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森の学校⑦ 2016あきた水と緑の森林祭

 7月9日(土) 「2016あきた水と緑の森林祭」が、にかほ市道の駅象潟「ねむの丘」で開催された。記念式典に続き、代表者による記念植樹やボランティア参加者による下刈り体験、緑の募金活動、木のおもちゃコーナー、森のクラフト、木工体験などが行われた。「森の学校2016」では、森のブローチや小枝のクラフト、石に絵を描くなどのクラフト教室を開催。時折小雨がちらつく曇天だったが、多くの家族連れで賑わった。
  • 内容/記念式典、記念植樹・下刈り体験、木工体験・クラフト教室、緑の募金活動メなど
  • 主催/秋田県、にかほ市、公益社団法人秋田県緑化推進委員会
  • 協賛/JR東日本、一般社団法人秋田県造園協会
  • 協力/秋田県森林学習館・プラザクリプトン、秋田県森の案内人協議会
  • 記念式典オープニング「象潟九十九島太鼓」  
  • 開会宣言・・・(公社)秋田県緑化推進委員会理事長 佐藤重芳
  • 主催者あいさつ・・・秋田県副知事 中島英史
  • 歓迎のあいさつ・・・にかほ市長 横山忠長
  • 来賓祝辞・・・秋田県議会議長 渋谷正敏
 秋田県の緑化運動は、昭和25年、第1回秋田県植樹祭をスタートに、今回で67回目を迎える。2008年4月1日から秋田県水と緑の森づくり税が施行され、その翌年から西暦と「あきた」が頭につく「2009あきた水と緑の森林祭」という名称に改められた。以来、現在までこのスタイルが踏襲されている。
  • 平成28年度秋田県水と緑貢献賞受賞者
    九十九島の松を守る会(会長 氏家 完次/にかほ市)
    萬桜育友会(会長 小松 勝一/大仙市)
  • 平成28年度秋田県県産木材利用推進功労者
    秋田復興支援建設協議会(由利本荘市) 
  • 記念品贈呈・・・鳥海山にブナを植える会
  • メッセージ朗読・・・にかほ市象潟小学校5年 齋藤 成さん・渡辺 苺さん
    「私たちは、美しい森や川、海を守り育て、未来に引き継いでいくため、これからも森づくり活動を続けていきます」と力強くメッセージを朗読した。
  • 代表者による記念植樹
  • 一般参加者、ボランティア参加者は、班ごとに分かれて名勝「九十九島」へ移動 。
▲駒留島から美田と九十九島を望む
▲松尾芭蕉も菅江真澄も絶賛した名勝「九十九島」 
  • 名勝「九十九島」でボランティア参加者による「下刈り体験」が行われた。
▲クマイチゴ ▲九十九島に群れていたムクドリ
 ムクドリは、ヒナが巣立ちすると、群れで生活し、数千羽~数万羽の大きなねぐらをつくる。ムクドリも名勝「九十九島」が好きなようで、大きな群れが移動しながら昆虫類を捕食していた。
  • 菅江真澄と九十九島
     芭蕉が訪れてから約100年後、1784年9月、菅江真澄は「象潟と鳥海山」の絵図を描いている。その説明文には・・・「出羽の国・象潟の塩越という所は、皆漁師の家である。太平という所で鳥海山が秀でて見えるのは、富士山を田子の浦から眺めたのと同じである。
     世の中に富士山と似た山が多いが、この鳥海山が一番である。この浦の光景は゛八十八潟、九十九森゛と称賛され、たいそう趣がある。」と、絶賛している。
  • 九十九島の歴史
     菅江真澄が訪れてから20年後、1804年6月4日、象潟地震が発生。九十九島は、約2mも隆起し、陸地と化してしまった。六郷藩は、当時財政悪化に苦しんでいた。地震で景勝地の価値が消失したとして、島々の松を伐り、その土を低湿地に入れる新田開発に着手。この景勝地を守るため、ひとり反対したのは、蚶満寺第二十四世の覚林だった。反対運動の最中、彼は藩に江戸で捕えられ獄死する。しかし、九十九島の景観を守ろうとした強い遺志が通じたのか、島を切り崩す開田は一部で終了し、大半は島を残しながら行われた。今風に言えば、「景観に配慮した新田開発」の先駆的事例である。

