森の学校2025 秋田駒ヶ岳トレッキング
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2024年6月24日(火)、森の学校「秋田駒ヶ岳トレッキング 春の息吹を感じよう!」が花の百名山・秋田駒ヶ岳で開催された。参加者は20名。前日の予報は、雨から晴れに向かう予報であったが、当日になると、昼前から雨風が強くなる悪天候に見舞われた。さらに阿弥陀池では木道が強風で被災し、歩くのも大変なほど破壊されていた。そんな厳しい環境で、送粉者の虫たちと共に「共進化」してきた植物たちが、随所で美しい花々を咲かせて出迎えてくれたので、たくさんの元気をもらった。
- 共催/秋田県森林学習交流館指定管理者(018-882-5009)・秋田県森の案内人協議会
- 協賛/(公社)秋田県緑化推進委員会
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- 秋田駒ヶ岳マップ・・・「秋田駒ヶ岳自然観察マップ」(編集/南八幡平地区パーク・ボランティア ホシガラスの会)より抜粋
- コース・・・秋田駒ケ岳八合目(1,310m)→新道コース→片倉岳展望台(1,456m)→阿弥陀池/駒ケ岳避難小屋(1,530m)→横岳(1,583m)→焼森(1,551m)→シャクナゲコース→秋田駒ケ岳八合目(1,310m)
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- ハクサンチドリの白花・・・ハクサンチドリは、紅紫色を中心に濃淡の変化が多いが、完全なる白花はシロバナハクサンチドリと呼ばれ、出会う確率は極めて低い。
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- マイヅルソウ・・・八合目周辺で見られるが、上部ではやや少ない。
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- タニウツギ・・・日当たりの良い山野から高山帯まで分布域が広い。
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- ズダヤクシュ・・・名前の由来は、長野県の方言で「ズダ」が喘息を意味し、この植物が喘息に効く薬草とされたことから。
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- ゴゼンタチバナ・・・登山道沿いでよく見掛ける花の一つ。花のように見える白色の総苞片は4枚で、十字形に並ぶ。花はその中心の小さな10個ほどの集まりである。葉が4枚では花がつかず、6枚になると花が咲く。
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- コミヤマハンショウヅル・・・木本性のつる植物で、低木などに絡んで長く伸びる。ミヤマハンショウヅルの変種で、本種の葉は1回3出複葉なのに対して、基本種の葉は2回3出複葉である点で見分けられる。なお秋田県では、ミヤマハンショウヅルは未確認だという。
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- 岩場に咲くイワウメ・・・岩場に生えて梅の花に似た美しい花をつけるが、今冬は豪雪だっただけに開花は遅い。草ではなく常緑小低木。
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- ヒメイワカガミ・・・葉に角ばった大きい鋸歯があり、白色の花の数が少ないのが特徴。
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- オオバキスミレ・・・葉が大きい点と、黄色い花をつける点が特徴のスミレ。
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- イワハゼ、別名アカモノ・・・登山道の脇に群生していることが多い。よく目立つ白色の花を下向きに開く。花冠は、鐘形で先は5裂し、やや紅色を帯びる。果実は球形で赤く熟し、酸味があって生食できる。
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- オオカメノキ・・・早春、アジサイに似た白い装飾花(上右:参考写真)をたくさんつけるが、花が終わり緑色の果実になっていた。大きな葉を亀の甲羅に見立てたのが和名の由来。別名ムシカリの由来は、ハムシの一種が葉の葉脈だけ残して葉脈標本のように食べてしまうことが多いことから、「虫食われ」が転訛したもの。
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- ミネカエデとナンゴクミネカエデの見分け方・・・ミネカエデ(上左)の葉の先は、ナンゴクミネカエデ(上右)のように尾状に長く伸びない。ナンゴクミネカエデの雄花は、花弁とガク片の幅が広いのに対して、ミネカエデは細く隙間が広い。
- 黄葉、紅葉の違い・・・ミネカエデは黄色に黄葉するが、ナンゴクミネカエデは紅色に紅葉する。
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- オガラバナ(カエデ科)・・・高山に見られるカエデの一種で、花が穂状に上向きに伸びるのが特徴。名前の由来は、この木材が麻幹(オガラ)と呼ばれる皮を剥いだ麻の幹のように柔らかくもろいことから。
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- タケノコ・・・チシマザサ(ネマガリタケ)は、秋田ではタケノコと呼ばれ、最も人気が高い山菜の代表格だが、ツキノワグマも大好物。もちろん登山道沿いの植物、動物の採取は禁止されているので注意。
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- 雪が解けたばかりの斜面に咲いていたバッケ(ふきのとう)とショウジョウバカマ
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- ノウゴウイチゴ・・・亜高山帯~高山帯に生える。バラ科の花は普通花弁が5枚だが、本種は7~8枚と多い。熟したイチゴは甘くて美味しい。
