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 2014年4月19日(土)、「森の学校2014」が開校。その第1回しいたけ植菌体験は、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に、一般・親子80名、協力として森の案内人協議会から22名の参加を得て開催された。

●内容/1人2本の植菌体験と持ち帰り(1家族2名まで)  ▲対象/親子、一般
◆主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン(018-882-5009)
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/秋田県森の案内人協議会
▲原木シイタケ栽培  ▲天然シイタケ

 原木シイタケの栽培といえば、素人がつくるのはとてもとても・・・と思っている方が多いのではないだろうか。実は、庭木の下や軒下など、少しのスペースさえあれば原木栽培は可能で、家庭菜園より簡単・・・しかも、自分で育てた原木栽培のシイタケは、香りも味も良く、天然物とほとんど変わらない。
 天然の場合は、その年の天候によっては不作になったり、傘が完全に開ききったり、小さかったり・・・とかく品質が一定しない。一方、原木栽培は傘が八分ぐらい開いた適期を狙って採取することが可能だから、品質は一定で天然物を上回るといっていい。原木しいたけ栽培の魅力は、旬の野生の風味を手軽に楽しめることである。(写真:ミズナラに生えた天然シイタケ)
 シイタケは、日本で最も普及している栽培きのこの代表である。だからキノコの生産量は、シイタケが日本一と思ったが・・・実は、1位がエノキタケ、2位がブナシメジで、シイタケは3位だという。ちなみに4位はマイタケ、5位 エリンギ、6位 ナメコであった。

 シイタケは、天然、栽培を問わず、春と秋の二回発生する。シイタケは、その食味の素晴らしさに加え、古くから「不老長寿の妙薬」として珍重されてきた。
▲シイタケ種菌 ▲種菌は、一人当たり80個配布

 シイタケ種菌は、家庭で余り手間をかけずにシイタケを採りたい人向きで、全国的に最も多く使用されている品種で、発生温度は、7~20度、秋と春の二回出るタイプを使用。
原木の樹種等

① 最も適した樹種はクヌギ、コナラ、ミズナラで、今回はコナラを使用。平均径12cm×長さ90cm。
② 落葉広葉樹の伐採時期は、秋の黄葉初期から春の新芽が出るまで。樹液の流動が停止した休眠期が伐採適期である。
③ シイタケは、樹皮がないとキノコをつくれないので、乾燥しすぎないよう注意する。
▲穴を開けるラインの位置は、右の写真のように原木にマジックで印を付ける・・・計6ライン。
▲90cmの原木に、穴の位置を印した定規の位置に従い電動ドリルで穴を開ける。

 赤印の位置に5ヵ所穴を開けたら、次のラインは千鳥になるように黒印の位置に6ヵ所穴を開ける。穴の数は、5ヵ所×3ライン+6ヵ所×3ライン=33ヵ所。
▲電動ドリル・・・Φ9.2mm×深さ3cm
▲今年のしいたけ植菌体験は、この上ない好天に恵まれた。一般に、植菌時期は、梅の花が咲く頃からサクラの咲く頃が適期である。ちなみに、今年のサクラの開花予想は明日(4月20日)である。
▲10人×8班に分かれ、森の案内人に電動ドリルの使い方、穴をあける位置の指導を受けながら作業。
▲穴に種駒を入れ、木づき、または金づちで種駒の頭が樹皮面より出ないように優しく打ち込む。
 植菌したら、1ヶ月ほどは雑菌が入らないように、雨が当たらず、かつ風通しの良い軒下などに仮伏せする。その後、本伏せをする。
  シイタケは、二夏を越した来年秋から出だし、次の春と秋の二回出るようになる。一般に4年は出る。ただし、次第に春には出ても、秋には出なくなる。

しいたけ栽培のポイント

① 風通しの良い木陰に伏せ込む。
② ホダ木は、直射日光や西日の当たらない所。不十分な場合は、遮光ネットやスダレなどをホダ木の上に張る。
③ 梅雨~夏期は、雑草や低木を刈り払い、通風を良くすること。
④ 9月頃、ホダ木の天地返しや積み替えを行い、菌糸を均一に成長させる。
⑤ キノコの芽が出る秋には十分散水すること。
⑥ ホダ木を叩いて振動を与えるなど、刺激を与えればシイタケが良く生えるといわれる。         
原木しいたけの採り方

 傘が八分ぐらいに開いたら、柄をもって石づきからもぎとる。傘が全開すると品質が落ちるので、開ききる前に採取するのがコツである。
シイタケは薬効が凄い・・・シイタケ食べて健康に!

骨の形成・くる病の予防・・・骨の形成に重要な働きをするビタミンD2の母体であるエルゴステリンが多く含まれる。
血圧降下作用・・・人体実験で証明されている。
コレステロール値を下げる作用・・・有効成分はエリタデニン
インフルエンザの予防・・・胞子には抗ウイルス作用のあるインターフェロンを誘発する作用がある。
貧血防止・・・ビタミンD12は赤血球を増す作用があり、シイタケには豊富に含まれているので貧血ぎみの人によい。
ビタミンB1、B2も多く含まれる。
抗がん作用・・・シイタケに含まれる多糖体「レンチナン」が、抗がん剤として中央薬事審議会で製造が承認された。
美容食に最適・・・カロリーが少なく、食物繊維が多い。         
参 考 文 献
「家庭でできるキノコづくり」(大貫敬二著、農文協)