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2019森の学校 しいたけ植菌体験

 2019年4月13~14日、「2019森の学校」のスタートを飾る「しいたけ植菌体験」は、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。市販で主流の菌床シイタケより遥かに肉厚で美味しいシイタケを家庭で手軽に栽培できることから人気が高い。二日間で一般・親子146名の参加と、協力として森の案内人協議会から延べ39名の参加を得て行われた。また5月1日から「令和」の新しい時代がスタートすることから、これを機に森の学校の内容を充実させていきたい。ちなみに2019年度は、バスツアーを1回増やして年間14回開催する予定。詳細は森の学校2019年間スケジュールを参照。
  • 内容/1人2本の植菌体験と持ち帰り(1家族2名まで)
  • 主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン(018-882-5009)
  • 協力/秋田県森の案内人協議会
  • 動画「しいたけ植菌体験」・・・2分40秒、解説の字幕付き。 
  • 講師:進藤インストラクター・・・ 作業の要領、注意点、家に持ち帰った後のホダ木の管理方法について説明が行われた。植菌したホダ木を家に持ち帰ったら、「しいたけ栽培のポイント」を参考に、できるだけ量も多く、質の良いシイタケが出てくるよう管理してほしい。  
  • ホダ木はコナラ・・・シイタケの発生量、質ともに優れ、最適なホダ木である。
  • ホダ木の長さと穴のサイズ・・・平均径12cm×長さ90cm。  
  • 穴を開けるラインの位置・・・原木にマジックで計6ラインの印をつける。  
  • 穴を開ける位置・・・90cmの原木に、穴の位置を印した定規の位置に従い電動ドリルで穴を開ける。赤印の位置に5ヵ所穴を開けたら、次のラインは千鳥になるように黒印の位置に6ヵ所穴を開ける。
  • 穴の数・・・5ヵ所×3ライン+6ヵ所×3ライン=33ヵ所。   
  • 電動ドリル・・・Φ9.2mm×深さ3cm   
  • シイタケ種菌・・・家庭で余り手間をかけずにシイタケを採りたい人向きで、全国的に最も多く使用されている品種で、発生温度は7~20度、秋と春の二回出るタイプを使用。
  • 電動ドリルで原木に穴を開ける作業風景 
  • 植菌体験風景・・・穴に種駒を入れ、木づき、または金づちで種駒の頭が樹皮面より出ないように優しく打ち込む。全部の穴が、しいたけ種菌でふさがれると完成である。
  • 親子で植菌体験
  • シイタケは、いつ発生するのか・・・植菌したシイタケは1年半後の秋、又は2年後の春には出てくる。それ以降は、春と秋の二回発生するようになる。一般に4~5年は発生する。ただし、次第に春には出ても、秋には出なくなる。
  • 家庭菜園より簡単で美味・・・原木栽培は、庭木の下や軒下など、少しのスペースさえあれば可能で、家庭菜園より簡単で、かつ長期間楽しめるのが最大の特徴である。 しかも、自分で育てた原木栽培のシイタケは、肉厚で香りも味も良く、天然物を上回るほど美味しい。
  • 天然シイタケの品質はバラバラ・・・その年の天候によっては不作になったり、採取適期のタイミングが難しい。故に傘が完全に開ききったり、小さかったり・・・とかく品質が一定しない。一方、原木栽培は傘が八分ぐらい開いた適期を狙って採取することが可能だから、品質は一定で天然物を上回るといっていい。(写真:ミズナラに生えた天然シイタケ)
  • しいたけ栽培のポイント
    1. シイタケ菌をホダ木に活着させるための初期管理のことを「仮伏せ」と言う。仮伏せの場所は、雑菌が入らないように、雨が当たらず、かつ風通しの良い軒下などに仮伏せをする。その際、ホダ木の下に細い棒を敷いてホダ木が地面につかないように薪積みにする。切口に白い模様(菌糸紋)がでてきたら、被覆をとる。仮伏せの期間は約1ヶ月
    2. 梅雨期前に「本伏せ」(上の写真)をする。ホダ木は、直射日光や西日の当たらない所。不十分な場合は、遮光ネットやスダレなどをホダ木の上に張る。
    3. 梅雨~夏期は、雑草や低木を刈り払い、通風を良くすること。
    4. 7月中旬頃と9月中旬頃、ホダ木の天地返しや積み替えを行い、菌糸を均一に成長させる。
    5. キノコの芽が出る秋には十分散水すること。
    6. ホダ木を叩いて振動を与えるなど、刺激を与えればシイタケが良く生えるといわれる。
  • 参考①・・・採り方・・・柄を持ってもぎとる。ナイフなどで柄を切るのは、切り後から雑菌が入る恐れがあるので×。
  • 参考②・・・天日による自然乾燥で骨を丈夫に・・・生シイタケを裏返しにして太陽に当てると、カルシウムの吸収に必要なエルゴステロールがビタミンD2に変化して数十倍に増えるという。カルシウムはビタミンD2により吸収され、運動により骨太になれる。多く採れた場合は、天日乾燥がベスト。干しシイタケを戻す場合は、多めの冷水に浸し、時間をかけて水戻しするのが美味しく調理するコツ。
  • 参考③・・・シイタケ料理
    1. つけ焼き・・・シイタケの傘を下にして金網に乗せ、ヒダのところにバター・しょう油・酒を少々たらして弱火で焼き、柄をつかんで食べる。
    2. バター炒め・・・柄をとったシイタケと玉ネギをバターで炒め、味道楽等で味をととのえる。
    3. その他、煮物、天ぷら、鍋物、味噌汁など、どんな料理にも合う。
  • 参考④「シイタケは薬効が凄い」・・・ 野山に自生するシイタケを日本人が食べるようになったのは、飛鳥時代以降といわれている。「医食同源」を旨とする中国から食用化が伝えられた。シイタケは、その食味の素晴らしさはもとより、古くから「不老長寿の妙薬」として珍重されてきた。それだけ薬効成分も多い。
    1. 骨の形成・くる病の予防・・・骨の形成に重要な働きをするビタミンD2の母体であるエルゴステロールが多く含まれる。
    2. 血圧降下作用・・・人体実験で証明されている。
    3. コレステロール値を下げる作用・・・有効成分はエリタデニン
    4. インフルエンザの予防・・・胞子には抗ウイルス作用のあるインターフェロンを誘発する作用がある。
    5. 貧血防止・・・ビタミンD12は赤血球を増す作用があり、シイタケには豊富に含まれているので貧血ぎみの人によい。
    6. ビタミンB1、B2も多く含まれる。
    7. 抗がん作用・・・シイタケに含まれる多糖体「レンチナン」が、抗がん剤として中央薬事審議会で製造が承認された。
    8. 美容食に最適・・・カロリーが少なく、食物繊維が多い。