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2016森の学校 秋田県林業研究研修センター参観デー

 2016年10月1日(土) 「秋田県林業研究研修センター参観デー」が同センターを会場に開催された。今年は、夏から初秋にかけて高温少雨が続いたのでキノコの出が遅かったが、9月下旬頃から降った恵みの雨でキノコたちが一斉に生え出した。待ちに待った秋の味覚・キノコ講座(室内講義、野外採取、キノコ判定)をはじめ、多種多様な天然キノコの実物展示、森のクラフト体験、試験研究パネルの展示、樹木園等の自然観察会などが行われた。
  • 主催/秋田県林業研究研修センター(018-882-4511)
  • 協力/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン  
  • 天然キノコの実物展示・・・詳細は、キノコ講座の最後に掲載する。
  • 試験研究パネルの展示、樹木の花粉・マツノザイセンチュウの顕微鏡観察コーナー 
  1. オール秋田でおいしいキノコをつくろう
  2. マツクイムシ被害、抵抗性マツはこうやってつくる
  3. ブナの結実豊凶予測とその活用
  4. 拡がるナラ枯れと対策
  5. 東北地方太平洋沖地震津波による海岸林の被害(岩手・高田松原)
  6. スギ人工林の広葉樹林化と表土保全機能への影響
  7. 秋田林業大学校研修風景パネルなど
  • 森のクラフト体験(第一研修室)・・・森を歩くと、味のある木の枝、色づいた葉っぱ、かわいい花、どんぐりや松ぼっくりなどの木の実、草の種など芸術心をくすぐる素材に溢れている。秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンでは、クリプトンの森などで採取した豊富な素材を使った「森のクラフト体験」を実施。 
  • 「森のクラフト体験」作業風景
  • 参加者の作品 
  • キノコ講座(管理棟2階第二研修室)
     このところの雨で、キノコ採りのプロから初心者に至るまで人気が高いマイタケが最盛期を迎えたほか、シイタケやブナハリタケ、マスタケなどの雑キノコから毒キノコに至るまで一斉に生え出した。キノコ採りで最も注意しなければならないのは、毒キノコを食用キノコと勘違いし、誤食することによる食中毒。県内では、過去10年間で16件の食中毒が発生している。不明なキノコの判別には、素人判断は危険・・・専門的な知識が必要である。
  • 秋田県林業研究研修センター石田良春所長あいさつ
  • 講師は、菅原冬樹資源利用部部長
  • ハラタケ類・・・傘と柄、ヒダからできているキノコで、昔から人々になじみ深いキノコ。サクラシメジ、ハタケシメジ、ナラタケの仲間、ウスヒラタケなど。
  • ヒダナシタケ類・・・ヒダがほとんどみられないキノコ。サルノコシカケ類、ヤマブシタケ、ラッパタケの仲間、マイタケなど。
  • イグチの仲間・・・傘の裏に管孔がある。アミタケ、ハナイグチ、ヌメリイグチ、ヤマドリタケモドキなど。
  • キクラゲ類・・・ゼラチン質のキノコ。シロキクラゲ、アラゲキクラゲ、キクラゲなど。
  • ツチグリ・・・6~10片の星形に開く。湿度により開閉するので、キノコの晴雨計とも言われている。
  • 冬虫夏草(とうちゅうかそう)・・・セミやカメムシなどの昆虫やクモなどに寄生する菌類。
  • 真っ先に覚えたい毒キノコNO1・・・ツキヨタケ
     食用のムキタケやヒラタケ、シイタケと似るので紛らわしく、日本特産の毒キノコの中で、中毒例が最も多い。ブナなどの倒木や立ち枯れ木に群生する。縦に裂けば、紫色の染みになっているのが毒のツキヨタケである。
毒キノコNO2・・・クサウラベニタケ 毒キノコNO3・・・カキシメジ
