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平成28年度秋田県緑の交流集会(保呂羽山少年自然の家) 

 2016年8月8日(月)~9日(火)、「平成28年度秋田県緑の交流集会」が秋田県立保呂羽山少年自然の家(横手市大森町)を会場に開催された。参加者は、5団体49名(児童41名、引率者8名)。連日猛暑が続く中、一日目は緑の野山でふしぎ体験やナイトハイクでのホタル観察、花火など、二日目は夏の暑さを吹き飛ばすカヌー体験が行われ、水と緑に包まれた六沢堤に子どもたちの「気持ちいい~!」「最高~!」との歓声が響き渡った。
 秋田県緑の交流集会は、緑の少年団、緑化や森林・環境教育活動等に積極的に取り組んでいる学校・エコクラブ、ボーイスカウト等の児童生徒が、自然体験や共同生活を通じて交流を図りながら、水と緑を愛する心を育むことを目的に、毎年8月に開催されている。
  • 内容/ふれあいゲーム、緑の野山でふしぎ体験、ナイトハイク・蛍観察、カヌー体験など
  • 主催/秋田県、公益社団法人秋田県緑化推進委員会
  • 協力/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン、秋田県森の案内人協議会、秋田県立保呂羽山少年自然の家
  • 参加団体・・・ボーイスカウト秋田31団カブ隊、ボーイスカウト秋田49団、飯田川アウトドアスクール、さくらシャインキッズ、MV東北緑の少年団
  • 秋田県立保呂羽山少年自然の家(横手市大森町)・・・1200年以上の歴史をもつ保呂羽山波宇志別(はうしわけ)神社の麓に位置し、キャンプ、カヌー、スキー、星座観察などの野外活動やレクリエーション・創作活動など多様な活動を行うことができる施設。
▲信仰の山「保呂羽山」(438m) ▲保呂羽山の霜月神楽(国重要無形民俗文化財)
  • 参考:保呂羽山と霜月神楽・・・保呂羽山は、平鹿・仙北・由利の三郡にまたがり、山頂には作神の波宇志別(はうしわけ)の神が祀られ、古くから霊山として崇拝されてきた山である。その波宇志別神社の神事芸能が保呂羽山の霜月神楽で、毎年11月7日、八沢木の里宮神殿において夜通しで開催されている。
▲秋田県保呂羽山少年自然の家「やっさん」所長あいさつ  ▲秋田県森林整備課畠山真紀子副主幹あいさつ
  • オリエンテーション 
  • ふれあいゲーム
  • 緑の野山でふしぎ体験・・・所要時間が通常1時間30分ほど要する「追跡ハイキングコース」をゆっくり自然観察しながら歩く。 
  • コースの途中には、①~⑫までの問題がある。グループのメンバーで協力して解答用紙に答えを書く。ゴールインしたら解答を採点する。 
  • 自然観察・・・猛暑の中、6班に分かれて森の中へ。引率者は、クリプトンインストラクターと森の案内人の方々で、散策途中で出会った草花や木の名前、私たちの暮らしにどのように利用されているか、昆虫、野鳥などについて学んだ。
▲ヨウシュヤマゴボウ ▲ヤマハギ
▲ホオノキ・・・大きな葉は、芳香と殺菌作用があり、食べ物を盛ったり包んだりして利用。 ▲キンミズヒキ
▲クズの花・・・繁殖旺盛なつる植物で、この大きな根はクズ粉や葛根湯の生薬などに用いられる ▲クロモジの実・・・枝を折ると良い香りがするので、ツマヨウジの材料に使われる。
▲イチヤクソウ ▲虫喰いアート
▲キブシの実 ▲マタタビの実・・・塩漬け、みそ漬け、マタタビ酒などに利用
▲クスサンのマユ「スカシダワラ」 ▲大型のヤマナメクジ
  • カブトムシやクワガタが好きな木・・・クヌギやコナラ、ミズナラなどの樹液が染み出る木が大好き。探すベストの時間帯は、朝4時~7時、夜17時~22時と言われている。カブトムシは夜行性、クワガタも夜行性のものが多い。日中は、木の根元に潜って隠れているので、土が盛り上がっている場所を見つけてスコップで掘って捕ることもできる。
参考・・・左上がカブトムシ、右上がミヤマクワガタ 
  • ウバユリの花とアマガエル・・・アマガエルも暑いらしく、日陰に咲くウバユリの花に乗って涼む。
  • 熱中症にならないようにこまめに水分を補給しながら歩く。各ポイントの木に設置された問題の看板は、代表者が読み上げ、グループ全員で解答を考える。
  • ツルが木の幹に食い込み、木の成長をさまたげる・・・森ではやっかいもののツルだが、取り除いてクラフトの材料に利用する。 
  • ホオノキの葉でお面をつくる・・・キツネか、それともナマハゲか?
