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平成30年度緑の交流集会(あきた白神体験センター)

 2018年8月2日(木)~3日(金)、「平成30年度秋田県緑の交流集会」が世界自然遺産白神山地の麓に位置する「あきた白神体験センター」(八峰町八森)を会場に開催された。参加者は、3団体26名(児童23名、引率者3名)。好天に恵まれた一日目は、森林科学館&三十釜散策と簡易テント作り、二日目は八峰町特産の塩工場・漁協施設見学と白神棒パンづくりが行われた。
  秋田県緑の交流集会は、校内緑化や森林環境教育活動などに積極的に取り組んでいる学校、緑の少年団、ボーイスカウト等の児童生徒が、自然体験や共同生活を通じて交流を図りながら、水と緑を愛する心を育むことを目的に、毎年8月に開催している。
  • 主催/秋田県、公益社団法人秋田県緑化推進委員会
  • 協力/秋田県森林学習交流館・プラザクリプトン、秋田県森の案内人協議会、あきた白神体験センター
  • 参加団体/ボーイスカウト秋田31団、さくらシャインキッズ、マックスバリュー東北秋田緑の少年団 
  • あきた白神体験センター(八峰町)・・・ 世界自然遺産白神山地やハタハタの海で知られる日本海での自然体験、郷土食づくりの体験、自然の素材を活かした創作活動の体験など、さまざまな体験ができる宿泊型体験活動施設。平成197月に秋田県が建設し、八峰町が運営管理を行っている。  
  • あきた白神体験センター所長あいさつ  
  • 秋田県森林整備課澤田班長あいさつ 
  • 創作活動「バードコール」・・・鳥を呼ぶための道具をつくる。木に付いているネジを回すと鳥の鳴き声のような音が出る。バードコールを森の中で使うと、鳥たちと会話を楽しめる。
  • 木の枝
  • 丸かんネジ
  • 吊るすヒモ 
  • ドリルで穴をあける。 
  • 開けた穴にネジを差し込む。
  • 携帯用に、ネジの頭にヒモを取り付ける。
  • ネジを回して鳴らしてみる。「おおっ、鳥のような音がする!」
  • バードコールで音を鳴らして会話を楽しむ・・・1班が2班に音で話しかける。2班は、それに応えて音でかえす。2班から3班へ、3班から4班へ、4班から1班へと繰り返す。森の中でバード―コールを使えば、鳥とも会話ができそうな気がする。
  • 森林科学館&三十釜散策・・・ガイドは「八峰白神ガイドの会」の皆さん。
  • 散策コース・・・森林科学館→清瀬橋→真瀬川右岸散策路→三十釜→紅葉橋→真瀬川左岸散策路→真瀬神社 
  • 森林科学館・・・中に入ると、胸に月の輪がある大きなクマがお出迎え。館内では、世界自然遺産「白神山地」とは・・・をはじめ、白神山地の成り立ち、いのちの森、野鳥歳時記、ブナ帯に生きる生業、縄文以来受け継がれてきたブナ帯文化などについて学ぶことができる。 
  • 二ツ森山頂から世界自然遺産・白神山地の展望・・・二ツ森山頂は、秋田・青森に広がる世界自然遺産地域を360度俯瞰できる最高の場所である。しかも、青秋林道終点からわずか50分程度で登れる初心者コース。
  • 参考:二ツ森(1,086m)から、青森県側を望む・・・奥の白い峰は主峰・白神岳(1232m)、最高峰・向白神岳(1243m)などの山々が連なる。
  • 白神山地とは?・・・秋田県と青森県に広がる約13万haに及ぶ広大な山地帯の総称。このうち中心部約1万7千haが、1993年12月、世界的に貴重な自然遺産として認められ、屋久島とともに「世界自然遺産」として登録された。2018年は、登録から25周年を迎えることから様々な記念イベントが開催されている。

    指定区域の面積は、16,971ha(青森県12,627ha、秋田県4,344ha)
    うち核心地域は、10,139ha、緩衝地域は、6,832ha