  • 今年初の食中毒はクサウラベニタケ・・・2016年9月27日、毒キノコのクサウラベニタケを食用のハタケシメジと誤って食べ、20代~80代の家族4人が食中毒を発症した。 毒キノコは知人からもらったという。その知人は「ハタケシメジだと思った。25日に自宅近くで採った」と話したという。食用と確実に判断できないキノコは、「採らない、食べない、売らない、人にあげない」の4原則を厳守することが大切である
  • 全国的に発生が増えている毒キノコ・カエンタケ・・・触れるだけで炎症を起こし、食べると死亡する場合もある。初夏から秋、ミズナラやコナラなどの樹木が枯れると、1年後ぐらいから根の周囲に発生する。表面は、オレンジ色から赤色で形は細長い棒状または上部が枝分かれしたトサカ状のキノコ・カエンタケに注意。
  • 地獄のキノコ・ドクササコ・・・苦痛という点ではドクササコにかなうものはない、と言われる毒キノコ。手足の先が赤くはれ、耐え難い激痛が1ヶ月~2ヶ月も続く。腫れあがった手足を冷水に長期間つけ、肉がぶよぶよにふやけ、ついには骨まで出てきた例もあるという。
  • アルコールと相性が悪いキノコ・・・食用のホテイシメジやヒトヨタケは、酒を飲みながら食べると、顔面の紅潮、頭痛、めまいなど悪酔い症状を呈するので十分な注意が必要。
  • 採るだけでアウトのキノコ・・・シビレタケの仲間は、幻覚作用を起こす物質を含む種が多く、「麻薬原料植物」として取り締まりの対象になっている。傷つけると青く変色する種が多い。
  • オオワライタケ・・・多量に食べると幻覚、幻聴を伴う精神の興奮、狂乱状態になる。このところの雨で大量に発生しているので注意!
  • 野鳥の森でキノコ採取・・・参加者が実際に野鳥の森の中に入って、生えているキノコを採る。今回はキノコの種類が多く、食用のアミタケやヌメリイグチ、ハツタケ、ムラサキアブラシメジモドキ、ウラベニホテイシメジ、スッポンタケなどが採れた。
  • キノコ判定(実習棟)・・・参加者が野鳥の森で採取したキノコを実習棟に持ち込み、キノコ博士たちが種類別に選別する。その間、多種多様なキノコの実物展示を熱心に見入る参加者たち。中には、写真を撮る人も少なくなかった。
  • 参加者が持ち込んだキノコの種類を判定し、選別する作業風景 
  • キノコ博士によるキノコ判定結果解説
     協力は、「秋田きのこの会」の皆さん。会では身近なキノコの一括ガイドとして「千秋公園のキノコたち」のパンフレットをPDFでアップしている。自然観察会などで、身近なキノコを判別するには、大変役立つのでぜひご覧いただきたい。
  • 食用のウラベニホテイシメジとよく似ている毒キノコ・クサウラベニタケの見分け方・・・キノコを縦に割ると、食用は柄が充実している(上左)のに対して、毒キノコの柄は中空で(上右)つまむとつぶれる。キノコ採りの名人は、食用のウラベニと同定できても、軸が細く短いものは絶対にとらないという。
  • 実物展示は、食用、毒、不明の三種に分け展示。そのうち食用のみを以下に掲載する。
 参観デーご来場記念として、菌床シイタケと当センター内で栽培されている栗がプレゼントされた。
  • 菌床シイタケの育て方
  1. 菌床が壊れない程度にバシバシ叩いた後、優しく袋から取り出す。
  2. 菌床の表面を水で洗い、皿などの上に置く。
  3. 管理・・・菌床の表面が乾かないように袋を被せ、1日2~3回霧吹き又は直接水をかける。高温・直射日光・乾燥に弱いので、玄関などに置くと良い。
  4. 1週間くらいでシイタケの芽が出てくる。シイタケが出てきたら、霧吹きや水かけは止める。収穫は、傘が開き切らないうちに根元からハサミで切り取る。
  5. 収穫後、3と同じように管理するとシイタケが再び生えてくる。うまく管理すると3回以上収穫できる。菌床が乾き過ぎている場合や発生が悪い場合は、水をたっぷり入れたバケツなどに菌床を入れ、重しをして、10時間前後浸水する。