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 2014年7月12日(土) 「2014 あきた水と緑の森林祭」が大仙市中仙地域/八乙女公園で開催された。心配された台風8号は、前日午前9時、太平洋上で温帯低気圧に変わってくれた。開催当日は、一部通り雨に見舞われたものの、終日好天に恵まれ、多くの家族連れで賑わった。

 「森の学校2014」では、森の恵み・燻製づくりの実演と試食会を始め、アンパンマンの首飾りや竹笛づくりなどのクラフト教室を開催。子供からお年寄りまで幅広い層が参加し、大好評であった。

●内容/記念式典、森づくり活動、木工体験・クラフト教室、木登り体験、地元特産品展示・販売など
◆主催/秋田県、大仙市、公益社団法人秋田県緑化推進委員会
◆協賛/JR東日本、NTTドコモ東北支社秋田支店、仙北東森林組合、仙北西森林組合
◆協力/秋田県森林学習館・プラザクリプトン(018-882-5009)、秋田県森の案内人協議会
▲記念式典オープニング・・・大仙市太田町「東今泉八幡太鼓」が披露された
▲主催者あいさつ(橋口副知事)  ▲秋田県水と緑貢献賞表彰 

 秋田県の緑化運動は、昭和25年、第1回秋田県植樹祭をスタートに、今回で65回目を迎える。平成20年度からスタートした「水と緑の森づくり税」や「緑の募金」に対する普及啓発と、県民参加の森づくりに対して理解と協力を深めてもらうためのイベントである

平成26年度秋田県水と緑貢献賞受賞者

 本荘「水源の森」育成会(会長 木内義範/由利本荘市)
 八乙女山を守る会(会長 熊谷勲/大仙市)
 花館地区コミュニティ会議(会長 佐藤正雄/大仙市)

平成26年度秋田県県産木材利用推進功労者
 株式会社 門脇木材(代表取締役 門脇桂孝/仙北市)
▲全国でも大仙市だけで行われているという珍しい競技「昼花火」

 「煙竜」は、紅や黄、青、緑、紫などの色煙が織りなす模様やその変化する様子が、「割物」は夜の割物花火と同様に「菊」や「牡丹」を色煙や光でどのように表現するかが重要な競技のポイントになるという。
森づくり活動

 記念式典が終わると、八乙女公園内で、代表者による記念植樹や一般参加者による追肥、ボランティア参加者による下刈り作業が行われた。
 サクラは、肥料が切れると生育が悪くなり、病虫害にもかかりやすくなるという。だから、7月頃、粒状の肥料を木の周りに浅く埋め込む追肥作業を行う必要がある。子どもたちや親子など、大勢の参加者たちは、八乙女公園内のサクラの森に移動し、追肥作業に汗を流した。
▲自作の木製スモーカー ▲燻煙材は大山桜 ▲60~80℃で6時間燻煙する

 「森の学校2014」では、大きな木製スモーカーによる手作り燻製の実演と試食会、クラフト教室を開催した。メインのスモーカーは、進藤インストラクターの自作である。燻煙材は、ソメイヨシノではなく山桜の方が良い香りがする。だから山に自生している大山桜を昨年の11月に伐採し、乾燥させたものを使用した。

燻煙材の特徴

①オオヤマザクラ・・・香りが強く、クセのあるマトンや豚肉、魚にも合う
②リンゴ・・・果樹特有の甘い香りを持ち、鶏肉、白身魚に合う
③ナラ・・・タンニンが多く、色つきが良いので魚介類に合う
④ブナ・・・ナラと同様で、魚介類に合う

 ただし、上記のマニュアルにこだわる必要はない。むしろ、ブナ帯の広葉樹をいくつか組み合わせて、自分だけのオリジナルブレンドをつくったりすれば、楽しさは無限に広がる。
 燻製の素材は、八幡平ポークのベーコン、ソーセージ、チーズ、かまぼこ、厚揚げの5種類。煙の香りと風味を手軽に楽しめる「温燻法」は、初心者向き・・・温度は60~80℃程度で、6時間ほど燻煙する。温燻には、魚、ベーコン、ソーセージ類、ハム類、貝類、卵、豆腐など、適する素材の種類も多い。

冷燻法・・・15~30度の温度で1~3週間燻煙する。保存性が高く、本格派向け。
熱燻法・・・100~140度の高温で30分~4時間燻煙する。釣った魚など、その場で燻煙にして食べる場合に適している。
 かつては、どこの家でも燻製は、ごく当たり前の保存兼調理法であった。囲炉裏の上に川魚やダイコンを吊るし、煙で何日もいぶしたものである。しかし、囲炉裏が消え、冷蔵庫が出現すると、太古の昔から受け継がれてきた燻製は、すっかり日常生活から消えてしまった。