  • いのちの森「白神山地」・・・動物では、ツキノワグマやニホンザル、ニホンカモシカなど中大型ほ乳類14種。鳥類では、天然記念物のクマゲラやイヌワシなど94種。植物は、固有植のアオモリマンテマや「白神」の名を冠したシラガミクワガタ、ツガルミセバヤなど、540種以上が確認されている。このように白神山地のブナ林は、ヨーロッパのブナ林に比べ、5~6倍も植物の種類が多いと言われる。生き物の多様性という点でも群を抜いている。  
  • 「和製ブルーベリー」と呼ばれるナツハゼ 
  • 夏、白い花を咲かせるリョウブ
  • ブナの苗木(NPO法人白神ネイチャー協会)・・・世界遺産区域に隣接する真瀬沢の造林地にブナの森づくりをするため、豊作の時にブナの実を採取し、2年間苗木養生し、成長した苗木を3年目から植樹している。植樹する際には、全国的に植樹ボランティアを募集、「山の森・海の森・二ツ森づくり」を合い言葉に、ブナの植樹イベントとして実施し、自然環境を大切にすることの普及啓発に努めている。 
  • しいたけの原木栽培 
  • ナメコの原木栽培 
  • オニグルミ・・・丈夫な歯をもつニホンリスやアカネズミの好物。
  • 清瀬橋 
  • 三十釜・・・白神山地を源とする真瀬川「三十釜」は、安山岩と角礫凝灰岩が急流によって侵食されてできた淵と滝つぼが連なっていて、変化に富んだ渓谷美を楽しめる。渓谷に沿って全長約1.5kmの遊歩道が整備されている。 
  • 三十釜の由来・・・その昔、薪に使う雑木を川に流して運んでいたとき、滝つぼにたくさんの雑木が沈んだのを見て「三十釜分も沈んだ」と言ったことから、「三十釜」といわれている。「釜」は昔の薪の単位で、1釜は5尺×5尺×3尺。 
  • 三十釜周辺の鳥・・・野鳥ファン憧れのカワセミやヤマセミ、アカショウビンなどがいるという。こうした野鳥が生息しているということは、それだけ生き物たちの多様性が高いことを示している。
  • 清らかな水を好む山菜「ミズ」・・・夏でも冷たく清らかな水が流れるジメジメした所に群生する。春から秋(5~10月)まで、約半年間にわたって美味しく食べられるだけに、山では最も重宝する山菜である。秋田弁で「ミズ」と呼ばれているが、正式な名前は、「ウワバミソウ」。その名の由来は、ウワバミ(大蛇)の住みそうな暗くジメジメした所に生えることから名付けられた。
  • 虫食いアート 
  • オオバクロモジ・・・葉をもんだり、枝を折れば芳香を放つ。クロモジ油を多く含んでいるので香りが強く、ある程度の硬さもあることから、和菓子の高級爪楊枝の材料として利用される。マタギの里阿仁では、クロモジを細かく刻んで天日干ししたクロモジ茶が販売されている。 
  • セミの抜け殻
  • ヒグラシ
  • シャクトリムシ
  • 紅葉橋から清流・真瀬川を眺める・・・清流のシンボルでもあるイワナ、ヤマメが棲息している。
  • チマキザサで笹舟をつくる。 
  • 昔は、チマキザサの葉で笹舟をつくり、水に浮かべて遊んだ。
  • 秋田では、チマキザサで笹巻きをつくる。その三角菱の形を上手につくる子どももいた。 
  • クジャクシダ 
  • トチバニンジン 
  • ヤグルマソウ 
  • ヤマハギ
  • ヒメジョオン
  • 真瀬神社
  • 緊急時の簡易テントづくり・・・最近は、地震による津波や記録的豪雨による土石流などで家が被災する災害が頻発している。もしもの緊急時に備え、身近にある材料で簡易テントをつくる方法を学んだ。材料は、ブルーシート、ガムテープ、支柱にする竹又は棒、ヒモ。
  • ブルーシートを広げる。 
  • 三角に折ってガムテープで固定する。
  • ブルーシートと、支柱にする棒をガムテープで固定する。 
  • ブルーシートを裏返して立てると、三角形の簡易テントの形になる。 
  • 支柱の頭にヒモを結び、左右の方向にヒモを張れば簡易テントの完成。これで2~3日は雨露をしのげる。
  • 班ごとに作業開始・・・各班ともチームワークが良く、想定したより早く完成した。
  • ブルーシートは価格が安く、防水効果も高いことから、簡易テントやターフとして応用できる。完成した簡易テントに、班員6名全員が入っても余裕あり。これなら十分実用的である。
