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森の学校⑥ 2015あきた水と緑の森林祭

 2015年7月12日(日) 「2015あきた水と緑の森林祭」が、2008年に全国植樹祭の会場となった北秋田市上杉の県立北欧の杜公園で開催された。記念式典に続き、代表者による記念植樹やボランティア参加者による下刈り体験、緑の募金活動、木工体験、木登り体験などが行われた。「森の学校2015」では、ミニリースとふくろうづくりなどのクラフト教室を開催。終日好天に恵まれ、さらに第8回東北チェンソーアート競技大会も同時開催されたことから、多くの家族連れで賑わった。

●内容/記念式典、記念植樹・下刈り体験、木工体験・クラフト教室、木登り体験、緑の募金活動、地元特産品販売、B級グルメなど
◆主催/秋田県、北秋田市、公益社団法人秋田県緑化推進委員会
◆協賛/JR東日本、一般社団法人秋田県造園協会、大館北秋田森林組合
◆協力/秋田県森林学習館・プラザクリプトン、秋田県森の案内人協議会
▲パークセンター ▲式典会場・風の音楽堂
▲記念式典オープニング

 オープニングを飾ったのは、昭和62年、まちおこしのために女性パワーを結集して創設された「婦団連たかのすふるさと太鼓」の皆さん。「世界一の大太鼓の里」にふさわしい歌と踊りに太鼓を加えた芸能が披露された。
▲歓迎のあいさつ(津谷永光北秋田市長) ▲来賓祝辞(近藤健一郎県議会副議長)

 秋田県の緑化運動は、昭和25年、第1回秋田県植樹祭をスタートに、今回で66回目を迎える。2008年6月15日、第59回全国植樹祭が県立北欧の杜公園を会場に開催された。その翌年、西暦と「あきた」が頭につく「2009あきた水と緑の森林祭」という名称に改められた。以来、現在までこのスタイルが踏襲されている。
平成27年度秋田県水と緑貢献賞受賞者(中島英史副知事から授与された)

 森吉山ブナ林再生応援隊(代表 村田 君子/北秋田市)
 雄物川町自然研究会(代表 佐藤 忠義/横手市)

平成27年度秋田県県産木材利用推進功労者

 藤島木材工業株式会社(代表取締役 藤島 眞砂子/北秋田市)
▲メッセージ朗読・・・鷹巣南小5年 佐々木智矢さん・近藤彩那さん
 「私たちは、美しい森や川、海を守り育て、未来に引き継いでいくため、これからも森づくり活動を続けていきます」と力強くメッセージを朗読した。
▲代表者による記念植樹
▲ボランティア参加者による下刈り体験

 全国植樹祭で植えた木は、ブナ、ミズナラ、イタヤカエデ、ホオノキ、ナナカマド、ヤマモミジ、ヤマボウシ、ミズキ、サワグルミ、トチノキなど。その木の周りの雑草を鎌で刈り取る作業を体験した。
▲「森の学校」のブースその1(秋田県森林学習交流館プラザクリプトン)
▲森の素材を使ったミニリース ▲エゴノキをベースにした「ふくろう」
▲女性に大人気だったミニリースづくり
▲親子連れに人気だった「ふくろう」づくり
▲「森の学校」のブースその2(秋田県森の案内人協議会)
▲竹とんぼづくり ▲イタドリを使った笛づくり

 昔は、今のように店に行けば何でもお金で買える時代ではなかった。だから、子どもたちが遊ぶ玩具は、自分たちで作らなければならなかった。その素材は、主に山野に生い繁っている植物を利用した。森の案内人協議会では、そんな昔の玩具づくりとして、竹とんぼとイタドリを使った笛づくり教室を開催し、子どもたちに手作りの楽しさを伝授した。
 イタドリで作った笛は、「ウシガエル」の「ブオーン、ブオーン」と鳴くうるさい音に似ていた。しかし、それは笛を作った人の出来栄えと吹く人の心によって音色は異なるという。手づくりの玩具は十人十色・・・そこがお金で買う玩具との大きな違いである。
▲「緑の募金活動」(公益社団法人秋田県緑化推進委員会)・・・緑の募金をされた方々には、花苗・苗木がプレゼントされた。
▲「woodyさんない」のユニークな作品 
▲TMC秋田木登りクラブ「木登り体験コーナー」

 木登り体験コーナーでは、安全確保のため、ヘルメット、ハーネス、ザイル、エイト環、二重ロックカラビナなどを使用し、さらに上と下でクラブ員がサポートするなど、安全には万全を期して実施された。スギの下部は、横枝がないので特製の梯子を使って登り、それより上は、横に張り出した枝を足場に登る。
 子どもたちは、クラブ員のサポートを受けると、今まで登ったこともない遥かな高さまで登ることができた。そして、しばし鳥になった気分で森を俯瞰した後、斜め下に向かって張ったロープにカラビナを通して一気に空中を滑り降りた。こうした体験は、既存の遊具では決して味わえないワイルドなものである。

 森は、普段眠っていた五感を呼び覚まし、人間が本来持っている能力を引き出してくれる。それが「森の学校」の素晴らしさなのだが、中でも木登り体験は、その最たるものだと思う。
▲子どもたちのバランス感覚や集中力を鍛える「モンキーロープ
▲シナノキ ▲キンシバイ
▲ノリウツギ ▲スモークツリー
▲前山郷土芸能保存会の皆さん

 前山郷土芸能は、2008年、「第59回全国植樹祭」において、天皇・皇后両陛下の前で披露された。2013年6月には、「北秋田市無形民俗文化財」に指定された。毎年、8月13日に雷皇神社へ奴踊りと雑魚釣り舞を奉納している。
第8回東北チェンソーアート競技大会

 チェンソーアートとは、チェンソーのみを使い、丸太を様々な形へと彫刻する豪快かつ繊細なアウトドアアートである。今回使った丸太は、高さ約2m、幅約70cmのスギである。チェンソーアートは、作品だけでなく、制作過程をエンターテイメントとして楽しむことができるのがもう一つの魅力。大会には、県内外の愛好家14人が参加。競技大会は、昨日に引き続き12日午前9時に再開された。出場者は、チェンソーを巧みに操り、制限時間の正午までに鷹とサケ、獅子の楽舞、熊のマタギ、金剛力士像などの作品を次々に完成させた。
▲心・技・体 ▲熊のマタギ ▲金剛力士像 
▲獅子の楽舞 ▲羊と猿 ▲鷹とサケ
▲水神 ▲老インディアン ▲秋田県北のブレーメン
 午後1時半から、完成した作品のオークションが行われた。
 チェンソーアートは、木を無駄にしないことがコンセプト。製材などに向かない間伐材、あるいは伐採して捨てられる端材などを有効利用することができる。森と共に生きる人たちの感性の豊かさ、木が持つ芸術性・・・それは、「森(自然)が芸術・文化を生みだす」源泉を象徴しているように思う。

 こうした多彩なイベントを通して、「みんなのこころに みどりのたねを」の合言葉どおり、わたしたちの生命を育み、健康で文化的な暮らしを支える水と緑の大切さについて理解が深められ、県民参加の森づくりの輪が一層広がることを期待したい。