきき、アウトドアなどの携帯食としても利用できる。
  • 紙芝居「森はみんなのたからもの」・・・小学生の主人公が森の妖精エココと出会い、森林整備から木材利用の大切さ、山と海の関係などを楽しく学ぶことができるストーリー。  
  • エプロンシアターとは・・・舞台に見立てた胸あて式エプロンに物語の背景とマジックテープを縫いつけ、演じ手がポケットから人形を取り出してエプロンに貼り付けながら物語を演じる人形劇のこと。
  • 野菜のエプロンシアター・・・次々と登場する野菜をポケットから取り出し、順番にエプロンにつけたあと、最後はマヨネーズをかけてサラダにするストーリー。紙芝居に比べ、演者と子どもたちとの距離が近く、互いにやり取りしながら、表情や身振りを加えて演ずる、その一体感が素晴らしい。