第1回林業体験学習~横手南中学校
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2018年5月8(火)~9日(水)、平成30年度第1回林業体験学習が、秋田県森林学習交流館・プラザクリプトンを会場に行われた。昨年度、県では県内中学生を対象に将来、林業を職業選択の一つとして考えるきっかけとなるよう、林業体験プログラムを完成させ、平成30年度から本格的にスタート。第1回は、横手市立横手南中学校2年生14名を対象に行われた。
- 内容・・・森林散策、林業わくわく館、林業ユニフォーム撮影、秋田の森林林業、林業機械視察、森林計測、森林計測内業
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- 講師・・・県林業普及指導員4名、森の案内人4名ほか
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- 森林散策・・・クリプトン学習交流の森を散策。指導は、森の案内人4名。
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- 森の恵み「きのこ」・・・コナラやサクラの原木を使ったシイタケ、ナメコ栽培の様子を見学。森の学校では、毎年4月、シイタケ植菌体験を実施している。ナラ類の原木にシイタケ菌を植え付けてから、林内に寝かせて、菌がホダ木の中に広がるのを待つ。翌年の秋以降から生えてくる。以降、春と秋の二回発生する。
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- コナラの若葉と花・・・若葉を広げると同時に雄花が多数垂れ下がる。
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- オニグルミの花・・・枝先にブラリと長く垂れ下る雄花。
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- ウワミズザクラの花・・・今年は気温が高いことから、早くも咲き始めた。
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- 森林浴の効果・・・ストレス解消、免疫力アップ、フィトンチッド(リフレッシュ効果、消臭・脱臭効果、抗菌・防虫効果、人に対しては自律神経を安定させる効果)、五感を使ってリラックス、ウォーキング効果などがある。
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- 松枯れ・・・松枯れを起こす犯人は「マツノザイセンチュウ」という2ミリにも満たない外国からやってきた生物。このセンチュウを松から松へ運ぶ共犯者が「マツノマダラカミキリ」。センチュウは健康な松の樹体内で繁殖し、松を衰弱させる。衰弱した松はカミキリの絶好の産卵対象木となり、次々と枯れていく。
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- 生きた化石・メタセコイヤ・・・大昔に絶滅した化石植物と思われていたが、1946年に中国奥地で発見され、「生きた化石」として有名になった。秋、針葉樹では珍しく美しく紅葉し、側枝ごと落葉する。円錐形の整った樹形が美しく、公園樹や街路樹として植えられる。
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- 間伐はなぜ行うのか・・・木が大きくなってくると、だんだん混み合って木同士の競争がはじまり、成長が次第に衰えてくる。木を間引いて本数を減らし(間伐)、残った木に十分な光と水分を与えて成長を良くするために行う。間伐は、50年間に3回ほど行う。
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- 辺材と心材・・・伐根の外側に近い白い部分を辺材(へんざい)、内側の赤い部分を心材(しんざい)という。内側の心材は、死んでしまった細胞の集まりで、外側の辺材の細胞は生きていて、根から吸い上げた水を葉に送ったり、養分を蓄える働きをしている。
- 年輪ができる仕組み・・・成長の良い春から夏にかけてできる細胞は形が大きく壁が薄く、成長が悪くなる夏から秋にかけてできた細胞は小さく押しつぶしたような形で壁が厚くなる。冬には細胞の成長が止まり、春になるとまた成長をはじめる。このようなことを毎年繰り返すので年輪ができる。だから四季の変化がない熱帯地方の木には年輪がない。
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- CLT(直交集成板)・・・CLTとはCross Laminated Timberの略称で、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料のこと。秋田県立大学木材高度加工研究所では、CLTを橋梁の床版として利用するための研究開発を行っている。仙北市田沢湖の林道に国内初のCLTの橋も完成・・・今後、コンクリート床版の代替として、地元の木材を活用して、CLT
を床版に用いた既設橋梁の補修に利用されることが期待されている。
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- ビオトープ・・・人工的に作られた様々な生き物が共生できる場所のこと。ここには様々なトンボ類がやってきて産卵し、カエル類やサワガニなどが棲息している。
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- 林業わくわく館(映像室)・・・18分の映像で、秋田の森林・林業を学ぶ。第1章林業ってなんだろう、第2章進化系林業、第3章緑の宝ものを未来へ。
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- 林業ユニフォーム撮影・・・明るいオレンジ系。誤ってチェーンソーの刃が当たっても切れないジャケットとパンツ、頭と耳を保護するヘルメットとイヤーマフ、両手にチェーンソーを持てば、格好いい林業マンに変身。
