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2016森の学校 第1回しいたけ植菌体験

 2016年4月16日(土)、「森の学校2016」は、例年より2回多い16回開催する予定。そのスタートを飾る「しいたけ植菌体験」は、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。この植菌体験は人気が高く、参加者は年々増加。今年は、天候にも恵まれ、100名近い一般・親子97名、協力として森の案内人協議会から15名の参加を得て盛大に実施された。

●内容/1人2本の植菌体験と持ち帰り(1家族2名まで)  ▲対象/親子、一般
◆主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン(018-882-5009)
◆協賛/(一社)秋田県森と水の協会 協力/秋田県森の案内人協議会
▲2014年春に植菌し、2015年秋に初めて発生したシイタケ

「シイタケ(椎茸)」の名前の由来

 シイタケは、季節に関係なく発生することから、「四季茸(シキタケ)」と言われ、それが訛って「シイタケ」になったとする説がある。また、椎(シイ)の木に多く発生することから「椎茸」になったとする説がある。しかし、現在、シイタケ栽培に用いられる原木は、ナラやクヌギが主体である。
  • 進藤インストラクターより作業の要領、注意点、栽培のポイント等について説明が行われた。また参加者には、「しいたけMEMO」として、名前の由来やしいたけ栽培のポイント、薬効を記した資料が配布された。植菌したホダ木を家に持ち帰ったら、ぜひ復習して、できるだけ量も多く、質の良いシイタケが出てくるよう管理してほしい。
良質のホダ木、心材と辺材

 シイタケの発生量、質ともに優れ、最適なホダ木はコナラ。その原木の構造は、樹皮部、木質部の辺材部と心材部に大別される。中央より外側に向かって比較的白い部分が心材、その外側の茶褐色の部分が辺材である。中でも辺材部は、シイタケ菌糸が原木内に蔓延してキノコを作るための養分となる大事な部分である。従ってこの辺材部の占める割合が多いものほど良質な原木だという。一方、心材部は、シイタケ菌糸が伸長腐朽しにくい部分であるため養分摂取の有効度からみて少ない方が良いと言える。
  • 穴のサイズ・・・平均径12cm×長さ90cm。
  • 穴を開けるラインの位置・・・上の写真のように原木にマジックで印を付けているように計6ライン。
  • 90cmの原木に、穴の位置を印した定規の位置に従い電動ドリルで穴を開ける。
  • 赤印の位置に5ヵ所穴を開けたら、次のラインは千鳥になるように黒印の位置に6ヵ所穴を開ける。穴の数は、5ヵ所×3ライン+6ヵ所×3ライン=33ヵ所。
  • 植菌時期・・・梅の花が咲く頃からサクラの咲く頃が適期と言われている。ちなみに、今年は梅の花が終盤にさしかかり、サクラが開花し始めた。だから今回は、しいたけ植菌時期としてベストシーズンである。 (写真:梅とメジロ)
  • 森の案内人に電動ドリルの使い方、穴をあける位置の指導を受けながら作業を行う参加者たち。 
  • 穴に種駒を入れ、木づき、または金づちで種駒の頭が樹皮面より出ないように優しく打ち込む。全部の穴が、しいたけ種菌でふさがれると完成である。
  • 親子で植菌体験・・・植菌したシイタケが1年半後の秋、又は2年後の春に出てきたら、家族みんなで力を合わせて育てたシイタケのフルコースを味わってほしい。お金では決して買うことができない満足感、鮮度抜群の肉厚シイタケの美味しさ、森の恵みの有難さを実感することだろう。
しいたけ栽培のポイント
  1. シイタケ菌をホダ木に活着させるための初期管理のことを「仮伏せ」と言う。植菌したら、1ヶ月ほどは雑菌が入らないように、雨が当たらず、かつ風通しの良い軒下などに仮伏せをする。その後、「本伏せ」をする。
  2. ホダ木は、直射日光や西日の当たらない所。不十分な場合は、遮光ネットやスダレなどをホダ木の上に張る。
  3. 梅雨~夏期は、雑草や低木を刈り払い、通風を良くすること。
  4. 9月頃、ホダ木の天地返しや積み替えを行い、菌糸を均一に成長させる。
  5. キノコの芽が出る秋には十分散水すること。
  6. ホダ木を叩いて振動を与えるなど、刺激を与えればシイタケが良く生えるといわれる。
食べ頃サイズは・・・

 自分で植菌してから約1年半後、庭木に立て掛けておいたホダ木に大きくなった肉厚シイタケを発見すれば感動ものである。市場では、六分開き程度を評価すると言われているが、食べ頃は傘が八分くらいに開いて胞子が落ちる寸前まで成熟したキノコが美味しい。
シイタケ料理
  • つけ焼き・・・シイタケの傘を下にして金網に乗せ、ヒダのところにバター・しょう油・酒を少々たらして弱火で焼き、柄をつかんで食べる。
  • バター炒め・・・柄をとってからバターで炒め、塩コショウをふってレモン汁をかける。
  • その他、煮物、天ぷら、鍋物、味噌汁など、どんな料理にも合う。ちなみに、天然シイタケとホダ木栽培されたシイタケの味の差はほとんどないと言われている。しかし、市場で主流の菌床シイタケは味が劣る。
シイタケは薬効が凄い
  1. 骨の形成・くる病の予防・・・骨の形成に重要な働きをするビタミンD2の母体であるエルゴステリンが多く含まれる。
  2. 血圧降下作用・・・人体実験で証明されている。
  3. コレステロール値を下げる作用・・・有効成分はエリタデニン
  4. インフルエンザの予防・・・胞子には抗ウイルス作用のあるインターフェロンを誘発する作用がある。
  5. 貧血防止・・・ビタミンD12は赤血球を増す作用があり、シイタケには豊富に含まれているので貧血ぎみの人によい。
  6. ビタミンB1、B2も多く含まれる。
  7. 抗がん作用・・・シイタケに含まれる多糖体「レンチナン」が、抗がん剤として中央薬事審議会で製造が承認された。
  8. 美容食に最適・・・カロリーが少なく、食物繊維が多い。    
参 考 文 献
「家庭でできるキノコづくり」(大貫敬二著、農文協)