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- ベニバナイチゴ・・・濃い紅色の花をうつむき加減にに咲く。イチゴ類にはトゲがあるのが一般的だが、本種にはトゲがないのが特徴。
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- キバナノコマノツメ・・・和名のコマノツメは、葉の形が子馬の足のヒヅメに似ていることから。焼森や大焼砂の砂礫地に生えているタカネスミレに似ている。見分け方は、本種は葉が薄く光沢がないが、タカネスミレは葉が厚く光沢があり、さらに葉表が強く巻き込みロート状になるものが多いので区別できる。
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- ミヤマダイコンソウ・・・高山に生え、葉がダイコンの葉に似ていることから、「深山大根草」と書く。
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- ミヤマキンバイ・・・花は鮮やかな黄金色で、大きな群落をつくる。
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- エゾツツジ・・・秋田駒ヶ岳を代表する美しい花を咲かせる。落葉小低木だが、丈が低く色鮮やかな紅紫色の花が際立って見える。だから一見草花のように見える。1個のツボミの中に花が3個ほど入っており、次々に咲いていく。
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- コメバツガザクラ・・・葉が針葉樹のツガに、花が白から紅白色でサクラの花色に似ていて、小さな葉を米粒に見立てて、コメバツガザクラと呼ばれている。
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- 休憩・・・風と共に濃霧が流れ、遠くの視界はゼロに。やがて雨が降り出してきたので、全員雨具を着用して阿弥陀池に向かう。
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- コケモモ
- ハイマツの松ぼっくり・・・2年型で、翌年の8~9月、ほぼ横向きになって緑褐色に熟す。この種子散布の主役は、ホシガラスである。
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- エゾウラジロハナヒリノキ(ツツジ科)・・・ハナヒリノキの変種で、本州日本海側の多雪地の山地に分布し、ハナヒリノキより高所に生える。名前のとおり、葉裏が白いのが特徴。淡緑色の目立たない壺形の花を下向きに多数つける。
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- オノエラン・・・山の上に生えるランの意味で、「尾上蘭」と書く。高山の草地に生え、花は気品のある白色で美しい。根元に広楕円形の長さ4~6cmの葉が2枚つく。
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- ムシトリスミレ(タヌキモ科)・・・小さな虫を捕食する食虫植物で、スミレのような花を咲かせる。ただしスミレとは縁もゆかりもない。葉の表面は、球状の粘液を付けた細かい腺毛で覆われ、粘りつけられて動けなくなった虫を消化吸収する。阿弥陀池周辺に群生している。
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- チングルマ・・・阿弥陀池周辺では、最も人気が高いチングルマの旬は過ぎていたのが残念!恐らくムーミン谷のチングルマは、これから最盛期を迎えるであろう。
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- 風雨のため、避難小屋の中で昼食をとった後、午後は新道コースとシャクナゲコースの二つに分かれてスタート。
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- コマクサの花のツボミ・・・コマクサは、同じ砂礫地にタカネスミレと棲み分けをしながら生育し、少し遅れてピンクの花を付ける。見ごろは7月下旬頃。
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- タカネスミレ・・・コマクサが咲く前に、火山砂礫地を一面黄色に染めるタカネスミレ。葉の表側が内側に強く巻き込み、ロート状になっているので、葉の形でキバナノコマノツメと区別できる。また葉が厚く、緑色も濃く、光沢がある点で見分けられる。
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- 斜面一面を埋め尽くすタカネスミレの群落を鑑賞し、シャクナゲコースの急斜面を一気に下って八合目駐車場へ
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- コバイケイソウ・・・3~4年に1回程度しか咲かないが、今年は当たり年のようだ
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- シラネアオイ・・・雪渓や雪田の傍らに生え、日本が世界に誇れる日本特産種。
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- ミネザクラ(タカネザクラ)・・・高山に春を告げる花木の代表種で、雪が残るこの場所だけに咲いていた。
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- 雨と風が吹き荒れ、濃霧で視界はゼロの中、全員無事に八合目に到着・・・ご苦労様でした。
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参 考 文 献 |
- 「秋田駒ヶ岳自然観察マップ」(編集/南八幡平地区パーク・ボランティア ホシガラスの会)
- 「フラワートレッキング 秋田駒ヶ岳」(日野東・葛西英明、無明舎出版)
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