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第50回全国育樹祭記念行事

森林インストラクターと歩く「真人山フラワーウォッチングツアー」

  2026年4月19日(日)、森の学校2026 森林インストラクターと歩く「真人山フラワーウォッチングツアー」が、「守りたい秋田の里地里山50」の真人山(横手市増田町)で開催された。参加者は30名。さくら名所100選・真人公園を起点に九十九折りの登山道沿いを登り、途中最も眺望が良い三吉神社を経て標高390mの真人山山頂へ。帰路は、北に向かって下り、途中義経三貫桜を経て起点の真人公園に至る一周ツアー。ソメイヨシノやオクチョウジザクラ、カスミザクラ、ベニヤマザクラ(オオヤマザクラ)などのサクラ類をはじめ、登山道沿いを彩る萌黄色の新緑と、オオカメノキやタムシバ、ユキツバキ、オオバクロモジ、マルバマンサク、キバナイカリソウ、ナガハシスミレ、ミズバショウ、カタクリ、トウゴクサイシン、カキドオシ、シュンランなど百花繚乱の草花を観察しながら、春の里山を満喫した。
  • 共催/秋田県森林学習交流館指定管理者、秋田県森林インストラクター会
  • 協賛/(一社)秋田県森と水の協会
  • 講師・・・森林インストラクターの酒井さん、次田さん、佐々木さん、花田さん、サポーターガールズ、計5名。 
  • 真人山一周コース・・・真人公園→三吉神社(標高350m)→真人山(標高390m)→義経三貫桜→倉狩沼→真人公園(約6kmの山道) 
  • さくら名所100選・真人公園・・・秋田のさくらの名所100選は、仙北市角館町桧木内川堤・武家屋敷、秋田市千秋公園、横手市増田町真人公園の3つ。
  • 「リンゴの唄」の記念碑
     昭和を代表するヒット曲「リンゴの唄」は戦後作成された第一号の映画「そよかぜ」の主題歌。その映画のロケが当地で行われ、主演の並木路子さんが歌って大ヒットした。ちなみに歌詞は、「赤いリンゴに口びるよせて/だまってみている青い空/リンゴはなんにも言わないけれど/リンゴの気持ちはよくわかる/リンゴ可愛やかわいやリンゴ」 
  • ソメイヨシノ・・・江戸時代後期に開発され、美しく生育が早いことから、たちまち全国に広まった。この品種は、オオシマザクラとエドヒガンの天然交配による自然雑種で生まれたといわれている。オオシマザクラは、緑色の新葉の展開と同時に大輪の花を比較的多く咲かせる特徴をもつ。エドヒガンは、葉が出る前に淡い紅色の花を咲かせる。この両者の特徴を併せ持つ人気のソメイヨシノが生まれた。
  • ソメイヨシノの名前の由来・・・江戸時代末期から明治初期に染井村に集落を作っていた造園師や植木職人達によって育成された。吉野山に多いヤマザクラと混同される恐れがあったことから、染井村の名を取り「染井吉野」と命名された。 
  • 真人山登山口から九十九折りの登山道へ
  • タチツボスミレ・・・サクラの咲く頃に見られるポピュラーなスミレで、花は淡紫色で、距も紫色を帯びる。よく似たオオタチツボスミレは、距が白いので区別できる。 
  • オオタチツボスミレ・・・距が白い 
  • ホオノキの若芽 
  • ミズキ・・・扇状に枝を広げ、階段状の独特の樹形になることから「テーブル・ツリー」とも呼ばれている。初夏、たくさんの白い花が上向きに一斉に咲くと、花の階段のように見え、よく目立つ。秋、果実は黒く熟し、野鳥たちの季節移動を支える重要な食糧になっている。ツキノワグマも大好物で、しばしばクマ棚をつくる。 
  • ウワミズザクラ・・・白く小さな花が穂状に上向きにつき、とてもサクラの仲間とは思えないが、これもサクラの仲間。 
  • キブシ・・・早春の野山で、バッコヤナギと同じく他に先駆けて咲き、まるで黄色い暖簾を吊り下げたように長い花序を垂らす。雌雄異株で、雄株の花穂は長く、雌株は短い。
  • 名前の由来・・・江戸時代、既婚女性が歯を黒く染めたお歯黒にヌルデの種子・五倍子(フシ)を使用した。その代用としてキブシの果実が利用されたことから、木の五倍子(フシ)で「木五倍子」と書く。
  • オオバクロモジ・・・葉が展開すると同時に黄緑色の花が多数咲く。早春の里山では、マンサクに次いで早く開花する。幹や枝が緑色をし、枝を折ると芳香があることから、和菓子の楊枝に欠かせない樹木である。芳香、殺菌力、丈夫さなど、他の木には代えがたい価値がある。 
  • オオバクロモジの枝・・・古くなると樹皮に地衣類が付着して黒い斑紋ができる。それが黒い文字のように見えることから、「大葉黒文字」と書く。 
