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ブナ林でのキノコ観察&原木シイタケ栽培見学

 2020年9月27日(日)、森の学校「ブナ林でのキノコ観察&原木シイタケ栽培見学」が、仙北市乳頭キャンプ場などを会場に開催された。一般参加者等35名が参加。今年は異常気象の影響で、マイタケなどの食用キノコの発生が大幅に遅れている。そんな中、乳頭キャンプ場周辺で参加者が採取したキノコの多さには驚かされた。キノコ観察会の後、ニュースカイでキノコづくしの定食を味わい、西木町「齋藤農園」で原木シイタケ栽培の見学・もぎ取り体験を行った。
  • 主催/秋田県森林学習交流館プラザクリプトン
  • 協賛/(一社)秋田県森と水の協会
  • 協力 秋田きのこの会、斎藤農園
  • 講師・・・秋田きのこの会(代表 菅原冬樹)の皆さん。ブナ林でのキノコ観察は4班に分かれ、それぞれ秋田きのこの会のメンバーが講師となって行われた。
  • 今年は、例年になくキノコの出が悪い。まずは伐根に生えるキノコを探す。
  • ヌメリツバタケモドキ(食用)・・・ブナの風倒木や立枯木、伐根によく生える。水分を多く含み、採るとグシャリと簡単に潰れ、食べたことのない素人にはいかにも不味そうに見える。しかし、熱を通すと意外なほど歯ざわりがよくなる。料理は三杯酢や和え物、お吸い物など。
  • エビタケ(食不適)・・・ブナの伐根、根際などに生える。ブナの心材の白色腐朽菌。
  • 群生するブナの稚樹・・・林床には、ブナの子どもである稚樹がたくさん生えている。その稚樹が生い茂る林床は、あまり光に恵まれていない。それなのにたくさんの稚樹たちが育っているのは何故だろうか。その答えは、稚樹の根にあるという。
  • 菌根菌とブナの森・・・稚樹の根の周りにある白いものは菌根菌だ。この菌根菌のお陰で、地中から栄養素の供給を受けている。大人のブナは、菌糸ネットを経由して「陰樹」である子どもたちのブナに養分の受け渡しを行っている。だからこの森は、ブナの占める割合が圧倒している。そのキーパーソンになっているのが菌類だという。キノコは、森の掃除屋的な役割だけでなく、森の繁栄を支える重要な役割を担っているというわけ。キノコは凄い!
  • ドクツルタケ(猛毒)・・・全体が白色のキノコで、傘の下にツバと根元にツボ、柄にはササクレがあるのが特徴。誤って食べると、死亡することもある恐ろしいキノコである。絶対食べてはいけないキノコの一つ。 
  • ブナの林床に岩が点在する周辺には、アケボノサクラシメジが群生するという。今年は発生が大幅に遅れている。
  • 参考:アケボノサクラシメジ(食用)・・・このキノコは、ブナ林特有のきのこの一つで、サクラシメジより大形で、全体的に白っぽく、姿、形が美しい。採取のコツは、一つ見つけたら、周辺を探すこと。写真のように列をなして生えている。
  • 林床にはチャナメツムタケが群生・・・ブナ林の林床は、長年の落ち葉が降り積もり腐葉土が分厚く、歩くとフカフカ状態になっているのが分かる。こうした森には、チャナメツムタケがたくさん生えるという。傘の色やヌメリがナメコに似ていて、土から生えているように見えることから、別名「ツチナメコ」とも呼ばれている。
  • 参考:チャナメツムタケ(食用)・・・肉質も厚くヌメリ気もあり、火を通すとコクのある出汁が出る。ヌメリが強く、汁物にはナメコ以上にコクのある旨味がでる。鍋物、けんちん汁、野菜との油炒め、炭火焼、味噌汁、煮物など。
  • ブナ林で採取されたキノコの判別と解説・・・今年はキノコの発生が悪いにもかかわらず、参加者が採取したキノコが所狭しと並べられた。秋田きのこの会のメンバーによる詳細な解説が行われた。
  • タマゴタケ(食用)・・・鮮やかな橙赤色で毒キノコのように見えるが、味区分Aランクの優秀な食用キノコ。根元の白いツバは取り除いて調理する。きのこ汁、けんちん、お吸い物などの汁物や鍋物には、こっくりとしたうま味のある出汁が出る。
  • タマゴタケとドクツルタケ(毒)
  • テングタケ(毒)
  • ハナビラニカワタケ(食用)
  • キツネノエフデ・・・強い悪臭を放つ。
  • ツエタケ(食用)・・・柄を壊さず掘り取ると、茎は長く地中に伸びて、杖を思わせることが名前の由来。特有の甘い香りと傘のヌメリが様々な料理に合う。柄は多少硬いが歯切れがよく、傘と切り離して調理する。 味噌汁、煮物など。
  • 参考:ヒメヤママユ(ヤママユガ科)・・・乳頭キャンプ場のトイレの壁に張り付いていたヒメヤママユ。成虫は、秋に羽化する。メスは、樹幹に不規則な卵塊を産みつける。幼虫の食草は、ブナ科、バラ科、ミズキ科、クルミ科、カエデ科、ニレ科など幅広く、平地から山地まで広く生息している。
  • 特別キノコ定食(田沢湖高原リゾートホテルニュースカイレストラン)・・・秋田へのこだわりキノコ5種(マイタケ、ナメコ、ブナシメジ、ニオウシメジ、トンビマイタケ)をメインにした特別メニュー。
  • 西木町「齋藤農園」で原木シイタケ栽培の見学・・・今では珍しい原木シイタケのハウス栽培で通年出荷しているという。また日本一大きい西明寺栗や生活排水が一切入らない田んぼや畑で米や野菜も栽培している。さらに干し椎茸やいぶりがっこなどの加工も行っている。
  • 原木シイタケのハウス栽培
  • 原木シイタケのもぎ取り体験・・・縄文時代以来、山菜やキノコの採集は主に女性の仕事だった。だから採集の遺伝子は、女性に色濃く残っていると言われている。それを象徴するかのように、シイタケのもぎ取り体験も、男性より女性が圧倒していた。