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- 秋田県の森林林業・・・森林面積は82万haで全国6位、人工林面積の92%はスギで面積23万8千haは全国1位、木材生産量112万m3は全国2位、高性能林業機械保有台数352台は全国3位、生シイタケ生産量4,224トンは全国4位など。
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- 林業機械視察(林業研究研修センター機械棟)・・・高性能林業機械があれば、女性でも楽に、安全に作業ができる。講師によれば、機械の操作は、むしろ女性の方が上手いという。
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- 高性能林業機械とは・・・従来の林業機械に比べて高い性能を持ち、複数の作業を1台でこなす多工程機械のこと。上写真のハーベスタは、従来チェーンソーで行っていた立木の伐倒、枝払い、玉切りと集積作業を一貫して行うことができる機械。
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- ウィンチ付きクラップル(木寄せ)・・・木材をつかんでまとめる。
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- フォワーダ(集材)・・・玉切りした材を荷台に積んで運ぶ。
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- 森林計測・・・クリプトンのスギ林をフィールドに、様々な測樹器械を使って、樹木の直径を測る、樹木の高さを測る、樹木の材積を求める、販売価格はどれぐらいになるか計算する森林計測体験を行った。
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- 標準地調査・・・通常は1haだが、今回は10m×10m=100m2で実施。その範囲内にあるスギの直径、高さを測る。
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- スギの直径を「直径巻尺」で測る・・・木の周囲を測れば直径が表示される特殊な巻尺で、地上から1.2mの高さ(胸高直径)を測る。輪尺による測定より直径が大きく出る傾向がある。
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- スギの直径を「輪尺」で測る・・・輪尺(りんじゃく)と呼ばれる大形のノギスを使い、地上から1.2mの高さ(胸高直径)を測る。変わっているのは、2cm目盛りになっている点。奇数は切り上げ、全て偶数で表す。輪尺は、幹の周りを一周させ、一番狭いところを測る。
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- 測竿でスギの高さを測る・・・どんどん伸ばして、スギのてっぺんまで届いたら目盛りを読む。測竿は10mまでしかないので、それより上は目測で読み取る。全て目測で高さを推定するより、正確に読み取ることができる。
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- ワイゼ式測高器を使ってスギの高さを測る・・・スギまでの距離を巻き尺で測り、ワイゼで木の根元と梢の角度から木の高さを測る。
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- 参考:直角三角形の原理を応用・・・上図に示した角度α・β、水平距離Lを測り、樹高ABを求める計算式に当てはめることで樹高を求めることができる。
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- ブルーメライス測高器・・・便利な距離計を備えているので、距離測定をする必要がない。ワイゼ式より精度が高い。
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- トゥルーパルス・レーザー距離計によりスギの高さを測る・・・起伏の激しい山の中で、巻き尺やワイゼを使って、1本、1本測るのは大変な労力を要する。現在は、木までの距離をレーザーで測定する装置と角度を測る装置を組み合わせ、内蔵している計算機で木の高を自動計算して表示する機械が開発されている。
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- スギの材積を求める・・・屋外で測ったスギの高さ、直径から木の体積である「材積」を求めることができる。その際、「立木材積表」を使って求める。
- 立木材積表・・・秋田県のスギ人工林に適用されている「立木材積表」を使って、材積を求める。縦に高さ、横に直径が表示されており、測定した数値が交差する位置の値が材積となる。
- 販売価格はどれぐらいになるか・・・利用率60%、A材(主に製材用30%)、B材(主に合板用50%50%)、C材(主にチップ用20%20%)とし、県内のスギの価格(製材用、合板用、チップ用)をもとに計算する。結果は1ha当たり299万円~382万円であった。
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- クリプトン・野鳥の森にやってきたカモシカ・・・林業体験が行われた正午過ぎ、野鳥の森にカモシカが現れた。動きを観察していると・・・これまでヤブと化していた野鳥の森を間伐、下刈りした結果、林床に光が注ぎ、新しい下草がたくさん生えるようになった。その下草を盛んに食べていた。ちなみに、クマの出没は皆無で、野鳥の姿も見られるようになった。人の手が加わると、森の中の植物は活性化し、それに伴い生物多様性も増すことを実感する。動画も撮影したので、「身近な野鳥等動画その2」のページにアップ。
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- 憧れの国際教養大学前で記念撮影・・・この中に、将来は林業をめざす生徒もいた。こうした林業体験学習を通して、将来は林業を職業選択の一つとして考える学生が一人でも多く出てくることを期待したい。
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