  • ハリギリ・・・若い枝に針のような刺があり、キリのように成長が早く、材や大きな葉が似ていることから、「針桐」と書く。同じウコギ科のタラノキ同様食用になる。林業関係者や木材を扱う業者の間では、センとかセンノキの別名で呼ばれている。
  • キバナイカリソウ/ショウジョウバカマ
  • オクチョウジザクラ・・・里山に自生するサクラで、一番早く咲く。花を横から見ると、開き方が漢字の「丁」のように見えることから、「丁字桜」。その変種で、日本海側の多雪地帯・奥地に自生することから、「奥丁字桜」と書く。 
  • ナガハシスミレ(別名テングスミレ)・・・タチツボスミレの仲間で、距は上向きで、スミレの仲間では最も長い。その細長い花の距を、天狗の花に例えて、別名テングスミレと呼ばれている。 
  • イワガラミ・・・若葉を摘むとキュウリの香りがする。山菜として利用される。茹でてさらしてから、おひたしや和え物に。 
  • ウリハダカエデ・・・緑色のスベスベした樹皮は、マクワウリの実に似ているのが最大の特徴。新芽と同時に細長い総状花序を垂らし、淡い黄緑色の小さな花を咲かせる。株が育つとオスからメスに、環境が悪化した場合もメスに性転換する不思議な特性をもっている。
  • マルバマンサク・・・早春、まだ山々に雪が残る頃、その雪を払いのけながら小さい黄色の花をつける。名前の由来は、多数花の咲く様子が「豊年満作」に通じているとする説や、早春真っ先に咲くので「まず咲く」からの説がある。葉が丸みを帯びたマンサクの意味から、「丸葉満作」と書く。
  • マルバマンサクの虫こぶ(上右写真)・・・マンサクの芽につくイガイガした形は、実ではなく虫こぶ。正式名称はマンサクメイガフシというアブラムシが作った虫こぶ。
  • 輝く萌黄色の新緑に染まる登山道をゆく
  • エゾユズリハ・・・春になって若葉がのびると、古い葉は「若葉に譲る」ように散ることから「ユズリハ」。秋田など多雪地帯には、その変種で、高さが1mにも満たないほど低く、下部が地を這うなど、多雪地帯に適応したエゾユズリハである。
  • ハウチワカエデの若葉と花・・・芽吹きだした若葉とともに散房花序を出し、暗紅紫色の花を多数吊り下げる。最初の花が咲いてから最後のツボミが開くまでの期間は、3~4週間もかかるという。新緑も紅葉も美しい。
  • タムシバ・・・山に春を告げる白い花がタムシバで、里に春を告げる白い花がコブシである。その見分け方は、タムシバの花の下には葉がつかないが、コブシは花の下に小さな葉が一枚ついている点で区別できる。
  • 名前の由来・・・葉を噛むと甘みや爽やかな香りがあるので、杣人が山仕事の合間に噛んだことから、「噛む柴」。それが転訛したものと言われている。ニオイが群を抜いて良いことから、別名ニオイコブシと呼ばれている。
  • 途中最も眺望が良い三吉神社(標高350m)・・・広大な横手盆地が広がる中に十文字町や増田町をはじめ、遠くには保呂羽山や八塩山、鳥海山まではっきり見えた。この広大な田んぼに水が張られると、目の前一面が湿原に変化したような最高の絶景を拝むことができる。
  • ユキツバキ群落
     秋田県内では主に県南地方に自生し、北限のユキツバキとして知られている。高さは1~2mと低いのは、雪の下に潜って、寒さや乾燥から体を守るためである。だからユキツバキは、小さくなる方向に進化したと言われている。雪の重みで折れないよう、幹がしなやかである。樹形は垂直に立ち上がるのではなく、枝が地を這うように伸びて、ほふく型の樹形をしている。さらに、種子だけでなく、地面に押し付けられた枝が、地面についた点から根を出して、いわばクローンによる繁殖も行っている。空間を巧みに棲み分けて進化したとはいえ、生命力の凄さに驚かされる
  • ユキツバキとヤブツバキの見分け方・・・ユキツバキは花糸が黄色く、花弁が平開し、雪の重みに耐えられるように這うような樹形が特徴である。一方、ヤブツバキは花糸が白く、花が筒状で、高木になる。
  • 真人山山頂へ(標高390m)
  • ベニイタヤ・・・別名アカイタヤともいう。若葉が紅紫色をしていることが名前の由来。花茎を伸ばして黄色い花を数個咲かせる。
  • コシアブラの若芽・・・若芽はタラノメと並び人気の山菜だが、秋田ではほとんど食べなかった。しかし、最近は山菜ブームに乗ってポストタラノメ的存在になりつつある。幹がブナのように白く、枝の先に5枚の葉を掌のようにつけているのが特徴。タラノキのようにトゲがないのも人気の秘密かもしれない。 
  • オオカメノキ・・・早春、アジサイに似た白い装飾花をたくさんつけ、北国の山に春がきたことを告げる。亀の甲羅のような大きな丸い葉、夏から秋にかけて実る赤い果実は、柄まで赤いのでよく目立つ。紅葉も美しい。
  • ブナの花が満開・・・今年はブナの実が豊作!
