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県民参加の森づくり事業を活用

能代木材産業連合会が能代科学技術高校で出前講座を開催

秋田県森林ボランティア団体 能代木材産業連合会
  •  令和7年10月1日(水)に能代市般若町県立能代科学技術高校において、建設科の生徒5人を対象に未来の就職や進学に役立てて貰うよう、また森林・林業を理解して貰うため出前講座を開催しました。
  •  木の学校の佐々木所長から、建設関係では県を挙げて高校生の就業活動に関わっているが林業・木材産業ではなかなかそういうことが無い。能代科学技術高校の建設科を相手に森林・林業・木材産業を税事業によりPRするので紹介して欲しい、と言われ同校に向かいました。
  •  同校は、能代工業高校と能代西高校が統合した高校で、工業科と農業科のある珍しい学校です。正面玄関で受付し、広い校内を巡り歩いてやっと研修室にたどり着きました。開校5年目ということで素晴らしい施設で羨ましく思いました。
  •  平成7年度から3年間、私(福井)は、(財)木材加工推進機構に県から派遣され木材高度加工研究所の立ち上げに際し、支援部隊として働きました。その時に能代市から派遣されていた原田さんがバスケット協会の役員をしており、能代カップの試合を観に行きました。当時の能代工業は全盛期で有名な田臥選手のプレーを目の当たりにして驚愕したのを思い出します。
  •  担当の外川先生から本日の日程や説明があり、出前講座が始まりました。
  •  上段は能代科学技術高校の正面です、学校の入口には能代工業時代からのバスケット全国大会で優勝が刻まれていました。
  •  入口に入って手続きすると出前講座の道順があちこちにあり、その通りに行くと造形実習室に着きました。木都らしく教室の入口もスギです。
  •  それにしても立派で大きな学校で実習室も沢山ありこういう学校で学びたかったと思います。
  •  外川先生のガイダンスの次は、山本地域振興局の伊藤振興チームリーダーから森林や木材の二酸化炭素固定機能があることなどが説明され、県で作成したカーボンニュートラルの概要と世界の動きという動画を勉強します。
  •  これがなかなか分かり易い動画で、秋田県の現状やバイオマスの動き、森林は若返らないと炭素固定量が減るため伐採して再造林する必要があることなどが説明 されました。
  •  普段は、森林・林業関係の話を聞く機会が無い生徒さん達は聞き入っていました。
  •  続いて木材高度加工研究所の野田先生から、木材の性質、やエレメント(材料)の違いによっていろいろな用途に使われる木質材料が出来ることが説明されます。
  •  薄い単板を重ねた合板や、木質繊維を集めたパーティクルボード、ラミナを貼り合わせた集成材、ラミナを直交方向に貼り合わせたCLTというふうに説明されました。
  •  特にCLTは木材利用量も多く、大断面の材料が作れるため床や壁に使われており、鉄やコンクリートに比べて軽いので大型建物を作る際も大幅に工期を短縮できる。
  •  外見はコンクリートや鉄製に見えても内部は木のぬくもりを持った建物ができる。
  •  野田先生からそれでは真空CLTを作りましょう、と声が掛かりました。真空CLT?と思いましたが、通常はプレスで上から圧力をかけますが、真空にしてあらゆる方向から圧力をかけて木材を接着剤でくっつけるという理論です。
  •  最初に通販でよく見る、布団収納圧力袋を利用して、ラミナに見立てた木片を引っ越しで使う布製マットで囲いコンプレッサーで空気を抜いて真空にします。
  •  布製マットは何故使うのかは、接着剤が袋に直接着かないようにすること、袋が傷まないように長く使うこと、だそうです。ぴったり密着した袋から木材を取り出します。
  •  次に実際に接着剤を使ってCLTを作りますが、先生が事前に作成した3層のCLTを持ち重さを実感します。脇から板を見ると貼り合わせ方向が違うのがよく分かります。
  •  便利な木工ボンド塗りつけ器?を使って均質にボンドを塗って行きます。生徒さんが挑戦します。
  •  野田先生が木工ボンドを塗った面を90度ひっくり返して接着面を合わせます。
  •  端を揃えて、布製マットで包み、空気をぬいて真空にします。このままボンドが固まるまで30分待つので休憩します。
  •  休憩を挟んで、地元企業の説明ということで中田建設の後藤さんから、会社の概要、理念などが説明され、木造家屋の工法や尺貫法を今でも単位として利用していること、能代市立第4小学校を建設したときの大工さんの実働数が紹介されました。
  •  後藤さんも能代工業のOBで会社も毎年一人は建設科から採用しているそうです。 
  •  最後に建設業で働くメリット5選として写真のとおり紹介し、昔の3k産業から現在は「給料、休暇、希望、かっこいい」の新4k産業だと自慢!されました。林業でも大いに参考にしないといけませんね!
  •  最後に瞬時に寸法が分かる機械を使い「建設業界は技術が革新的に進歩している」とトドメを刺されました。
  •  企業説明後にボンドが固まったので袋から取り出します。模型CLTを皆で確認します。野田先生からは袋を大きくすると4尺×6尺の大きさのCLTも作れること、災害等で重機が現場に入るときに鉄板を敷かないといけないが、災害が増えてくると鉄板が足りなくなるのでCLTが代役を果たすこともある。軽いので軽トラで移動出来るのも機動性があると話しがありました。
  •  また、板の上に木片を置いて異形にしても、真空だと支障ないとの実験もされました。
  •  先日のフレグランスの渋谷先生といい、今回の野田先生も木材高度加工研究所の先生が活躍されていて嬉しい限りです。
  •  最後の講義は、佐々木さんです。木都能代のパフレットを使い、木材産業や木高研の存在などの話しをされました。。
  •  最後は、小松木工の組み木が配られ、それぞれで組み立てていきます。難易度がかなり高く設計図を見ながら組み立てますが、さすが建設科の生徒さん、アプローチが違っていて組み立てには個性があることに感心しました。
  •  かなり早く仕上げる生徒さんもいましたが、時間内に皆さん組み立てが終わりました。スタッフの加賀谷さんも応援です。
  •  朝からお昼までビッチリのメニュウでしたが、生徒さん達も真剣に取り組んでいました。出来れば林業・木材産業にも就職して欲しいものです。
  •  林業・木材産業のPRのためには大変良い取組でした、これがもっと全県に広がって、新4Kを目指し多くの若者が林業に参入する日を夢見た一日でした。
  •  税事業の新たな用途だと思います。10月22日には県南の増田高校でも佐々木さんが出前講座を実施するそうなので、そちらにも行こうと思います。