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クリプトンの森便りその9 

 「雪国の春は花」・・・クリプトンの森から国際教養大学の桜並木も満開を迎えた。その花の蜜と美しさに誘われて、ヒヨドリやメジロ、スズメ、ツグミ、カラ類、ハシブトガラスなどが群がってやってくる。花が終わると、森は新緑に包まれるが、その若葉を食べるイモムシ類が大発生する。そのイモムシ類をエサに子育てする鳥たちが、今、盛んに巣づくりをしている光景があちこちで見られる。クリプトンの森を中心に、趣味のイワナ釣りの合間に撮った野鳥やニホンザルも含めて近況を報告する。
  • コムクドリの巣・・・今年の巣は、ケヤキの大木の穴に決定したツガイ。左上がオスで、右下がメス。
  • 鳥の羽を集めていたエナガ(樹木見本園)・・・エナガは、クモの糸で地衣類を接着し、精巧な巣を作る。最後に、卵が割れないように、巣の中に羽毛を運び完成させる。
  • 巣材を集めていたムクドリ・・・ケヤキの樹洞に巣材を運んで巣づくりをしていた。 
  • 巣をめぐって争うムクドリのツガイ・・・ツガイの数より巣穴が少ないのだろうか。何組ものツガイが、けたたましい声を張り上げて争っていた。 上の写真は、右のムクドリが足蹴りをくらわして倒したところ。
  • コブシの花とコムクドリ・・・コブシの花の蜜を求めてやってきたコムクドリのツガイ  
  • 梅の花蜜を吸うヒヨドリ 
  • 梅の花蜜を夢中で吸っていたコムクドリ・・・ヒヨドリが追い払いをかけても逃げずにとどまり、花蜜を吸い続けていた。小さなメジロとは違い、ヒヨドリごときには負けていないようだ。
  • スズメの砂浴び・・・大事な羽が汚れたり、寄生虫がいると命取りになりかねないので、砂に穴を掘ってしばらく砂浴びをして入念に手入れをしていた。 
  • ルリビタキのメス 
  • バッケとシジュウカラ(クリプトン・野鳥の森)
  • キジの母衣打ち・・・今年もあちこちで、メスに求愛する派手な母衣打ちが始まった。今年は、何匹のメスを獲得できるか。観察していると、4、5匹ものメスを連れているモテキジもいれば、何度大声を張り上げて母衣打ちしても、ゼロという全くモテないキジもいる。それだけに、観察していると意外にオモシロイ。
  • カシラダカ・・・冬鳥だが、そろそろ繁殖地であるユーラシア大陸の亜寒帯へ帰る頃であろう。
  • トラツグミ・・・虎のような斑模様が特徴的な日本最大のツグミ類。この虎斑模様は、保護色で動かないと見つけるのが難しい。昔からトラツグミは、夜中に、「ヒィー、ヒィー ヒョー、ヒョー」と気味悪く鳴くので、妖怪や地獄鳥などと呼ばれて嫌われていたらしい。
  • オオルリ・・・繁殖期に入ったようで、木の梢や枝先にとまって、「ピーリッ、ポピーリポピーリ、ジジーッ」「ピーリリリィリィ、チリチリッ」などと、よくとおる美声でさえずっていた。
  • 渓流の定番・ミソサザイ・・・縄張り宣言でもしているのだろうか。意外に狭い範囲の木々の幹を伝い歩きしながら、「ツピツピツピチヨチヨチヨツリリ・・・」とさえずっていた。動くと相手に気付かれるので、動かずしばらく観察していると、私の目の前の倒木に止まって、尾羽をピンと上げ、さえずり始めた。目にはアイキャッチ、背景は残雪の白で焦げ茶色の鳥が際立って見える。
  • ツバメのツガイ・・・繁殖のために、今年も越冬地である南から元気にやってきた。
  • ニホンリス(樹木見本園)・・・昨年隠したオニグルミを探しにやってきたニホンリス。見事に掘り当て、定番の場所で食事をしていた。