  • 新聞紙でスリッパをつくる・・・新聞紙は1枚でもできるが、2枚以上重ねるともっと丈夫なスリッパになる。折り方によって大きさも調節できるので、子どもから大人までつくることができる。
  • 新聞紙スリッパは、災害に見舞われ足元が危険な時に守ってくれるほか、足の防寒にも役立つ。寒い夜などは、体に新聞紙を巻くだけで暖をとることができる。
  • 新しく友だちになった仲間と楽しくおしゃべりしながら夕食
  • フライングディスク(ドッジビー)・・・食後は、ソフトディスクを使用して行うドッジボール形式のゲームを楽しむ。
  • 二日目、漁協施設見学
  • カキ(牡蠣) 
  • サワラ・・・スズキ目サバ科の肉食魚。 
  • クロマグロ・・・主に寿司や刺身に使われ、日本の消費量は世界一。
  • 氷点下30℃の冷凍庫に入る・・・魚は1年間の長期保存が可能。この中に短期間で大量にとれるハタハタを冷凍保存し、順次解凍してからハタハタ寿司などに加工しているという。 
  • 氷点下10℃、製氷した氷を貯蔵する冷凍庫で記念撮影
  • 八峰町特産の塩工場見学・・・ここで作られる「八峰白神の塩」は、世界自然遺産「白神山地」のミネラルが注ぎ込む八峰町の海水を使った手作りの海塩である。
  • 八森沖合から吸水パイプにより海水を採取。
  • 環境にやさしい薪炊きボイラー・・・燃料の薪は、松枯れや倒木、最近急激に広がっているナラ枯れ被害木等の廃木材を燃料にしている。
  • 廃木材を燃やし、海水を煮詰める。
  • 海水濃縮・・・大きな釜で一昼夜、あくを取りながら沸騰させ続ける。
  • 小釜での海塩結晶化・・・濃縮されたかん水をろ過したうえで、やや小振りな釜に移し替え、さらに沸騰を続け煮詰めると、海塩の結晶ができる。
  • にがりと海塩の分離(脱水乾燥)・・・透水性のある袋に、にがりと海塩の混合物を入れ、脱水機にかける。水分であるにがりと、固形物である海塩を分離する。 
  • 乾燥・・・脱水機から取り出した海塩は若干湿っているため、約35℃の乾燥室で1週間かけ、十分乾燥させる。上の写真は、できあがった海塩。
  • 「八峰白神の塩」試食・・・甘味と深味が感じられるまろやかな味わいの塩である。粒の大きい「あらじお」はオニギリやゆで卵に、「つぶしお」は天ぷらや焼肉、サラダ、その他なんにでも合う。
  • 八峰白神の塩もろみ・・・八峰町由来の米、麹、塩を使い、さらに発酵過程では、白神山地から採取された白神乳酸菌と白神酵母を使った、今までにないオリジナルなお米発酵調味液。肉や魚を漬け込むことで、気になる臭いを緩和し、冷めても魚肉が柔らかく、素材の特徴・旨みを引き出してくれる。
  • 八峰白神の塩もろみ製造工程
    1. 白神乳酸菌の増殖・・・秋田県総合食品研究所から提供を受けた白神乳酸菌を培養して増殖させる。
    2. 米麹をつくる→炊飯→ご飯の分解→白神乳酸菌の投入→白神酵母を投入
    3. 熟成過程・・・20℃に保ち静かに1ヶ月待ち、発酵と熟成をすすめる。1ヶ月経過後、火入れを行い殺菌して完成。
  • 白神棒パンづくり・・・長い棒にパン生地を巻き付けて炭火で焼く。
  • パン生地を棒状にのばす。
  • アルミ箔を巻き付けた棒に、のばしたパン生地をまきつける。まるで「パンのキリタンポ」といった感じ。
  • 棒パンを炭火の上で、クルクル回しながらじっくり焼く。炭火に近づけ過ぎると焦げるので注意。次第に香ばしい匂いがしてくる。
  • 炎天下、炭火の熱さに耐え焼いたパン・・・モチモチした食感で、予想以上に美味い。
  • アンケート記入
  • ふりかえり交流会・・・二日間にわたって「緑の交流」を体験した感想を発表。  
  • 閉会式・・・県緑化推進委員会専務理事兼事務局長・石田良春さん、閉会のあいさつ
  • 最後に皆で記念撮影・・・二日間好天に恵まれ、充実した緑の交流集会になった。それゆえ、全員満足の笑顔とVサイン!こうした緑の交流集会を通して、水と緑を愛する心の輪が一層広がることを期待したい~「続けよう 植えて育てて 緑の輪」「いつも こころに ゛みどりのはねを゛」