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クリプトンの森便りその7

 ヤマガラは、冬に備えてエゴノキやコノデカシワの実を盛んに貯食。カケスは、ドングリをのど袋に5個も入れて貯食に余念がない。柿の実に群がるムクドリ、冬鳥の代表・ツグミも北から渡ってきてノイバラの赤い実をついばんでいた。空を見上げれば、白鳥やマガンたちが越冬のためにV字編隊で渡って来る光景が見られるようになった。
 話は変わるが、つい先日、大森山動物園で死んでいたコクチョウ1羽からA型インフルエンザの陽性反応が出たという。養鶏農家はもちろんのこと、野鳥ファンにとっても衝撃的なニュース・・・これ以上感染が拡大しないことを祈るのみである。
  • エゴノキの実にぶらさがりながら採るヤマガラ。固いナッツ型の種は,フルーツ型の実より貯蔵に向いているという長所がある。野鳥は初冬から春先の間の食糧不足に備え、膨大な量を貯食する。
  • ヤマガラがクチバシで実をくわえたところ。
  • エゴノキの実には、有毒なサポニンが含まれている。それが分かっているのか、ヤマガラは両足で実をはさみつけ、器用にくちばしでつついて有毒な皮を割り、中の種子だけを食べる。
  • 有毒な果肉の中から種子を取り出し、クチバシにくわえる。
  • 種子をくわえて飛び立ち、冬から春にかけて食べる種子をあちこちに貯える。
  • 貯食場所その1・・・エゴノキの実を樹木見本園の木の根元に埋めようとやってきたヤマガラ。根元を掘って埋めた後、隠した場所を他の鳥たちに見られていないか、左右を確認していた。このように地面や落葉の下などに埋め込んだ種は、雪が積もると利用できなくなる。これは恐らく、来春用であろう。
  • 貯食場所その2・・・冬の積雪期でも食べることができる高い幹の割れ目に貯食する。
  • 貯食場所その3・・・最初は、半枯れのサクラの幹の大きな割れ目に隠していたが、しばらく観察していると、何と折れた枝の小さな割れ目にも器用に埋め込んだ。 こうした樹木の高い場所に貯食すれば、数mの積雪があっても、いつでも取り出して食べることができる。
  • カケスの貯食・・・喉袋に4個ほど呑み込み、クチバシに1個、計5個ほどを持って貯食する。運んだドングリは、1粒ずつ地上の枯葉をどけて地中浅く埋め、再び枯葉をかぶせる。多いときには1日300個、1シーズンで4,000個に達するという。
  • 森づくりの達人?・・・カケスやホシガラスでは1~数km、外国では最高20kmも運んだ例があるという。カケスがドングリを運んで、数キロ離れた所にナラ林ができた例もあるというから、カケスやホシガラスは、さしずめ「森づくりの達人」と言えそうである。
  • ノイバラの赤い実を食べるツグミ・・・夏、シベリアで繁殖し、越冬するため冬鳥として飛来する。シベリアでは、渡り鳥によって種子が運ばれ、ノイバラなどの低木林が形成されたとの報告もあるというから驚きだ。
  • ハリギリの黒く小さな実をついばむコゲラ・・・昆虫類が少なくなった秋冬季には、木の実が野鳥の重要な餌であることが分かる。
  • メジロとハリギリ・・・メジロは、落葉しないと保護色で見つけるのが難しい。よく見ると、メジロもハリギリの実に群がっていた。2匹いるのが分かるかな? 
  • 柿の実に群れでやってきたムクドリ・・・スズメも同じ木に群れていた。 
  • 可愛いエナガは、秋冬、カラ類と混群をつくって生活する。
  • ハナゾノツクバネウツギとスズメ 
  • 珍しく樹木見本園にやってきたヤマドリのメス。キジのメスと似ているが、尾が短いので識別できる。オスを撮るべく狙っているが・・・山では、いつもヤマドリの方が先に私の存在に気付き逃げられっばなし。藪から突然飛び出すと、「クマか」とビックリさせられること数知れず。近年、ヤマドリも相当数が増えているように思う。
  • 越冬するため、北からやってきたミヤマガラス・・・クチバシが細く尖り、根元が白っぽいので識別できる。田んぼに大群で群れている。
  • キジは、非繁殖期になると、オス同士、メス同士の群れで生活していることが多い。
  • 落葉とシジュウカラ
  • 杭の天辺にとまるノスリ(大潟村) 
  • 杭の上で待ち伏せし、主にネズミを捕食する。
  • マガモとハクチョウの渡り
  • 紅葉①・・・ユリノキ
  • 美しい紅葉の条件・・・最低気温が8℃以下になると紅葉が始まると言われている。その中でも美しく紅葉するには・・・
  1. 最低気温が5℃以下であること
  2. 十分な日照があり、昼夜の気温差が大きいこと
  3. 適度な雨量が適度な間隔で続くこと
  • 紅葉②・・・ニシキギ
  • 木の葉が紅葉するのはなぜ?・・・樹木の葉は、カロチノイドと緑の色素クロロフィルを持っているが、通常はクロロフィルの含有量が多いため緑に見える。秋になると、葉を落とす準備として、葉の付け根の所に離層というミゾができる。そしてクロロフィルが分解されてカロチノイドが残るので、黄色く色づく。葉に蓄積した糖類が紫外線を浴び、アントシアンやタンニン系の色素に変化する樹木は、それぞれ赤や茶に紅葉する。モミジやナナカマド、ツタウルシ、ニシキギなどは赤く(紅葉)なり、ブナやトチノキ、イチョウ、カエデ、カツラなどは黄色(黄葉)になる。
  • 紅葉③・・・トチノキ
  • 紅葉④・・・アメリカフウ(モミジバフウ)
  • 紅葉⑤・・・ナツツバキ
  • 紅葉⑥・・・ドウダンツツジ
  • 紅葉⑦・・・イチョウ 
  • 林床を黄色に染める 
  • 紅葉⑧・・・ハウチワカエデ
  • 紅葉⑨・・・ヤマモミジ
  • 紅葉⑩・・・カラマツの黄葉と松ぼっくり
  • 紅葉⑪・・・ケヤキ 
  • 紅葉⑫・・・メタセコイヤ
  • 樹木見本園の林床を彩る落葉 
  • 1年中、樹木見本園で見られるシジュウカラのオス 
  • 水浴びをするヒガラ 
  • 日本一小さな鳥・キクイタダキ・・・小さい鳥だけに針葉樹の中にいると撮影が極めて難しい。水浴びしている時は、絶好のシャッターチャンス。 
  • 冬鳥として渡って来るアトリ・・・すっかり落葉した樹木見本園に群れでやってきた。
  • コノデカシワの実を食べていたカワラヒワ。良く見ると、ヤマガラも群がっていた。
  • ヤマガラとコノデカシワ・・・樹木見本園のコノデカシワの実は豊作。それにたくさんのヤマガラがやってきて、あちこちに貯食していた。 コノデカシワの球果は、松ぼっくりのような笠になっていて、その笠と笠との間に小さな種子がたくさん入っている。その小さな隙間からクチバシで器用に種子を取り出していた。
  • 鳥が森をつくる・・・カケスもヤマガラも、ナッツ型の種を休みなしに、森のあちこちに貯食していた。その数は、食べ切れないほど膨大な量になることは容易に推察できる。当然のことながら食べ残しも少なくなく、その種が自然落下するより遥か遠くで発芽することだろう。その発芽率は、自然落下したものより遥かに高いらしい。そう考えると、「鳥は森をつくる」と言われる理由がよく分かる。