  • ニホンリスの食事場所(樹木見本園)・・・リスの食事場所は、お気に入りの場所がある。樹木見本園では、クリの木の根元で、多くの食痕が散らばっている。 
  • サクラを見ながら日光浴していたシマヘビ 
  • チョウジザクラとメジロ(樹木見本園)・・・樹木見本園のチョウジザクラは、サクラの仲間では一番早く咲く。案の定、メジロが群がって花蜜を吸っていた。
  • チョウジザクラの花蜜を吸うメジロ
  • ベニイタヤの若葉とメジロ・・・時折、葉や葉柄の根元に口をやって何やら食べていた。昆虫やクモでも食べているのだろうか。
  • ミズバショウ 
  • 早春の花・スイセン
  • キクザキイチゲ(樹木見本園) 
  • アセビ(馬酔木、樹木見本園)・・・早春、スズランに似た白い釣鐘の花を鈴なりに咲かせる。和名は、有毒の実を指す「悪し実」から転訛したとの説が有力。馬や鹿、牛が嫌うことから、別名ウマクワズ、シカクワズ、ウシクワズとも呼ばれている。
  • ハクモクレン(クリプトン駐車場前) 
  • オオカメノキの白花とツバキ(樹木見本園) 
  • トサミズキ(樹木見本園) 
  • レンギョウ・・・黄色の花を枝一杯に咲かせる早春の花
  • コブシ・・・山に春を告げる白い花がタムシバで、里に春を告げる白い花がコブシである。
  • オオヤマザクラ・・・北海道、東北を代表する野生のサクラ。 
  • 満開になったサクラのトンネル(国際教養大学サクラ並木)
  • 逆光で撮影してみたサクラとヒヨドリ
  • サクラの花蜜を美味しそうに吸い、花の受粉に貢献するヒヨドリ
  • メジロとサクラ・・・サクラが満開になると、同じ木に群れでやってくる。その木の傍を車や人が通ると一斉に別の木に逃げ移る。果ては、常緑樹や若葉が開いた木に身を隠したりする。
  • サクラとハシブトガラス・・・サクラの木の枝に止まって、しばし花園を観賞していた。カラスは、サクラの木にも営巣するので、この近くに巣があるのかもしれない。
  • スズメとサクラ・・・集団で花見をするスズメ。スズメは、メジロのように花の蜜を吸えないので、花を食いちぎって噛むようにして花の蜜を味わうのだが、定位置で観賞するばかり。恐らく腹一杯になったのであろう。
  • 白神のニホンザル・・・春は、カタクリの花やフキノトウ、キバナイカリソウを食べると言われているが、観察しているとどうも違う。地上に芽を出したばかりのノビルのような細い葉を抜いて食べているようだ。カタクリもフキノトウも、花が開く前のツボミが旬である。いずれの花も開いていたので、サルも手を出さなかったのであろう。
     群れの行動を観察していると、一般に言われるボスザルは存在しない。「母系社会」と言われるだけあって、成獣のメスが群れ全体の行動を決めているようだ。群れの規模は意外に小さく、10数頭であった。
  • 県内のニホンザルは、生息数と分布域が年々拡大。人慣れも進行し、人を恐れなくなったサルも増えている。今では、白神山地周辺だけでなく大館市でも確認され、農作物被害が深刻化している。さらにニホンジカとイノシシが北上しているだけに問題は複雑だ。秋田県は、少子高齢化のスピードが速く、中山間地域を中心に里地里山の荒廃も進行していることから、野生動物との緩衝帯があいまいになってきている。それだけに、野生動物との共生は、極めて難しい喫緊の社会問題と言えるであろう。
  • ユキヤナギとサクラの競演(クリプトン樹木見本園)・・・樹木見本園が最も美しい花で彩られるのは、ユキヤナギとサクラが満開になる頃である。写真は昨年撮影したものだが、今年はGW前半がピークであろう。近くに来た際は、ぜひ足をお運びください。