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手づくりミニ門松講座

 2014年12月26日(金)、「手づくりミニ門松講座」(各種参加教室)が、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に行われた。お正月を飾る「門松」は、新年に歳神が降臨する目印として設置されるもの。ミルク缶を使ったミニ門松だが、松竹梅の三点セットに加え、ナンテン、ユズリハ、水引きを使った本格的な門松が出来上がった。参加者は、予想以上に立派な門松ができたと大喜びであった。これで来年は良い年になること間違いなしである。
▲ミニ門松づくりの講師は、門松づくりの名人・黒崎講師。
▲ミルク缶を使ったミニ門松

 門松は、日本古来の自然神道の一つである「樹木信仰」を発祥としている。数種の常緑樹を神の依代とする依代信仰から、各家庭にも豊饒と平安をもたらす神霊を迎えるために、屋敷マツが植えられるようになった。また新年に無病息災、五穀豊穣をもたらす歳神の降臨を願い門松を立てるようになった。
ミルク缶、竹、縄・・・竹は3本一組 ナンテン(南天)・・・「難を転じて福となす」縁起物。また火災避け、悪魔除けの効果があるとされている。
▲門松の切り口は、「笑顔の口の形」のイメージでカット

 竹の上部は、斜めに鋭く切った「そぎ」ものが多いが、本来は上部を平らに切った「寸胴」ものが本道といわれている。今でも、伝統ある料亭や旧家、歌舞伎座などでは、寸胴の門松が飾られる。「そぎ」は、徳川家康が「三方ヶ原の戦い」(1572年)で敗れた武田信玄に対して、次は斬るぞという念を込めたのが始まりといわれている。
アカマツ・・・神霊が天から降臨するのを「待つ」につながる霊樹とされている。 ユズリハ・・・親が成長した子を後に譲り、家が代々続くめでたい木とされ、古くから正月の飾りに使われている。

 門松のメインはマツだが、その起源は平安時代。室町時代には竹が、江戸時代には梅が取り入れられ、「松竹梅」の三点セットが出来上がったという。 
▲縄でミルク缶の外側をきっちり巻く。
▲ミルク缶に5~6cmほど砂を入れる。
▲アカマツは、運が右肩上がりになるように、右側が高く、左側が低くなるように挿しこむ。
▲参加者は、だんだん形が見えてくるにつれて、製作に没頭・・・童心モードに突入していた。
▲正月飾りのリースとミニミニ門松
参加者の完成作品
 昔の門松は、サカキやクリ、ヤナギなども用いられ、今でも地方によってはトチノキ、スギ、ナラ、カヤ、ホオノキなどを飾る所もあるという。農村では、門松を門前ではなく、屋敷の中で家の正面に立てられる場合が多い。また、樹種もマツに限らず常緑の広葉樹を使う地域もある。地方によって自生している樹種が異なるだけに、縁起物として使う樹種も多様性に富んでいる。
 最後に、黒崎講師から・・・ストーブのある所に置くと乾燥してしまい長持ちしない。正月までまだ日があるので、できるだけ寒い玄関や小屋などに置いておくと長持ちするとのアドバイスがあった。       
参 考 文 献
「続・読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)