  • ヤマユリ・・・花の直径が30cmほどと大きく、ユリの王様的存在。球根は食用になる。
  • 木の根道をゆく 
  • 最後の関所・・・ついせきハイキングコースの最後には、関所に通行手形が下げてある。グループの代表者は、この通行手形を一つとって、コースを踏破した証拠として持ち帰る。
  • 仲間と楽しくおしゃべりしながら夕食
  • ナイトハイク・・・日中なら30分ほどのハイキングコース「リスさんコース」を歩く。 最大のハイライトは、沢筋の木橋付近。よく見ると、暗闇にピカピカ光りながら動くものが数匹見えた。「いた、いた、あそこ」・・・夏の風物詩「ヘイケボタル」であろう。ヘイケボタルは、ゲンジボタルに比べて発生が長期にわたるが、発生密度は低い。
  • 特別企画「花火」・・・線香花火は、日本の伝統的な花火で、昔から子どもたちに人気が高い。真夏の夜、暗闇にパチパチと消え入りそうな音と光を放ち、数十秒間燃え続ける。楽しそうに遊ぶ子どもたちを見ていると、線香花火の長さを競ったりして遊んだ昔のことを思い出す。夏の風物詩と言えば、やっぱり花火・・・中でも全国的に有名な「大曲の花火」は、100年以上の歴史をもち、今年は8月27日(土)に開催される。
  • 俳句 手花火の煙もくもく面白や    川崎展宏
       手花火のこぼす火の色水の色 後藤夜半
  • 二日目、カヌー体験が行われた六沢堤位置図・・・保呂羽山少年自然の家から南に歩いて30分弱で辿り着く。
  • なだらかに尾根を越え、スギ林を下るとほどなく六沢堤に辿り着く。 
  • 六沢堤沿いの散策道を辿ってカヌー体験会場へ
六沢堤周辺の草花と野鳥
▲ヤマジノホトトギス  ▲ヒツジグサ
▲ヒヨドリバナ ▲ミソハギ
▲リョウブの白花 ▲ノリウツギの白花と六沢堤 
▲コゲラ ▲ヤマガラ
  • 六沢堤で見掛けた野鳥・・・キツツキの仲間で最も小さいコゲラやヤマガラ、エナガ、ヒヨドリなど。 
  • 六沢堤・・・六沢水利組合が管理する農業用ため池で、平成22年に改修整備されている。カヌー体験は、地元の水利組合、関係農家の方々の協力を得て実施されている点が素晴らしい。
  • カヌーとは・・・川、湖、海など、水面を人の力だけで漕ぎ進む小船のことで、カヌーは、進行方向を向いて漕ぎ進むものの総称である(ボートは進行方向に背を向けて漕ぐ)。六沢堤のように湖で楽しむものをレイクカヌーと呼ぶ。
  • ため池の堤体側に設置された桟橋から、ライフジャケットを着用した子どもたちが、一人用のカヌーに乗り込んで、次々と水の上を漕ぎ出す。さあ~、冒険開始だ。 
  • カヌーの魅力は・・・カヌーに乗って水面上から眺める景色は、陸上の遊歩道側から眺めた景色とは全く異なる。そんな別世界で、水面を滑るような感覚を味わいながら自由自在にため池を動き回る。まるで水面を泳ぐ魚や水鳥にでもなったような感覚・・・その新鮮な驚きと感動、スリルと爽快感、水と緑に包まれた自然との一体感、開放感を味わうことができる。
  • カヌーから落ちてもライフジャケットを着用しているから安心・・・すぐに指導者が駆けつけ、救助してくれる。
 ▲指導者がカヌーを逆さまにして水を抜く ▲再度カヌーに乗せる
  • 二人用のカヌー
  • 引率者も二人用カヌーを体験
  • 新鮮な感動と爽快感・・・底抜けに明るい笑顔が弾ける。水上に浮かぶカヌーに乗って、セミの鳴き声や野鳥のさえずりに耳を傾け、水面に浮かぶヒツジグサの周囲を飛び回るトンボ、岸から水辺に飛び込むカエル、水中を泳ぎ回る魚など、様々な生き物たちを観察するのも楽しいことだろう。
  • 「カヌーに乗った感想は?」・・・「気持ちいい~!」「最高~!」と、雄たけびにも似た元気な答えがかえってきた。特に連日、猛暑が続いていただけに、見ているだけで涼しそうであった。
  • 振り返り交流会・・・アンケート用紙に感想を書く。
  • 昼食はカレー。
  • ため池の多面的な機能・・・ため池は、農業用水や地域防災としての機能に加え、生態系保全、景観形成、親水空間など、多面的な機能を有している。だから地域住民の憩いの場として水面を活用したり、レクレーション、周囲の散策などに活用されている。この自然豊かな六沢堤を活用したカヌー体験、自然散策は、児童たちに水と緑に親しむ楽しさを存分に体験させることができる点が素晴らしい。初めてカヌーに乗った子どもたちは、「気持ちいい~!」「最高~!」を連発・・・六沢堤もたいそう喜んでいるに違いない。