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2015森の学校⑦ 森林インストラクターと親子で里山遊び

 2015年8月1日(土)、森の学校第7回「森林インストラクターと親子で里山遊び」が秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。祖父母、親子など41名が参加。プラザクリプトン周辺の里山探検や森のクラフト教室、青竹の間伐材を利用し冷やしソウメンを食べる器づくり、最後に秋田県産カブト虫がプレゼントされ、子どもたちは大喜びであった。

●内容/里山探検、森のクラフト、青竹で器づくり、カブト虫プレゼント ▲対象/親子、一般
◆主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/秋田県森林インストラクター会
▲「手づくり青竹そうめんセット」完成例
▲開校式、森林インストラクター等指導者の紹介
プラザクリプトンの森をフィールドに里山探検

 森林のスペシャリスト「森林インストラクター」の方々から、樹木の名前やその名の由来、私たちの暮らしにどのように利用されているか、花の特徴、実を食べる動物、昆虫などについて学んだ。
 観察した主な樹木は、ノリウツギ、アジサイ、ヒョウタンボク、アセビ、ブナ、ヤマモミジ、トチノキ、ユズリハ、ハクモクレン、サクラ、ハクウンボク、モミジバフウ、コナラ、ナナカマド、クリ、カツラ、オニグルミ、サルスベリ、ホオノキ、エゴノキ、バイカウツギ、ヤマナシ、イタヤカエデ、シラカバ、秋田杉など。
オニグルミとニホンリス

 ニホンリスは、食べ物が少ない冬に備えて、木の実を埋めておく「貯食」という行動をする。オニグルミは、腐ることがなく、殻が堅いので中身を利用できる動物は限られているので、盗まれる心配も少ない。さらに栄養価が高いので、ニホンリスが貯食するには、最も都合の良い木の実である。貯食されたオニグルミは全て利用されるわけではないので、食べ残されたものが発芽するチャンスを得ることになる。だからオニグルミにとっては、リスが重要な種子を散布してくれるありがい生き物なのである。
エゴノキとヤマガラ

 ヤマガラはエゴノキの実が大好き。秋になると、主にエゴノキの実を幹の割れ目や朽木に埋め込んで貯える習性がある。厳冬期にエサとして利用されるほか、翌年の繁殖期にヒナに与えるエサとして使われる。
▲プラザクリプトンの森で産まれた野鳥のヒナ
スカシダワラ

 ガの仲間「クスサン」の好物は、クリやクヌギ、クルミなど。そのマユは、2日ほどかけて完成するが、なぜか糸を太く固めたすき間だらけのマユである。これを「スカシダワラ」と呼んでいる。
▲トチの実

 縄文時代から食用として利用されている。秋に熟すとデンプン質が豊富で、それをすりつぶしてアクを抜き「トチモチ」などの材料として利用されている。また5月~6月、直立した円錐状の穂に白い花が咲き、良質なハチミツがたくさんとれる。
▲ヒョウタンボクの赤い実。実は猛毒。 ▲ハクウンボクの実は球形で9月に熟す。
▲ナナカマドの実は、球形で赤く熟す。 ▲クリの実・・・人もクマも大好物
▲ヤマナシの実。果肉はかたくてまずい。 ▲クサギの花・・・白い花冠と赤いガクが特徴。
▲アジサイ ▲ノリウツギの白花
森のクラフト教室

 里山探検の後、プラザクリプトン周辺で採取した森の素材を使い、カブトムシやクワガタ、森の妖精など、子どもたちの自由な発想を生かした森のクラフト教室が行われた。
子どもたちが創った作品
野外実習「青竹の間伐材を加工し冷やしソウメンを食べる器づくり」
▲モウソウチク(孟宗青竹)の太い間伐材を、ノコギリで両サイドの節を残して切る。

 モウソウチクは、針のような繊維をもち、きれいに切るのがなかなか大変である。さらに、一人でやろうとすると、青竹がグラグラ動いてなかなか切れない。家族や子どもたちに、両端を抑えてもらいながら、焦らずゆっくりノコギリで切る。
▲青竹を割るための専用ナタ ▲指導者に切った青竹を二つに割ってもらう。
▲二つに割ると器になる。 
▲青竹を二つに割るだけでは、切り口が鋭いので、森林インストラクター特製の紙ヤスリで丁寧に磨く。
▲つけ汁を入れる器もつくると完成。
青竹そうめんセットの使い方

・節の黒いよごれの部分を水とかたいブラシできれいに落とす。洗剤は竹にしみこむので使わないこと。
・そうめんを入れる前に必ず熱湯85℃以上で5分以上消毒する。
・水やつゆが漏れるので器の下にオシボリを敷く。

・器が回転しないよう、左上図のように器の両端にオシボリを丸めて固定する。
・使い終わったら、洗剤を使わず水やお湯で洗う。
・今年の夏しか使えないが、お花や植木鉢などに利用できる。
▲秋田県産カブトムシ・・・カブトムシは、昔も今も子どもたちのヒーローである。

 夏休み・・・雑木林の王者・カブトムシは、昔から子どもたちの最大の獲物であった。早起きを競って自分たちだけの秘密の木に向かって夢中で走りとった。カブトムシは、力があるので、お互いに角と角をぶつかり合わせて競わせたり、マッチ箱で作った車を引かせたり、糸をつけて飛ばしたりして遊んだ。
▲最後に秋田県産カブトムシがプレゼントされると、子どもたちは大喜び

 今回は、人気のオスばかりがプレゼントされた。産卵させる場合は、メスが必要。そのメスの捕獲を求めて・・・ゲームなんか止めて、明日から里山へGO!
カブトムシの成虫飼育(カブトムシの成虫の平均寿命は1~3ヶ月と短い)

・カブトムシは、よく動き回るので、なるべく大きな飼育ケースで飼育する。
・飼育ドコは産卵させる場合、広葉樹の完熟発酵マットを使用する。
・飼育ケースの深さに対して、5~6割の厚みが必要。

・産卵の必要がない場合は、管理しやすいココマットや水苔が便利。どちらも適度な加水が必要。
・ひっくり返ったカブトムシは、起き上がろうと体力を消耗してしまう。すぐ起き上がれるよう、多めに止まり木や産卵木を敷く。

・エサは昆虫ゼリーが良い。
・飼育場所は、直射日光が当たらない涼しい場所が良い。晩秋になると、温度が低くなるので飼育場所を変える。
カブトムシの飼育を通して森の大切さを学ぶ(「カブトムシの成虫飼育」配布資料より)

「カブトムシを飼育することで生態と性質を学ぶことができます。
カブトムシは森の中で生きています。
飼育する場合、飼育ケースが森になります。

森は、わたしたちにとっても生態系を維持するために大事なものです。
それを教えてくれるのが、森の王者カブトムシだと思います。」
参 考 文 献
「山渓カラー名鑑 日本の樹木」(山と渓谷社)
「昆虫と遊ぶ図鑑」(おくやま ひさし、地球丸)
「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」(山と渓谷社)
森林インストラクター作成配布資料