森の学校2024 「真澄の記録した自然」講座
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2025年1月18日(土)、森の学校2024「真澄の記録した自然」講座が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。参加者は50名。講師は、秋田県立博物館菅江真澄資料センターの角崎 大さん。江戸時代後期の紀行家・菅江真澄は、秋田の人にとって超貴重な記録を残した偉人だが、意外に知られていない。本講座では、「そもそも菅江真澄とは・・・」として、菅江真澄の人物紹介から始まり、真澄自身が登山して描いた森吉山の全景や冠岩、モロビ(アオモリトドマツ)、薬草・ミツバオウレン、鳥総立て(とぶさたて)などの話、秋田県の県魚・ハタハタやアイヌのイルカ漁・ブリ釣りなど海の生き物の話、米代川や旭川、雄物川など川の話、唐松神社のスギ並木やサイカチ、低地ブナ林、砂防林など樹木の話、そして滝や温泉の話など、幅広い分野にわたる真澄が記録した自然について解説していただいた。改めて、菅江真澄の膨大な記録、特に図絵は「秋田の宝物」だと再認識させられた。
- 主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン
- 協賛/(一社)秋田県森と水の協会
- 協力/秋田県森の案内人協議会
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- 菅江真澄肖像画(秋田県立博物館蔵)・・・菅江真澄は、各地を歩いて様々なことを記録した江戸時代の紀行家で、その記録は図絵が多く、当時の様子が分かる貴重な資料である。真澄は愛知県の生まれだが、秋田県の記録をたくさん残しているため、県立博物館に菅江真澄資料センターをつくって紹介している。
- 以下に講座で紹介された図絵のうち2枚を紹介する。
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- 森吉山(『雪の秋田根』/ 秋田県立博物館蔵写本)・・・右上のピークが向岳(森吉山山頂)、その手前が前岳、左の石塔は現在の冠岩、冠岩近くには森吉神社がある。
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- ハタハタ(『雪の道奥雪の出羽路』/ 秋田県立博物館蔵写本)・・・右図は、メスのハタハタと、その下にはブリコも描かれている。メスのハタハタには、黒メスと白メスがある。左図はオスのハタハタ。オスのハタハタも色の違いによって、黄金肌、黄肌、白肌がある。現在の八峰町八森で描いたもの。
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質疑応答 |
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- ① 横手市増田町の真人山に義経三貫桜の標柱がある。その標柱には、真澄が義経三貫桜について記録した内容が書かれているが、真澄の記録は史実に基づくものなのか、それとも全く真澄の想像によるものなのか?
→確かに真澄は増田町を訪れ、真人山周辺の様子を記録している。ただ義経伝説については真人山に限らず各地にある。例えば、義経が腰をおろして休んだという、腰掛松の話など。真澄も旅先で聞いた様々な義経伝説について記録しているが、そのほとんどが史実を記録したというよりは、当地に伝わっている話をそのまま記録した、といったところではないだろうか。
- ② 日記『岩手の山』の「舟橋」の図絵を見ると、描かれている山は、姫神山(岩手県盛岡市)のようにも見える。姫神山のほうが富士山の形に似ているので、これは岩手山を描いたものではなく姫神山なのではないか?
→真澄が図絵に描いた山の形が、現在見知っている、実際のものと異なるというのは、わりとよくある。特に鳥瞰図で描いた図絵などに関しては、実際に見える様子と違ってしまったということなのだろう。ただし、本図絵に関しては、真澄自身が盛岡で「岩手山を見た」と本文に書いているので、岩手山で間違いない。
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