     昨春は、ブナの花がほとんど見られず、秋に大凶作となり、2023年を上回るクマの異常出没が発生した。真人山のブナの木を見上げると、黄色のヤクをつけた毛玉のような雄花がたくさんぶら下がっていた。このまま秋に実がなれば、クマ騒動もやっと落ち着くであろう。
     ただし、今年、ブナの実が豊作になれば、クマのベビーラッシュにつながる。さらにブナの実が豊作の翌年は必ず大凶作になるので、来年は危険な親子グマを中心とした異常出没が発生すると予想される。今年は、来年の異常出没に備えて、人の生活圏にクマをおびき寄せない対策を急ぐ必要があるだろう。
  • 山頂から北側の金峰山方面に向かって歩くと、東側斜面にユキツバキ群落と、その一部東側斜面にブナ林が見られる。隣の金峰山には、ブナ-ユキツバキ群落が広がっていることから、かつては真人山にもブナ帯の森が広がっていたのであろう。
  • ウダイカンバ・・・山地に生え、樹皮は横に紙状に剥がれ、横長のはっきりした皮目がある。
  • 新緑とカスミザクラのトンネルをゆく
  • ニホンアマガエル/ヒメアオキ
  • ミチノクホンモンジスゲ/ミツバアケビの花
  • ミズバショウ群落
  • 山菜として人気が高いタラノメ・・・幹は一本幹が多く、鋭いトゲに覆われている。その先端の新芽が「タラの芽」で、山菜として人気が高く「山菜の王様」などと形容されている。やや乾燥した日当たりの良い場所を好み、荒地や開墾地にいち早く根差すパイオニア植物の一つ。
  • バッケ(ふきのとう) 雄花(上左写真)・・・星形の花びらで、全体的に花粉で黄色っぽい。花粉を出し終えると枯れる。
  • バッケ(ふきのとう)雌花(上右写真)・・・白っぽくて細い糸状のめしべの花柱がびっしり。虫によって、雄花から雌花へと花粉が運ばれると、実を結ぶ。雌花のフキノトウは、30~50cmほどに茎を伸ばす。これをトウが立つという。
  • ナツトウダイ/オオウバユリ
  • カタクリ
  • ヒメギフチョウの食草・トウゴクサイシン
     かつてはウスバサイシンに分類されていたが、研究の結果、別種とされた。最大の特徴は、ガクの先端が指先でつまんだように尖る点である。秋田はもちろん、東北の落葉広葉樹の森を飛び交うギフチョウ・ヒメギフチョウを見かけたら、そこにはカタクリの群落に混じって、必ずトウゴクサイシンが生えている。本州の関東地方・中部地方の北部から東北地方に分布する。
  • カキドオシ・・・花は唇形で、上下に唇のように分かれる。茎がツルのように伸び、垣根をすり抜けて隣地まで伸びていくので「垣通し」の名が付いた。
  • 義経三貫桜伝説
     昔、真人山から仙北街道に通ずる古道周辺は、桜の神域であった。1187年、頼朝に追われた義経が平泉に亡命する。その際、加賀の国安宅の関を逃れ、由利の山越えをして、東成瀬村手倉~仙北街道~平泉に向かう途中、この古道にさしかかった所で一休みした。武蔵坊弁慶は、崖上に見事なオオヤマザクラを見つけ、大きめの枝をもぎ取った。そこへヨボヨボのお年寄りが現れ、「この桜は私が自分の身と同じように大事にしているもの、何と心無い人がいるのだろう」と悲しまれた。義経一行は深く謝り、三貫の銀を払って許しを乞い、通行させてもらったと伝えられている。現在の桜は、昭和63年4月に、この義経三貫桜伝説をもとに植えられたものである。
  • ベニヤマザクラ(オオヤマザクラ)・・・北海道、本州、四国に分布するが、特に北海道、東北を代表する野生のサクラである。花や同時に開く若葉は、赤みが強いので別名ベニヤマザクラと呼ばれている。枝は上向きに伸び上がる傾向が強い。
  • シュンラン/ワラビ
  • 義経三貫桜にて記念撮影