 けれども、秋田の食文化を代表する「いぶりがっこ」のように、素材の美味しさと保存性を最大限引き出すには、ブナ帯の広葉樹(ブナ、ナラ、オオヤマザクラなど)の香りと風味に勝るものはない。
 燻製の手順は、塩漬け又は漬け込み液に浸す→塩抜き→風乾→燻製と、手間暇がかがる。それだけ素材は、時間をかけて熟成され、さらにじっくり燻煙することによって黄金色の燻製品に仕上がる。それをひとくち口に入れると、独特の香りと風味が広がってゆく。だから、誰もが「美味しい!、美味い!」とうなった。
 燻製用スモーカーの実演は、ブースの前で行った。来場者は、モクモクと燻煙を上げる大きな箱を興味深げに見入ると・・・「この燻製器の設計図はないか」「どうやって作るんだ」などと、矢継ぎ早の質問が飛んでいた。そして「よし、俺も作ってみよう」という人も少なくなかった。秋田の水と緑の素晴らしさを、食で味わうには、燻製が最高の方法であろう。
▲クラフト教室「アンパンマンの首飾り」見本
▲人気のキャラクター「アンパンマン」の見本に興味津々の子どもたち 
 アンパンマンの首飾りづくりは、親子連れはもちろんのこと、孫のお土産用にチャレンジした高齢者もいて大人気であった。
▲クラフト教室Part2・・・竹とサシドリを使った笛づくりも大盛況であった。
▲「緑の募金」・・・苗木・花苗プレゼント

 緑の募金をされた方々に、ソメイヨシノの苗木や花苗がプレゼントされた。花苗は、マリーゴールド、千日紅、ブルーサルビア、メランポジウム、ベゴニア、日々草の6種類。
NPOヤマビルプロジェクト

 NPOヤマビルプロジェクトは、荒れた里山の保全、ヤマビル被害を無くすための啓蒙活動、ヤマビルの生態と対策方法の研究開発を行っている非営利団体。ヤマビル避けスプレー「ダウンヒル」の開発は、秋田県立金足農業高校の卒業生とヤマビル博士・田中大介先生によって開発された。この売上金の一部は、同上プロジェクトのために使われている。
▲仙北林業後継者会「木工体験」 ▲スギ間伐材で作った「竹馬」
▲花火の街「大仙市」 花火展示コーナー

 一般に打ち上げられている花火の標準サイズは割物10号玉とのこと。最大の割物30号は、打ち上げ場所が河川敷では狭すぎて打ち上げられない。30号を打ち上げているのは、広い能代港で行われる能代の花火(2014年7月19日)で使用されているという。
▲樺細工の原料(富岡商店)

 樺細工の原料は、オオヤマザクラ、カスミザクラ、ヤマザクラの樹皮を剥離したもの。そのザラザラした表面を磨けば、右上写真のとおり美しい樺に変身する。なお、樹皮は全て剥ぎ取ると枯死するが、一部の樹皮を残すなど、節度ある採取をすればサクラは生育し続けるという。
▲郷土芸能「ドンパン踊り」 ▲列車戦隊 トッキュウジャーショウ
▲ミニ・ミュージカル「葉っぱのフレディ」(農林水産省みどりの大使・2014フレディーズ)
▲秋田木の登りクラブ・・・森の空中散歩を楽しむ

 私たちの祖先は、木の上で生活していた。だから木を見たら登れ・・・と言いたいのだが、初心者は危険が多いのも確か。だから安全確保のために、ハーネスやザイル、エイト環、カラビナなどを使用している。さらに上と下でクラブ員がサポートし、安全には万全を期しているから安心だ。

 森林を理解してもらうには、頭ではなく体で体験することが最も大事である。だから、木を見たら、木の名前よりも、まずは木に登ることにトライしてもらうことが大事である。不思議なことに、ひとたび木に登れば、そのおもしろさにはまってしまう。それは眠っていた「木登りDNA」が蘇るからだという。
▲モンキーロープ

 木と木の間にロープとスラックライン(綱渡り用の幅広のロープ)をつないで渡る。バランス感覚や集中力を鍛えることができる。
高い木に登ると、視点がガラリと変わる。
まるで鳥になったような気分を味わうことができる。 
 木登りした高い木から斜めに張ったロープにカラビナを通して一気に滑り降りる。最初は、怖がる人もいたが、滑り始めると満面の笑みが広がる。一度滑り終えると、その快感が忘れ難く、「もう一度やりたい!」との声が多く聞かれた。

 こうした多彩なイベントをとおして、水と緑に生かされた「あんべいいな秋田県」が次の世代へと継承されることを期待したい。