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2018森の学校 しいたけ植菌体験

 2018年4月14日(土)、「2018森の学校」のスタートを飾る「しいたけ植菌体験」は、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に開催された。市販で主流の菌床シイタケより遥かに美味しいシイタケを家庭で手軽に栽培できることから人気が高く、定員70名を遥かに上回る一般・親子122名が参加。協力として森の案内人協議会から27名の参加を得て実施された。
  • 内容/1人2本の植菌体験と持ち帰り(1家族2名まで)
  • 主催/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン(018-882-5009)
  • 協力/秋田県森の案内人協議会
  • 森の学校2018年間スケジュール
  • 講師:進藤インストラクター・・・ 作業の要領、注意点、家に持ち帰った後のホダ木の管理方法について説明が行われた。植菌したホダ木を家に持ち帰ったら、「しいたけ栽培のポイント」を参考に、できるだけ量も多く、質の良いシイタケが出てくるよう管理してほしい。  
  • しいたけ」の語源・・・季節にあまり関係なく発生することから、「四季茸」が転訛したとの説や、椎の木に発生することから、「椎茸(しいたけ)」になったとの説がある。後者の説が一般的だが、シイタケ栽培には、クヌギやナラ類が主体で、椎の木はほとんど使われていない。
  • きのこの生産量ベスト6・・・1位エノキタケ、2位ブナシメジ、3位シイタケ、4位マイタケ、5位エリンギ、6位なめこ
  • しいたけ栽培の始まり・・・江戸時代前期、豊後国(現大分県)で炭焼きをしていた源兵衛さんが、炭焼きの残材に多数のしいたけが発生しているのを見つけ、栽培を思いついたとされている。その方法は、クヌギなどの原木に鉈で傷をつけ(鉈目という)、自然界に浮遊しているしいたけ胞子が鉈目に付着するのを待つという極めて原始的な方法であった。人工的に種菌を植えつける方法が開発されまで、この鉈目方法によるしいたけ栽培が行われていたという。(小野村雄:椎茸栽培の秘訣、昭和5年版)
  • 1764年~1784年、伊豆から遠州にかけて手広くしいたけ栽培に取り組んでいた記録も残されている。1800年代、豊後、佐伯藩の茸山の杣頭がしいたけの栽培技術を地元民に伝えたという記録もある。
  • ホダ木はコナラ・・・シイタケの発生量、質ともに優れ、最適なホダ木である。
  • ホダ木の長さと穴のサイズ・・・平均径12cm×長さ90cm。
  • 穴を開けるラインの位置・・・原木にマジックで計6ラインの印をつける。
  • 穴を開ける位置・・・90cmの原木に、穴の位置を印した定規の位置に従い電動ドリルで穴を開ける。赤印の位置に5ヵ所穴を開けたら、次のラインは千鳥になるように黒印の位置に6ヵ所穴を開ける。
  • 穴の数・・・5ヵ所×3ライン+6ヵ所×3ライン=33ヵ所。  
  • 電動ドリル・・・Φ9.2mm×深さ3cm 
  • 電動ドリルで原木に穴を開ける作業風景
  • シイタケ種菌・・・家庭で余り手間をかけずにシイタケを採りたい人向きで、全国的に最も多く使用されている品種で、発生温度は7~20度、秋と春の二回出るタイプを使用。
  • 植菌・・・穴に種駒を入れ、木づき、または金づちで種駒の頭が樹皮面より出ないように優しく打ち込む。全部の穴が、しいたけ種菌でふさがれると完成である。 
  • 植菌体験風景 
  • シイタケは、いつ発生するのか・・・植菌したシイタケは1年半後の秋に発生する。その翌年から春と秋の二回発生するようになる。一般に4~5年は発生する。ただし、次第に春には出ても、秋には出なくなる。シイタケ栽培は、家庭菜園より簡単で、かつ長期間楽しめるのが最大の特徴である。
  • しいたけ栽培のポイント
    1. シイタケ菌をホダ木に活着させるための初期管理のことを「仮伏せ」と言う。仮伏せの場所は、雑菌が入らないように、雨が当たらず、かつ風通しの良い軒下などに仮伏せをする。その際、ホダ木の下に細い棒を敷いてホダ木が地面につかないように薪積みにする。切口に白い模様(菌糸紋)がでてきたら、被覆をとる。仮伏せの期間は約1ヶ月
    2. 梅雨期前に「本伏せ」(上の写真)をする。ホダ木は、直射日光や西日の当たらない所。不十分な場合は、遮光ネットやスダレなどをホダ木の上に張る。
    3. 梅雨~夏期は、雑草や低木を刈り払い、通風を良くすること。
    4. 7月中旬頃と9月中旬頃、ホダ木の天地返しや積み替えを行い、菌糸を均一に成長させる。
    5. キノコの芽が出る秋には十分散水すること。
    6. ホダ木を叩いて振動を与えるなど、刺激を与えればシイタケが良く生えるといわれる。  
  • 参考①・・・採り方・・・柄を持ってもぎとる。ナイフなどで柄を切るのは、切り後から雑菌が入る恐れがあるので×。
  • 参考②・・・天日による自然乾燥・・・太陽に当てると、カルシウムの吸収に必要なビタミンDが約10倍に増えるという。多く採れた場合は、天日乾燥がベストであろう。干しシイタケを戻す場合は、多めの冷水に浸し、時間をかけて水戻しするのが美味しく調理するコツ。
  • 参考③・・・シイタケ料理
    1. つけ焼き・・・シイタケの傘を下にして金網に乗せ、ヒダのところにバター・しょう油・酒を少々たらして弱火で焼き、柄をつかんで食べる。
    2. バター炒め・・・柄をとったシイタケと玉ネギをバターで炒め、味道楽等で味をととのえる。
    3. その他、煮物、天ぷら、鍋物、味噌汁など、どんな料理にも合う。
  • 参考④シイタケは薬効が凄い」・・・ 野山に自生するシイタケを日本人が食べるようになったのは、飛鳥時代以降といわれている。「医食同源」を旨とする中国から食用化が伝えられた。シイタケは、その食味の素晴らしさはもとより、古くから「不老長寿の妙薬」として珍重されてきた。それだけ薬効成分も多い。
    1. 骨の形成・くる病の予防・・・骨の形成に重要な働きをするビタミンD2の母体であるエルゴステリンが多く含まれる。
    2. 血圧降下作用・・・人体実験で証明されている。
    3. コレステロール値を下げる作用・・・有効成分はエリタデニン
    4. インフルエンザの予防・・・胞子には抗ウイルス作用のあるインターフェロンを誘発する作用がある。
    5. 貧血防止・・・ビタミンD12は赤血球を増す作用があり、シイタケには豊富に含まれているので貧血ぎみの人によい。
    6. ビタミンB1、B2も多く含まれる。
    7. 抗がん作用・・・シイタケに含まれる多糖体「レンチナン」が、抗がん剤として中央薬事審議会で製造が承認された。
    8. 美容食に最適・・・カロリーが少なく、食物繊維が多い。