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森の学校2016 第5回森の案内人フェア

新緑の里山散策と森林づくり体験!
 2016年6月12日(日)、森の学校2016第5回「森の案内人フェア 新緑の里山散策と森林づくり体験!」が、秋田市添川旭川河川公園と近隣里山を会場に開催された。一般参加者、森の案内人等120名が参加。新緑の里山散策や自然のお話、紙芝居、森林づくり、木登り体験、山菜鍋を汁に野外昼食、クラフト、マジックショー、おもしろクイズなど多彩な催しが行われた。
  • 主催/秋田県森の案内人協議会
  • 協賛/秋田県緑化推進委員会、あきた森づくり活動サポートセンター、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン、秋田温泉さとみ、秋田温泉プラザ、桜温泉さくらさくら
  • 受付・・・受付で以下の3つのコースのうち一つを選んでもらう。
  • Aコース・・・山散策コース(山登り)
  • Bコース・・・森林づくり体験コース(自然のお話、森林づくりデモ、紙芝居、木登り体験等)
  • Cコース・・・河川公園コース(木工・クラフト体験、マジックショー、おもしろクイズ等)
  • 秋田県森の案内人協議会 佐藤喜八郎会長あいさつ
  • 森林づくりが行われている会場へ移動 
  • 森林づくり体験コース入口・・・秋田県森の案内人協議会のスローガン「森もっと体験・体感」の横断幕 
  • よく手入れされたスギ林を会場に「自然のお話」・・・山の恵みであるイワナや山菜、キノコの話をしようと思っていたが、鹿角市十和田でクマに襲われ4人目の犠牲者が出る異常事態になっている。また、会場近くの外旭川地区では、小中学校周辺でクマの目撃情報が相次いでいるため、「クマに注意!」のお話をした。
  • 今はタケノコ採りのシーズンだが、クマもタケノコが大好物。タケノコ採りは、山菜採りの中でもクマによる人身事故が最も多い。江戸時代の弘前藩の日記によると、ツキノワグマが人を襲って食べたという記録がたくさん出てくる。北海道のヒグマと同じく、人の味を覚えた「人食いグマ」ほど恐ろしいものはない。そんな人身事故が多発している地域は、危険極まりないので絶対に立ち入らないこと。
  • 残飯や生ゴミは絶対に捨てないこと。餌付いたクマは、人間に寄ってくるので危険。昨年はドングリが大豊作で、今冬はベビーラッシュになったはず。複数でクマ避け鈴を鳴らして歩いていても、母グマは子グマを守ろうとして逃げないので、特に親子グマに注意!
  • 里地へのクマ出没の背景は里山の荒廃・・・クマは、明るい所に身をさらすことを極端に嫌う。耕作放棄地の拡大や里山の荒廃は、クマの新たな生息地にもなり得る。その深い藪を伝って村の小中学校周辺に出没するようになる。だから通学路周辺は、早急に間伐や刈払い、草刈りを行うべき。そうすれば、クマの道を断つことができる。つまり、里山保全は、危険なクマを寄せ付けない効果も期待できる。
  • 森林づくりデモ伐木のやり方」・・・林業のプロは、チェーンソーを使って木を切り倒す。
    1. 倒す方向に「受け口」をつくる。水平に太さの1/4~1/3辺りまでチェーンソーを入れ、次に上から斜めに切り、三角の切り口を作る。
    2. 反対側から、受け口の下切り面より少し上くらいの位置を水平に切る。これを「追い口」という。受け口の少し手前まで切り込みを入れ、つなぎ目を切り残しておく。
    3. 周囲に「倒すぞ~」と大きな声で知らせ、安全を確認してから、クサビを打ち込むなどして倒す。
▲切株の年輪を数える
  • 質問 樹木はどうやって水を運んでいるのか
     蒸散によって葉の水分が失われると、葉の細胞液の濃度は枝や幹よりも高くなる。そのため、濃度を下げようとする浸透圧が働いて枝や幹から水を引っ張りあげる。
  • スギの皮はぎ体験・・・光合成によって樹木が盛んに成長を続けている時期は、樹液があふれているので、皮を簡単に剥ぎ取ることができる。
  • 紙芝居「森はみんなのたからもの」・・・小学生の主人公が森の妖精エココと出会い、森林整備から木材利用の大切さ、山と海の関係などを楽しく学ぶことができるストーリー。
