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桜中学校林業体験プログラム

 2017年10月20日(金)、林業体験プログラムの策定に向けた第1回林業体験学習が、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に行われた。対象は秋田市立桜中学校1年生5名。様々な測樹器械を使って、樹木の直径を測る、樹木の高さを測る、樹木の材積を求める、販売価格はどれぐらいになるか計算する体験実習。ほかに、職場訪問として、秋田県森林学習交流館の仕事に対する質問に答えたり、ツキノワグマの生態と対策に関するミニ講座、森のクラフト体験が行われた。 
  • 主催・・・秋田県農林水産部森林整備課(あいさつ:戸部信彦主幹兼班長)
  • 講師・・・森林整備課真崎博之副主幹、林業研究研修センター花田綾子主査、秋田地域振興局森づくり推進課畠山恵主査、佐藤喜八郎森林インストラクター補助員 
  • 輪尺(りんじゃく)・・・木の幹の太さを測る。いわば大型のノギス。
  • 直径巻尺・・・木の周囲を測れば直径が表示されている測量テープ。 
  • ワイゼ式測高器・・・木の高さを測る機器の一つ。
  • トゥルーパルス・レーザー距離計・・・レーザーで距離を測り、樹木の高さを自動演算して表示。 
  • 室内講義・・・測樹に必要な器械等の説明
  • ヘルメットと軍手、雨具を着用して、クリプトン裏庭のスギ林へ移動。 
  • 標準地調査・・・通常は1haだが、今回は10m×10m=100m2で実施。テープで測り、ポールを四隅に立て、その範囲内にあるスギの直径、高さを測る。 
  • スギの直径を測る・・・輪尺(りんじゃく)と呼ばれる大形のノギスを使い、地上から1.2mの高さ(胸高直径)を測る。変わっているのは、2cm目盛りになっている点。奇数は切り上げ、全て偶数で表す。輪尺は、幹の周りを一周させ、一番狭いところを測る。 
  • 直径巻尺で測る・・・木の周囲を測れば直径が表示される巻尺で測る。輪尺による測定より直径が大きく出る傾向があった。 
  • 直角二等辺三角定規を利用した測り方・・・仰角が45 度になる所まで行き、そこから目標物までの水平距離(L)を測ります。木の高さ(H)=水平距離+目の高さ。 
  • ワイゼ式測高器を使ってスギの高さを測る・・・スギまでの距離を巻き尺で測り、ワイゼの中で距離と角度の関係を読み取ることで、木の高さを測る。
  • 測竿でスギの高さを測る・・・どんどん伸ばして、スギのてっぺんまで届いたら目盛りを読む。測竿よりスギが高ければ、目測で、例えば測竿の最大の長さの1.5倍などと読み取る。
  • トゥルーパルス・レーザー距離計によりスギの高さを測る・・・起伏の激しい山の中で、巻き尺やワイゼを使って、1本、1本測るのは大変な労力を要する。現在は、木までの距離をレーザーで測定する装置と角度を測る装置を組み合わせ、内蔵している計算機で木の高を自動計算して表示する機械が開発されている。 
  • スギの材積を求める・・・屋外で測ったスギの高さ、直径から木の体積である「材積」を求めることができる。その際、「立木材積表」を使って求める。 
  • 立木材積表・・・秋田県のスギ人工林に適用されている「立木材積表」を使って、材積を求める。縦に高さ、横に直径が表示されており、測定した数値が交差する位置の値が材積となる。
  • 標準値調査で出した材積・・・4.45m3(100m2)→1ha当たりに換算した材積は、445m3。
  • 利用率60%とすれば、445×60%=267m3。
  • 販売価格はどれぐらいになるか・・・県内のスギの価格(製材用、合板用、チップ用)をもとに計算する。結果は、240万円ほどになった。生徒たちは、これなら儲かると喜んだが・・・スギ人工林に要する費用(苗代・植樹、下刈り、除伐、間伐)、伐採、搬出・運搬などの経費を引けば、利益はほとんど残らないのが現状。 
  • 林業マンのコスプレをして記念撮影・・・秋田県のスギ人工林の面積は、約37万haと県土のほぼ1/3を占め、「人工林のほとんどはスギ」と言われるほど、面積、蓄積量ともに全国一を誇る。こうした林業体験を通して、将来の「林業県あきた」を担う人材の確保育成につながることを期待したい。