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豊成中学校~林業体験プログラム~

 2017年11月16日(木)、林業体験プログラムの策定に向けた第2回林業体験学習が、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に行われた。対象は大仙市立豊成中学校1年生15名。様々な測樹器械を使った測樹体験実習や、高性能林業機械を使った林業大学校の研修現場見学、森の散策、森の素材を使ったクラフト体験が行われた。 
  • 主催・・・秋田県農林水産部森林整備課(あいさつ:戸部信彦主幹兼班長)
  • 講師・・・森林整備課真崎副主幹、林業研究研修センター花田主査、山本地域振興局中田副主幹、秋田地域振興局畠山主査、由利地域振興局田口主査、プラザクリプトンインストラクター3名、佐藤森林インストラクター補助員(森の案内人協議会会長)、亀井森の案内人。各体験は、4グループに分かれて順次実施された。
  • 森の散策・・・冬到来を告げるアラレが降る中、美味しそうな肉厚ナメコがホダ木から顔を出していた。ホダ木栽培の採取適期は、小粒ナメコではなく、傘が完全に開く前の7~8分開きのものがベストと言われている。 
▲球果・・・12月頃、割れて小さな種子が出る
▲スギ花粉を飛ばす雄花も膨らみ始めた
  • スギの標準伐期・・・40~60年。今、秋田のスギ人工林の多くは、標準伐期を迎えている。
  • 笹と竹の違い・・・成長するにつれて鞘が剥がれ落ち、茎の部分がツルツルしているのが「竹」、成長しても枯れるまで鞘が残っているのが「笹」である。 
  • 松枯れ・・・松枯れを起こす犯人は「マツノザイセンチュウ」という2ミリにも満たない外国からやってきた生物。このセンチュウを松から松へ運ぶ共犯者が「マツノマダラカミキリ」。センチュウは健康な松の樹体内で繁殖し、松を衰弱させる。衰弱した松はカミキリの絶好の産卵対象木となり、次々と枯れていく。
  • クリプトンの森には、そんな害虫を食べるキツツキが3種やってくる。それは、アカゲラ、アオゲラ、コゲラ。
  • マイタケとミズナラ・・・枯れたナラ類の前でキノコの話に。マイタケは、半枯れのミズナラの根元に生える。だから下を見るのではなく、ミズナラの上の方を見て半枯れのミズナラ大木を探すのがポイント。 
  • 紅葉・・・秋になると、葉を落とす準備として、葉の付け根の所に離層というミゾができる。そしてクロロフィルが分解されてカロチノイドが残るので、黄色く色づく。葉に蓄積した糖類が紫外線を浴び、アントシアンやタンニン系の色素に変化する樹木は、それぞれ赤や茶に紅葉する。 
  • 高性能林業機械を使った林業大学校の研修現場見学・・・複数の作業を1台でこなす多工程機械を高性能林業機械という。従来チェンソーで行っていた立木の伐倒、枝払い、玉切り、玉切りした材の集積作業まで一貫して行うハーベスタと呼ばれる高性能林業機械もある。 
  • 高性能林業機械があれば、女性でも楽に、安全に作業ができる。
  • 秋田林業大学校・・・民間と行政が連携し、オール秋田で「林業県あきた」を担う若い人材を養成する大学校。研修期間は2年間で、高性能林業機械等の各種資格も取得できる。さらに「緑の青年就業給付金」が年間最大約137万円、最大2年間もらえる。
  • 就職先・・・森林組合(県内12)、林業会社(県内約100社)、製材加工会社(県内約120社)。ちなみに、2017年3月に卒業した1期生18人全員が県内の森林組合や木材関連企業に就職している。
  • 測樹体験実習・・・クリプトンのスギ林をフィールドに、様々な測樹器械を使って、樹木の直径を測る、樹木の高さを測る、樹木の材積を求める、販売価格はどれぐらいになるか計算する体験実習を行った。
  • 標準地調査・・・通常は1haだが、今回は10m×10m=100m2で実施。その範囲内にあるスギの直径、高さを測る。 
  • スギの直径を測る・・・輪尺(りんじゃく)と呼ばれる大形のノギスを使い、地上から1.2mの高さ(胸高直径)を測る。変わっているのは、2cm目盛りになっている点。奇数は切り上げ、全て偶数で表す。輪尺は、幹の周りを一周させ、一番狭いところを測る。  
  • ワイゼ式測高器を使ってスギの高さを測る・・・スギまでの距離を巻き尺で測り、ワイゼで木の根元と梢の角度から木の高さを測る。
  • 参考:直角三角形の原理を応用・・・上図に示した角度α・β、水平距離Lを測り、樹高ABを求める計算式に当てはめることで樹高を求めることができる。
  • トゥルーパルス・レーザー距離計によりスギの高さを測る・・・起伏の激しい山の中で、巻き尺やワイゼを使って、1本、1本測るのは大変な労力を要する。現在は、木までの距離をレーザーで測定する装置と角度を測る装置を組み合わせ、内蔵している計算機で木の高を自動計算して表示する機械が開発されている。
  • スギの材積を求める・・・屋外で測ったスギの高さ、直径から木の体積である「材積」を求めることができる。その際、「立木材積表」を使って求める。
  • 立木材積表・・・秋田県のスギ人工林に適用されている「立木材積表」を使って、材積を求める。縦に高さ、横に直径が表示されており、測定した数値が交差する位置の値が材積となる。
  • 販売価格はどれぐらいになるか・・・利用率60%、A材(主に製材用30%)、B材(主に合板用50%50%)、C材(主にチップ用20%20%)とし、県内のスギの価格(製材用、合板用、チップ用)をもとに計算する。結果は1ha当たり251万円~290万円であった。
  • 森の素材を使ったクラフト体験
  • 豊富な森の素材・・・クリプトンのクラフト教室は、森の素材が豊富なこと。森のバイキングのように、気に入った素材を小皿に入れて、楽しい森のクラフト体験にチャレンジ。
  • 完成作品を手に記念撮影
  • 林業マンのコスプレをすれば、思わずVサインをしたくなる・・・秋田の森林面積は、全国6位だが、スギ人工林面積・蓄積量はともに全国一。スギ素材生産量も全国2位を誇る。だから「森と木の国秋田」「林業県あきた」とも呼ばれている。
  • 今回は、秋田林業大学校の研修現場を視察し、その説明に生徒たちは興味津々であった。同行していた校長先生は、思わず「競争率はどれぐらいか」との質問が飛び出すほどだった。