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冬の森・アニマルトラッキング&クラフト

 2016年1月30日(土)、「冬の森・アニマルトラッキング&森のクラフト」(秋田市環境部環境総務課主催)が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。親子ら約20名が参加。今年は雪が少なく、一度解けかかった雪が、夜間の冷え込みで凍りついて堅雪になる場合が多い。その堅雪で動物の足跡が不鮮明になるのではと心配されたが、当日は、好天に恵まれ、ウサギなどの足跡や越冬する昆虫などを観察することができた。
▲秋田市環境部環境総務課主催「親子環境教室」の一環で開催。講師は、森の案内人3名と当館インストラクター。
▲雪の上を楽に歩くための雪上歩行具の一つ「スノーシュー」、「西洋式かんじき」とも呼ばれている。
▲森の入口でスノーシューを履く。
アニマル・トラッキング

 動物が歩いた足跡、羽跡、爪跡、食痕、糞などの痕跡から、どういう動物が、どのような行動をしたか、どのような生活をしているかなど、その動物の生態を読みとることをアニマル・トラッキングと言う。
ウサギ(トウホクノウサギ)の足跡

 今回、森の中で最も多く見られた足跡がウサギ・・・その足跡は、前足が小さく、後ろ足が極めて大きいのが特徴。ジャンプして前進するため、小さな足跡二つが縦に並び、大きな後ろ足二つは横に並んでいる。足跡の形から進行方向が分かる。上左の写真では手前から奥へ、右上・右下の写真では奥から手前方向に進んでいる。
松枯れの犯人は

 松枯れの犯人は、北米原産の線虫・マツノザイセンチュウ。わずか1mmにも満たない虫が松の細胞を破壊し枯らしていく。この線虫自身には、移動力がない。それを運ぶのはマツノマダラカミキリである。枯れた松に産卵し、サナギから成虫となって羽化する時に、線虫がカミキリムシの体内に忍び込む。カミキリムシは、元気な松に次々と飛んでいき若い枝をかじる。その傷から線虫は松へ入り込み、その中で繁殖して松を枯らしていく。謎だった松枯れの原因が分かっても、それを駆除する決め手はない。今では、秋田県を北上して青森県へと被害が拡大している。
雪に強いしなやかさ

 枝先が雪に埋もれてアーチを描いていた。大雪でも折れないしなやかさがあるから、樹木たちは豪雪帯で生き抜くことができる。ブナ林の下層部は、チシマザサが多い。チシマザサは、曲げても折れないしなやかさを活かして雪の下に潜り込んで冬を越す。春の雪解けと共に一斉に立ち上がり、人が歩けないほど密生する。また、ブナ林帯に生えているエゾユズリハ、ハイイヌガヤ、ユキツバキ、クロモジ、オオカメノキなども、雪に強い粘りとしなやかさを持っている。
カメムシの仲間

 ドイツトウヒの皮を剥ぐと中にカメムシ類の成虫がいた。カメムシ類は、成虫の姿で越冬する種類が多い。卵から産まれたカメムシの幼虫はサナギの段階を経ずに成長して、夏から秋にかけて成虫になる。その後、越冬場所へ移動して成虫の姿で越冬する。主な越冬場所は、樹皮の隙間、落葉、枯れ葉の間、石の下など。春になると、本来の場所へ移動して産卵する。
ムネアカオオアリの巣

 枯れた幹の穴に巣をつくっていたムネアカオオアリ。クロオオアリと並んで日本最大のアリ。他のアリのように土の中に巣を作らず、朽木や枯れ木に営巣する。胸が赤いので、動くとよく目立つ。働きアリの体長は8~12mm、女王アリの体長は16~17mm。
スカシダワラ

 ガの仲間「クスサン」は、7月前半頃に楕円形の固い網目のマユを作ってサナギになり、9月から10月にかけて羽化する。マユは、糸を太く固めたすき間だらけ・・・これを「スカシダワラ」と呼んでいる。冬は羽化した後なので中は空っぽ。
▲ハクモクレンの冬芽
▲膨らみ始めたスギの雄花。秋田では、例年3月中旬から4月にかけてスギ花粉の飛散時期である。
午後からは、「森のクラフト、リースづくり」

 竹を二つに割った器の中に、バイキング風に盛られた森の素材の中から、気に入った素材を小皿にとり、自分だけのクラフト、リースづくりを楽しんだ。
▲「森のクラフト、リースづくり」作業風景
▲子どもたちの作品