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2017森の学校 しいたけ植菌体験

 2017年4月15日(土)、「森の学校2017」のスタートを飾る「しいたけ植菌体験」は、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。市販で主流の菌床シイタケより遥かに美味しいシイタケを家庭で手軽に栽培できることから人気が高く、参加者は年々増加。今年は、悪天候にもかかわらず、一般・親子128名、協力として森の案内人協議会から30名の参加を得て実施された。
  • 内容/1人2本の植菌体験と持ち帰り(1家族2名まで)
  • 主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン(018-882-5009)
  • 協力/秋田県森の案内人協議会
  • 森の学校2017年間スケジュール
  • しいたけ植菌体験への参加者は、受付に行列ができるほど盛況であった。これまで100名を超える大人数の参加者を受け入れたことがない上に、朝から悪天候に見舞われたが、協力として森の案内人の方々がたくさんかけつけてくれたお陰で、作業は安全かつスピーディに進んだ。 
  • 講師:進藤インストラクター・・・ 作業の要領、注意点、家に持ち帰った後のホダ木の管理方法について説明が行われた。植菌したホダ木を家に持ち帰ったら、「しいたけ栽培のポイント」を参考に、できるだけ量も多く、質の良いシイタケが出てくるよう管理してほしい。
  • ホダ木はコナラ・・・シイタケの発生量、質ともに優れ、最適なホダ木である。
  • ホダ木の長さと穴のサイズ・・・平均径12cm×長さ90cm。
  • 穴を開けるラインの位置・・・上右写真のように原木に印を付けているように計6ライン。
  • 90cmの原木に、穴の位置を印した定規の位置に従い電動ドリルで穴を開ける。赤印の位置に5ヵ所穴を開けたら、次のラインは千鳥になるように黒印の位置に6ヵ所穴を開ける。
  • 穴の数は、5ヵ所×3ライン+6ヵ所×3ライン=33ヵ所。
  • 雨風ともに強かったので、クリプトンの軒下を作業場にして行われた。今回は、初めての参加者も多かったので、森の案内人に電動ドリルの使い方、穴をあける位置の指導を受けながら作業を行ったのに加え、後続の参加者は、その体験者の作業をじっくり見て学びながら、自分の番に備えていた。
  • 電動ドリルで原木に穴を開ける作業風景 
  • シイタケ種菌・・・家庭で余り手間をかけずにシイタケを採りたい人向きで、全国的に最も多く使用されている品種で、発生温度は、7~20度、秋と春の二回出るタイプを使用している。
  • 植菌・・・穴に種駒を入れ、木づき、または金づちで種駒の頭が樹皮面より出ないように優しく打ち込む。全部の穴が、しいたけ種菌でふさがれると完成である。
  • シイタケは、いつ発生するのか・・・植菌したシイタケは1年半後の秋に発生する。その翌年から春と秋の二回発生するようになる。一般に4~5年は発生する。ただし、次第に春には出ても、秋には出なくなる。シイタケ栽培は、家庭菜園より簡単で、かつ長期間楽しめるのが最大の特徴である。
  • 親子で植菌体験風景
  • しいたけ栽培のポイント
    1. シイタケ菌をホダ木に活着させるための初期管理のことを「仮伏せ」と言う。仮伏せの場所は、雑菌が入らないように、雨が当たらず、かつ風通しの良い軒下などに仮伏せをする。その際、ホダ木の下に細い棒を敷いてホダ木が地面につかないように薪積みにする。切口に白い模様(菌糸紋)がでてきたら、被覆をとる。仮伏せの期間は約1ヶ月
    2. 梅雨期前に「本伏せ」(上の写真)をする。ホダ木は、直射日光や西日の当たらない所。不十分な場合は、遮光ネットやスダレなどをホダ木の上に張る。
    3. 梅雨~夏期は、雑草や低木を刈り払い、通風を良くすること。
    4. 7月中旬頃と9月中旬頃、ホダ木の天地返しや積み替えを行い、菌糸を均一に成長させる。
    5. キノコの芽が出る秋には十分散水すること。
    6. ホダ木を叩いて振動を与えるなど、刺激を与えればシイタケが良く生えるといわれる。
  • 参考①・・・採り方・・・柄を持ってもぎとる。ナイフなどで柄を切るのは、切り後から雑菌が入る恐れがあるので×。
  • 参考②・・・シイタケ料理
    1. つけ焼き・・・シイタケの傘を下にして金網に乗せ、ヒダのところにバター・しょう油・酒を少々たらして弱火で焼き、柄をつかんで食べる。
    2. バター炒め・・・柄をとってからバターで炒め、塩コショウをふってレモン汁をかける。
    3. その他、煮物、天ぷら、鍋物、味噌汁など、どんな料理にも合う。
▲天然シイタケ  ▲ホダ木栽培のシイタケ 
  • 天然シイタケとホダ木栽培されたシイタケの味の差は・・・一般には、ほとんど差がないと言われるが・・・シイタケの旬は傘が八分くらいに開いて胞子が落ちる寸前まで成熟したキノコが美味しい。ところが、天然シイタケの場合は、傘が開き過ぎていたり、未成熟と、その旬に当たるのが難しい。ホダ木栽培なら、旬を見極めて収穫できることからホダ木栽培の方が美味しいシイタケを味わうことができる。
  • 参考③・・・シイタケは薬効が凄い
    1. 骨の形成・くる病の予防・・・骨の形成に重要な働きをするビタミンD2の母体であるエルゴステリンが多く含まれる。
    2. 血圧降下作用・・・人体実験で証明されている。
    3. コレステロール値を下げる作用・・・有効成分はエリタデニン
    4. インフルエンザの予防・・・胞子には抗ウイルス作用のあるインターフェロンを誘発する作用がある。
    5. 貧血防止・・・ビタミンD12は赤血球を増す作用があり、シイタケには豊富に含まれているので貧血ぎみの人によい。
    6. ビタミンB1、B2も多く含まれる。
    7. 抗がん作用・・・シイタケに含まれる多糖体「レンチナン」が、抗がん剤として中央薬事審議会で製造が承認された。
    8. 美容食に最適・・・カロリーが少なく、食物繊維が多い。