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 2014年12月10日(水)、森の学校第12回「森の素材でつくるクリスマス&お正月飾り」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンで開催された。午前の部22名、午後の部18名、合計40名が参加。今回は、初めて参加した方が意外に多かった。参加者は、豊富な森の素材に触発されたのか、製作に没頭。講師のアドバイスを受けながら、世界に一つしかない素敵なリースづくり、お正月飾りを楽しんだ。

●内容/森の素材で作るクリスマス・リース&お正月飾り  ▲対象/一般
◆主催/秋田県森林学習館・プラザクリプトン(018-882-5009)
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/秋田県森の案内人協議会
 クリスマスリースやお正月飾り・門松は、何のためにを飾るのだろうか・・・それにはちゃんとした理由がある。それを理解した上で製作すれば、願い事がかなうような、より深い作品になるであろう。また、森の素材である松や竹、松ぼっくり、木の実などにも、それぞれ意味がある。さらにはカラーにも意味がある。
「聖なる夜を彩る」クリスマス・リース見本(山上インストラクターの作品)

クリスマスリースを飾る意味は・・・

 第一に魔除け・・・クリスマスリースによく使われるヒイラギや松などの常緑樹には、殺菌・抗菌作用があることから、玄関に飾ると魔除けにも効果があるとされている。日本でいえば、しめ縄のような役割があるといわれている。

 第二は豊作祈願・・・リースには、松ぼっくりや麦の穂、葡萄の蔓、リンゴなどが飾られるが、これは「収穫」の象徴・豊作祈願を意味している。

 第三は幸福・・・リースの輪は、終わりのない形状から「永遠」「無限」「平和」を意味し、それは幸福を象徴、幸運を呼び込むとされている。
クリスマスカラーの意味は・・・

 赤はキリストの血・寛大な愛、緑は永遠の命・愛、白は純潔・雪、金・銀は希望・富・豊かさを象徴するとされている。だから赤系の花や実を使ったり、草木の緑、ワタや花の白、松ぼっくりを金色、銀色に染めたものを使ったりするのである。
「初春を飾る」お正月・リース見本(山上インストラクターの作品)
正月飾りは歳神を迎える依代

 もともと元旦は、1年の始まりにあたって新しい歳神を迎え、旧年の豊作と平穏に感謝し、合わせて今年の豊作と無事を祈念するための日である。だから、新年を迎えるにあたっての正月飾りは、歳神を迎えるための依代と考えられている。

 は、昔から神と交わる木、神が天上から降臨する依代と言われ、神を「待つ」につながる霊樹とされている。は、七夕に使う竹にみられるように、神の依木といわれ、起工式や神楽などでは、四隅にさす竹のように聖域を示す儀式植物である。門松は、慶事・吉祥のシンボルとして「松竹梅」と、「難を転じて福となす」と言われる縁起物「ナンテン(難転)」などを加えて飾られる。
講 師 紹 介
▲講師・宮崎一彦さん(国土防災技術株式会社・参事) ▲山上インストラクター
▲進藤インストラクター ▲森の案内人・三浦緑さん
▲森の案内人・刑部冨夫さん ▲森の案内人・刑部節子さん
 
 森からの贈り物・・・森は自然素材の宝庫
▲月桂樹
▲ホオヅキ ▲トウガラシ ▲アシサイ
▲アケビのつる  ▲つるを輪にしたリース
▲ブルーアイス ▲ヒムロ・ヒバ類 ▲アカマツ
▲ゴヨウマツ、ツバキ、コウヤマキ

 コウヤマキ(高野槙)は、古くから信仰の山・高野山では、霊木として保護され、ご仏前に供花の代わりに供える風習がある。今でも、法事、仏事、お盆、お彼岸、正月、お墓参りなどには欠かせない樹木である。
▲大小様々な竹の素材
▲木片と木の実に描いたサンタクロース(進藤インストラクター作)
▲午前の部・作業風景

 クリプトンで開催しているクラフト、リースづくりは、何と言っても森の素材が豊富なこと。さらに森の素材にサンタクロースを描いたオリジナル素材も用意されている。その森の豊富な素材を目の前にすれば、眠っていた感性が呼び覚まされ、否応にも創造力をかきたててくれる。だから参加者の皆さんは、初心者、ベテランを問わず、童心に帰ったように製作に没頭していた。
▲午後の部・作業風景

 宮崎講師は、誰でも隣の人のものが良く見えるもの。立派につくろうとか、他人の作品を真似ようなどと思わないこと。自分の感性で、自分が好きなものを自分なりに工夫して、個性たっぷりの作品づくりに没頭することが、世界で一つしかない素敵な作品づくりのコツだという。
 「いけばな」の教えでは、枝葉や花に弾むような勢いがあること。同じ色を左右へ使うことは、対象になり過ぎておもしろくない。花材の少なすぎるのも寂しいが、多過ぎるのもうるさく閉口だ・・・など、リースづくりにも共通する教えが多い。
▲製作したリースを白いボードに置いて、全体のバランスを見ながら仕上げる。
 午前にクリスマス・リース、午後にお正月飾りと両方に挑戦した参加者も少なくなかった。
参加者の作品
▲竹を使ったお正月飾り
参加者が製作した作品・・・クリスマス・リース又はお正月・リース+ミニ門松+竹を使ったお正月飾り

 お正月飾りは、松や竹、木の実などに加え、100円ショップで売られているご祝儀袋の水引を使うと、低コストかつ簡単にできる。薄くスライスした竹を幾つか組み合わせたものをベースにしたお正月飾り(右上の写真)は、シンプルイズベストな作品が簡単にできるので、好評であった。
「シンプルイズベスト」(山上インストラクターの作品)

 クリスマス・リース、正月飾りは、市販品をお金で買うこともできる。しかし、森からの贈り物をメインに、心を込めて手づくりする喜びは、他に代えがたい。だから、また来年あれば参加したいとの声が多く聞かれた。
参 考 文 献
「ハンドメイド・リース」(雄鶏社)
「続・読む植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「和の暮らし大事典」(新谷尚紀、学研)