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2018秋田県林業研究研修センター参観デー

 2018年10月6日(土)、「秋田県林業研究研修センター参観デー」が同センターを会場に開催された。今年の夏は例年になく高温が続いた。さらに台風でキノコ木が刺激を受けるとともに、恵みの秋雨で「キノコは豊作」と言われている。特にマツタケは大豊作らしく、天然キノコの実物展示では、南外産のマツタケが展示されていた。 その他林学基礎講座(山菜、樹木の生存戦略、森の香り、ニホンジカ、キノコの5話)や林業機械デモ、森のクラフト体験、シイタケ菌床づくり体験、試験地・樹木等自然観察会など多彩な催しが行われた。
  • 主催/秋田県林業研究研修センター(018-882-4511)
  • 協力/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン
  • 天然キノコの実物展示 
  • 南外産マツタケ・・・解説文には「秋田県内の多くの地域でマツタケが発生しています。あなたもマツタケに出会えるかも?」と書かれていた。 
  • 秋田林業大学校(林業トップランナー養成研修)・・・「国の宝は山なり、山の衰えは即ち国の衰えなり(秋田藩家老、渋江正光)」を理念として、実践的で実務重視のカリキュラムや少人数制の研修により、社会や企業が求める「若い林業技術者」を養成している。平成31年度の募集定員は18名。
  • 試験研究研修パネルの展示、樹木の花粉・マツノザイセンチュウの顕微鏡観察コーナー
    1. 新しい苗木生産技術-コンテナ苗-
    2. 山菜や樹実を栽培しよう
    3. 遊休農地を活用したオリジナルきのこ栽培
    4. 抵抗性マツはこうやってつくる
    5. 拡がるナラ枯れ
    6. スギ人工林の広葉樹林化と表土保全機能への影響
    7. 東北地方太平洋沖地震津波による海岸林の被害(岩手・高田松原)
    8. 日本海中部地震による津波の被害
  • 秋田県林業研究研修センター高田清晃所長あいさつ
  • 森のクラフト体験(第一研修室)・・・秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンでは、クリプトンの森などで採取した豊富な素材を使った「森のクラフト体験」を実施。   
  • 森のクラフト見本 
  • 「森のクラフト体験」作業風景 
  • 参加者の作品 
  • 森の素材でつくったオリジナルペンダント・・・参加者に無料配布された。 
  • 林学基礎講座・・・山菜のはなし、樹木の種子の様々なカタチと生存戦略、森の香りを知ろう、秋田県でシカは今後どうなる、キノコのはなし、以上5つの林学基礎講座が行われた。
  • 樹木の種子の様々なカタチ・・・種子の形態をとおした樹木の生存戦略について説明。
  • ある種子が〇〇散布である理由は・・・新しい定着場所に到達する。母樹周辺を回避する。兄弟間の競争を回避する。各樹種の生育適地(セーフサイト)に到達するため。
  • プロペラ型の戦略・・・カエデの仲間の果実は、長い翼のある実がプロペラのような形をしているのが特徴。プロペラ型の種子は、クルクル回転しながら落下するため、滞空時間が長く、横風で遠くに運ばれ、広い範囲にばらまかれる。風に乗ると、100m以上も飛ぶことができるという。こうしたプロペラ型の種子は、風を利用して色々な場所に芽生えて生き残ろうとする戦略だと言われている。
  • 森の香りを知ろう・・・樹木の葉や幹の香りをとおした森林浴について解説。
  • 森の香りの正体は、植物が出しているフィトンチッド。なぜ植物はフィトンチッドをつくるのか。その答えは、植物が自分を守るための武器として使うためである。例えば、自分を脅かすほかの植物への成長阻害作用、昆虫や動物に葉や幹を食べられないための摂食障害作用、昆虫や微生物を忌避、誘引するなど多種多様である。
  • 森の香り展示・・・クロモジ葉精油、ヒバ葉精油、スギ葉精油、マツ・スギの葉に多いα-ピネン、柑橘類の皮・モミ・トドマツの葉に多いリモネン、ツツジ科・カバノキ科に多いサルチル酸メチル。
  • 実際に樹木から抽出した香り成分をかいで、確認してみる
  • ニホンジカの生態的特徴・・・満1歳から毎年出産可能。子どもを産むことができるメスの生存率が高い。4、5年で個体数が倍になる。大食い、食いしん坊で、植物を食べ尽くす。
  • シカが定着、個体数が増えると・・・スギ植栽木への食害、農作物への食害、剥皮害による森林被害、森の生態系破壊などが深刻化する。
  • 秋田のニホンジカは明治から昭和初期に絶滅したが、近年、目撃情報が年々増加している。増える前に捕獲したいが、低密度化では捕獲が困難。
  • 林業機械デモンストレーション
  • 試験地・樹木等自然観察会 
  • ツリバナ 
  • コシアブラの実 
  • 黄葉し始めたブナの苗木
  • スギの球果
  • コノデカシワ・・・白い砂糖をかぶった金平糖のようにな球果が特徴。
  • 中国甘粛省で行われている緑化活動の主要樹種はコノデカシワ。
  • カツラ・・・秋、黄葉し始めると甘い香りを放つ。
  • トチの実 
  • ミズナラのひこばえ・・・昨年伐採したミズナラの根元からひこばえがたくさん出ていた。
  • ガマズミの紅葉と赤い実・・・赤い実は、鳥たちに食べられてかなり少なくなっている。
  • ドイツトウヒ・・・クリスマスツリーの代表樹種。松ぼっくりは細長くデカイ。
  • コゴメウツギ・・・モミジイチゴに似ているが、トゲがないことで区別できる。 
  • ウスタケ(毒)
  • センブリ
  • アキノキリンソウ
  • ツルリンドウ
  • エゾイタヤとベニイタヤ・・・エゾイタヤは北海道に多いイタヤカエデの変種だが、秋田では、若葉が紅色をしているベニイタヤが多く自生している。 
  • シイタケ菌床づくり体験・・・シイタケの菌床づくりから発生までの管理方法について説明。
  • 2017年10月29日放送(NHK総合)「うまいッ!歯ごたえ抜群!シャキシャキ“まいたけ”~秋田県藤里町~」を観賞。
  • キノコは自分でつくる時代・・・今まで、キノコは買って食べるものと思われていたが、菌床置くだけ栽培では家庭でも簡単にキノコができる。菌床は、比較的容易に安く購入することができる。ぜひこの機会にキノコづくりにチャレンジしてほしい。
  • 菌床シイタケの育て方
    1. 菌床が壊れない程度にバシバシ叩いた後、優しく袋から取り出す。
    2. 菌床の表面を水で洗い、皿などの上に置く。
    3. 管理・・・菌床の表面が乾かないように袋を被せ、1日2~3回霧吹き又は直接水をかける。高温・直射日光・乾燥に弱いので、玄関などに置くと良い。
    4. 1週間くらいでシイタケの芽が出てくる。シイタケが出てきたら、霧吹きや水かけは止める。収穫は、傘が開き切らないうちに根元からハサミで切り取る。
    5. 収穫後、水をたっぷり入れたバケツなどに菌床を入れ、浮ばないように重しをして、12時間程度浸水する。その後、3と同じように管理するとシイタケが再び生えてくる。うまく管理すると3回以上収穫できる。