     春、田んぼに水が入ると、60余りの島々が田園地帯に浮かぶ。その近世農民の歴史が刻まれた文化的な景観は、昭和9年、天然記念物に指定された。司馬遼太郎は、「秋田県散歩」で次のように記している。「いまも、田園のなかに60ほどの旧の島が残っているが、あるいは覚林の主張と死に、六郷藩がおびえた結果であるかもしれない」と結んでいる。その覚林が守ろうとした景観は、今なお農家の方々や九十九島の松を守る会の人たちによって大切に保全され、名勝の地として人々の心を惹きつけているのである。
「森の学校」のブース(秋田県森林学習交流館プラザクリプトン、秋田県森の案内人協議会)
  • 「森の学校」のテーマは「森で芸術家になろう」 ・・・森には、いろいろな素材、色、形に溢れている。森や水辺に咲く草木の花、風の音、水の音、鳥のさえずり、クマから魚、小さな昆虫に至るまで多様な生き物たちが共生している。そんな森に入ると、眠っていた五感、創造力をかきたててくれる。画家、造形家、詩人、俳人、音楽家、写真家・・・。
  • 石に絵を描く
  • 小枝を使ったクラフト
  • 森のブローチづくり 
  • 森のクラフト教室の風景・・・右上の写真は、石に向かってイメージが浮かばないとつぶやき、絵を描くのを諦めかけていたが、いざ描き始めるとすこぶる上手に絵を描いていた。
  • 木工体験その1「ペン立て」 ・・・簡単そうで意外に難しい木工
  • 木工体験その2「ホルダー掛け」
  • 竹とんぼ 
  • イタドリを使った笛づくり
▲竹とんぼを上手に飛ばし喜ぶ女の子 ▲イタドリの笛を上手に吹く男の子
▲木工体験風景 
  • 「緑の募金活動」(公益社団法人秋田県緑化推進委員会)・・・緑の募金をされた方々には、花苗・苗木がプレゼントされた。 
▲緑の募金をして「ミス日本みどりの女神」と一緒に記念撮影。タイトルは「山の神様は昔から女神!」
  • 東日本旅客鉄道(株)秋田支社 ・・・ハーブ苗プレゼント
  • 毎年「炭焼き体験」でお世話になっている「ロッカ森保全ボランティア」のブース 
  • 子どもたちに大人気だった「木のおもちゃコーナー」(秋田県森林整備課)
  • パレアンヌ・・・ヤマビル避けスプレー「ダウンヒル」などのPR
  • 竹の有効活用(本荘海岸林を守る会、由利町村竹林を造る会) 
  • 「woodyさんない」のユニークな木工作品とキッズ工作 
  • 元滝伏流水バスツアー(にかほ市象潟、元滝川)
     「元滝伏流水」は、鳥海山に染み込んだ水が80年の歳月をかけ、幅約30mの岩肌一帯から一日5万トンもの水が湧き出している。まさに「恵みの山・鳥海山」を代表する伏流水で、「平成の名水百選」に選定されている。名水の条件は水温が低いこと。鳥海山の名水は「氷河水」とも形容されるほど冷たい。「岩カキ」の旬が真夏であるのは、鳥海山の冷たい伏流水にあると言われている。しかし、良いことばかりではない。農業用水としては、水が冷た過ぎて「冷水害」をもたらす最悪の水であった。
▲今が旬、象潟産岩カキ
  • 参考:日本初の温水路
     稲作に適した水温は15度以上とされている。しかし鳥海山麓地域では、夏でも摂氏10度前後の冷水を入れざるを得ず、冷水害は、最大のガンとして、古来その対策に腐心してきた。1927年(昭和2年)、長岡部落の佐々木順次郎が考案した温水路は、古来より悩まされ続けてきた冷水害を見事に克服した。上の写真のとおり、水路の幅を広く、水の深さを浅く、流れをゆるやかにし、多くの落差工を設けている。ゆっくり流れる温水路は、太陽熱を吸収させ、水温が上昇する仕組みである。この上郷温水路群は、平成15年に土木遺産、平成17年に疎水百選に選ばれている。
  • 家族連れで賑わったアトラクション「動物戦隊ジュウオウジャーショー」 
  • ジャングルKIDSステージショー
  • にかほ体操」(作詞作曲:佐々木恵介、歌:ケーエス&マサ、踊り:ジャングルKIDS)
     歌も踊りも素晴らしいが、水と緑・・・山も海も僕らも一つにつながっている「ふるさとにかほ」を自慢する歌詞も素晴らしい!

     「自然豊かな町/笑顔あふれるまち/僕らが生まれ育った場所/くるくる風ぐるま/たくさん九十九島/ゆっくり時間が流れてく/きらきら輝く日本海/海の幸盛りだくさん/ふるさとにかほ/大好きなまち/いつも優しい風が包んでくれる/ふるさとにかほ/みんな友だち/山も海も僕らも/一つにつながっている
     きれいなねむの花/岩ガキやハタハタ/名物たくさん/みんなの自慢/にかほ市見守る鳥海山/秋田を守る超神ネイガー/ふるさとにかほ/愛があふれて/このまちいつまでも大切にしよう/ふるさとにかほ/今日もありがとう/きれいな夕日見ながら/家まで歩いて行こう/ふるさとにかほ/大好きなまち/いつも優しい風で包んでくれる/ふるさとにかほ/みんな友だち/山も海も僕らも/一つにつながっている」