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2015森の学校 第1回しいたけ植菌体験

 2015年4月18日(土)、「森の学校2015」が開校。その第1回しいたけ植菌体験は、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に、一般・親子73名、協力として森の案内人協議会から25名の参加を得て開催された。

●内容/1人2本の植菌体験と持ち帰り(1家族2名まで)  ▲対象/親子、一般
◆主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン(018-882-5009)
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/秋田県森の案内人協議会
▲進藤インストラクターより作業の要領、注意点、栽培のポイント等について説明

 天候不順のため、急きょ会場を屋根付きの玄関側に変更。市内のサクラは、ほぼ満開状態になっているが、当日は、雨こそ降らなかったものの、寒い風が抜き抜ける中で作業が行われた。森の案内人の方々の応援のお蔭で、安全かつスピーディに作業が行われた。
 原木の樹種はコナラ。平均径12cm×長さ90cm。穴を開けるラインの位置は、上の写真のように原木にマジックで印を付ける・・・計6ライン。
▲90cmの原木に、穴の位置を印した定規の位置に従い電動ドリルで穴を開ける。

 赤印の位置に5ヵ所穴を開けたら、次のラインは千鳥になるように黒印の位置に6ヵ所穴を開ける。穴の数は、5ヵ所×3ライン+6ヵ所×3ライン=33ヵ所。
▲電動ドリル・・・Φ9.2mm×深さ3cm
 植菌時期は、梅の花が咲く頃からサクラの咲く頃が適期と言われている。ちなみに、今年のサクラの開花は、昨年より10日も早い4月11日・・・既に満開に近い状態である。
▲森の案内人に電動ドリルの使い方、穴をあける位置の指導を受けながら作業を行う参加者。  
▲シイタケ種菌

 シイタケ種菌は、家庭で余り手間をかけずにシイタケを採りたい人向きで、全国的に最も多く使用されている品種で、発生温度は、7~20度、秋と春の二回出るタイプを使用。
▲穴に種駒を入れ、木づき、または金づちで種駒の頭が樹皮面より出ないように優しく打ち込む。全部の穴が、しいたけ種菌でふさがれると完成。
▲親子で植菌体験
▲途中から寒風が吹きすさび、防寒具を着用して作業する参加者。

 シイタケ菌をホダ木に活着させるための初期管理のことを「仮伏せ」と言う。植菌したら、1ヶ月ほどは雑菌が入らないように、雨が当たらず、かつ風通しの良い軒下などに仮伏せをする。その後、「本伏せ」をする。
「シイタケ(椎茸)」の名前の由来

 シイタケは、季節に関係なく発生することから、「四季茸(シキタケ)」と言われ、それが訛って「シイタケ」になったとする説がある。また、椎(シイ)の木に多く発生することから「椎茸」になったとする説がある。しかし、現在、シイタケ栽培に用いられる原木は、クヌギやナラが主体である。
しいたけ栽培のポイント

① 風通しの良い木陰に伏せ込む。
② ホダ木は、直射日光や西日の当たらない所。不十分な場合は、遮光ネットやスダレなどをホダ木の上に張る。
③ 梅雨~夏期は、雑草や低木を刈り払い、通風を良くすること。

④ 9月頃、ホダ木の天地返しや積み替えを行い、菌糸を均一に成長させる。
⑤ キノコの芽が出る秋には十分散水すること。
⑥ ホダ木を叩いて振動を与えるなど、刺激を与えればシイタケが良く生えるといわれる。  
  シイタケは、二夏を越した来年秋から出だし、次の春と秋の二回出るようになる。一般に4年は出る。ただし、次第に春には出ても、秋には出なくなる。シイタケ栽培は、家庭菜園より簡単で、かつ長期間楽しめるのが最大の特徴である。
シイタケ料理

 焼き物、バター炒め、煮物、天ぷら、鍋物、味噌汁など、どんな料理にも合う。ちなみに、天然シイタケとホダ木栽培されたシイタケの味の差はほとんどないと言われている。ただし、市場で主流の菌床シイタケは味が劣る。

 シイタケを料理する時は、生も干しシイタケも少し日光に当てると、ビタミンDをよく取り出すことができる。シイタケの旨味成分はグアニル酸、昆布はグルタミン酸・・・この二種類の旨味成分をあわせると相乗効果で、単品で出汁をとるより最高17倍もの旨味が得られるという。ちなみにキノコ類は、乾燥すると酵素の働きで旨味が増す。
シイタケは薬効が凄い!

 古くからシイタケは「不老長寿の妙薬」として珍重されてきたが、1960年代以降、数々の研究者たちによってシイタケの薬効が報告されている。そのシイタケの薬効は、ただただ凄いの一言である。

骨の形成・くる病の予防・・・骨の形成に重要な働きをするビタミンD2の母体であるエルゴステリンが多く含まれる。
血圧降下作用・・・人体実験で証明されている。
コレステロール値を下げる作用・・・有効成分はエリタデニン

インフルエンザの予防・・・胞子には抗ウイルス作用のあるインターフェロンを誘発する作用がある。
貧血防止・・・ビタミンD12は赤血球を増す作用があり、シイタケには豊富に含まれているので貧血ぎみの人によい。
ビタミンB1、B2も多く含まれる。

抗がん作用・・・シイタケに含まれる多糖体「レンチナン」が、抗がん剤として中央薬事審議会で製造が承認された。
美容食に最適・・・カロリーが少なく、食物繊維が多い。 
参 考 文 献
「゛読む゛植物図鑑」(川尻秀樹、全国林業改良普及協会)
「家庭でできるキノコづくり」(大貫敬二著、農文協)