  • 木登り体験「ツリークライミング」・・・大きな木で下枝が無く、素登りができない木に登るときに使われる木登りの方法である。高い木にかけた専用ロープと、ツリーハーネスと呼んでいる安全ベルトをつなげて、ぶらさがったまま登る。手を離したり力を抜いても落ちる心配がない。だから、今まで気軽に行くことの出来なかった高い木でも、老若男女誰もが自分の力で登ることができるという利点がある。
  • 「高いところが苦手」という人でも、安全ベルトがついているので安心して上ることができる。また、上る速度を競うものではないので、ゆっくり上った方が、その魅力を理解することができる。こうした「ツリークライミングを通して森との接し方を身体で学んでほしい」と願う。
  • 丸太切体験 ・・・丸太を切るコツは、丸太に対して直角に切ること。斜めに切ると、それだけ切る断面が多くなるので✖。ノコギリの柄は、優しく握り、刃を前に出す時は力をかけず、引く時のみ力を込める。一気に切ろうとすれば、疲れる割に切る速度が鈍くなるので注意。
  • キハダ・・・その名のとおり、皮の内側は「黄肌」。黄色い部分をかじると、やや甘みのある苦味がある。主に健胃整腸剤として用いられるほか、黄色の染料にも使われる。 
  • 高見台・・・梯子を上って、高見台から鳥の目線で森を俯瞰する。 
  • ミズの皮むき・・・ミズは、大量に採取できる上に、クセもなく、どんな調理にも合う。さらに春から秋(5~10月)まで、約半年間にわたって美味しく食べられるので、実用的には「山菜の王様」である。
  • タケノコとミズを使った山菜鍋 ・・・山の恵みであるミズとタケノコは、秋田の伝統料理に欠かせない食材である。昔から山菜文化と呼ばれるほど、山菜採りは人気が高い。それだけクマと遭遇する機会も多く、クマによる人身被害者数は、全国の約1割を占めている。
▲山菜鍋を汁に楽しい昼食 
▲オオキンケイギク ▲フランスギク 
▲ヒメジョオン  ▲ウツギ
▲ツルニチニチソウ  ▲コウゾリナ
▲アカツメクサ  ▲コメツブツユクサ
  • プロ顔負けの「大石マジックショー」 
  • マジックショーの合間に、木の葉のつき方からトチノキの葉は一枚であること、葉脈の役割なども解説してくれた。
  • アルプホルン(奥山勝栄さん作)・・・豪雪地帯のスギ人工林では、雪圧で根元が曲がっている木をよく見掛ける。その自然がつくった曲線がアルプホルンの形にピッタリ。
  • ネイチャーゲーム「カモフラージュ」・・・生きものたちは、敵から身を守るために、まわりに同化する色になったり、色や形を周囲の他のものに似せたりして、カモフラージュしている。それを見つけることのできる観察力を養うことができるゲーム。
  • ロープを張り、その内側に自然の中では絶対にない人工物を目立たないようにセットする。
  • 参加者は、お互いに話をせずに人工物を探し、その数を数え、終点にいる指導者にこっそり耳打ちをする。もう一度、スタート地点に戻って再挑戦。
  • 全員が2回ずつ探し終わったら、答え合わせをする。一回目では、なかなか全部を見つけるのは難しいが、2、3回繰り返すと、やっと全問正解できるようになる。
  • クラフトその1・・・木の鉛筆ペンダント 
  • クラフトその2・・・竹とんぼ。竹を割り、それを削って竹とんぼをつくり、その出来ばえを飛ばして競う。
  • クラフトその3・・・マイ箸
  • おもしろクイズ・・・「秋田県の花は、ふきのとうである。○か×か」「秋田県の鳥は、キジである。○か×か」などと、クイズを出す。まん中のロープより右が「○」、左側が「×」・・・参加者は、正解と思われる位置に移動する。こうして最後まで勝ち残った人が1位。
  • 草笛・・・葉を口に当てて吹き鳴らすもの、笹の幼葉を巻きなおして吹くものなどがある。昔よく遊んだ草笛名人が、子どもたちや若者に伝授。
  • 自然は、創造力を働かせると、材料費ゼロ円でいくらでも遊べる。例えば、花の首飾り、笹舟、ホオノキを使った風車、水鉄砲、虫とり、ほたる狩り、川遊び、ザッコとり、チャンバラごっこ、ターザンごっこ、草木の実を食べる、影踏みなど。思えば、昔の子どもたちの遊びは、ほとんど森と川に依存していた。その忘れかけていた楽しさを、思い出させるような「森の案内人フェア」であった。