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森に遊び、森に学ぶ「森と木の生活塾」

 2020年8月1日(土)、森に遊び、森に学ぶ「森と木の生活塾」が、秋田県森林学習交流館プラザクリプトンを会場に開催された。一般参加者、森の案内人等82名が参加。森の恵み・ミズの皮むきとミズたたきづくり体験、真竹のそうめん器づくり、森のクラフト、木工体験、森の散策、森林セラピー体験、ネイチャーゲーム、森の紙芝居、アウトドア体験、林業機械展示デモなど多彩な催しが行われた。なお、最後に先月30日、森の案内人が秋田駒ヶ岳で撮影したクマのスクープ動画を掲載しているのでご覧ください。
  • 主催/秋田県森林学習交流館プラザクリプトン
  • 共催/秋田県森の案内人協議会、秋田県森林インストラクター会
  • 協賛/(一社)秋田県森と水の協会、(公社)秋田県緑化推進委員会
  • 新型コロナウイルス感染症対策・・・参加者は秋田県内在住者に限定し、マスクの着用、体温測定、手洗い消毒を実施するとともに、別紙「参加申し込み・健康状態報告書を記入してもらった。
  • 詰め替え用アルコール消毒液 
  • 検温器とアルコール消毒液
  • 体温測定
  • 緊急時連絡先・健康状態報告書の記入
  • 森の恵み実演・体験コーナー・・・ミズの皮むき、ミズたたきづくり体験
  • ミズの皮むき体験・・・ミズは、独特の粘りとシャキシャキした歯触り、さらに利用期間が最も長い一級品の山菜である。それだれけに料理のバリエーションも広い。調理するときは、根、茎に分け、茎は皮をむいてから調理する。
  • ミズたたきには、根元部分を使うが、太くて赤いものを選んで使う。
  • ミズたたきづくり体験・・・数あるミズ料理の中でもダントツ美味しい。アカミズの葉をとってざっと熱湯を通し、ビニール袋に入れて、その上からすりこぎでたたいてつぶす。さらにまな板の上で粘りが出るまで包丁でたたく。これに味噌を入れて混ぜながら軽くたたいて、最後に山椒の葉を細かく刻んで入れる。好みに応じて生姜やニンニクを入れてもOK。 
  • 参考:秋はミズのコブコ漬け・・・熱湯に塩を少し入れ、葉を取り除いたコブコをサッと茹で、冷やしてから水を切る。下処理したコブコを容器に入れ、塩漬けや塩昆布漬け、味噌漬け、松前漬けにして一晩おけば、粘りのある美味しい漬物「ミズのコブコ漬け」ができる。
  • ホオノキの大きな葉は食に活用・・・香りがあるので良い風味がつき、殺菌・抗菌作用効果によって食材の保存に役立つ効果がある。さらに葉は水をはじき、燃えにくい、という特徴があることから、農山村の郷土料理によく利用される。
  • 食材を包む・・・昔は、ホオノキの葉を干したものを束にして、町の店に売った。店では、砂糖や魚、キノコなどを売る際、今のビニール袋の代わりに包んで売った。山では、釣り上げたイワナの鮮度と風味を保つために、味噌を塗ってホオノ葉に包んだりした。
  • 朴葉味噌・・・水をくぐらせやわらかくした葉に調理味噌をのせ、アルミ箔を敷いた上で焼く。酒の肴に最高。また炭火の上に網を敷き、イワナのホオ葉味噌焼きをすれば、葉が燃えずにイワナと味噌が香ばしく焼ける。
  • 猫にマタタビ・・・猫は、マタタビを異常に好む。それは、マタタビの実に含まれるマタタビラクトンと総称されるテルペン類やアクチニジンという成分が含まれているからで、猫の大脳や延髄を麻痺させる作用がある。この特殊な嗜好は、ネコ科のライオンやトラなども反応するらしい。彼らは、マタタビを噛んでいてると興奮しはじめ、ついには酒に酔ったような状態になる。 
  • 珍重されるのは虫こぶ型・・・マタタビバエが産卵した実は変形して、虫こぶ型になる。その虫こぶ型の果実は、薬効があるとされ、昔から生薬や薬用酒に利用されてきた。 
  • 薬酒・・・虫こぶ果実を使う。虫こぶは、熱湯を注いで中の幼虫を殺し、天日干しにしてから焼酎やホワイトリカーと氷砂糖で漬ける。この薬酒は、冷え性や利尿、強壮に効果があるとされている。 
  • 真竹のそうめん器づくり・・・真竹を使って、そうめんを入れる器とコップをつくる。 
  • 真竹はノコギリで両サイドの節を残して切る・・・真竹は、モウソウチクに比べて肉厚が薄く、加工しやすい。親や指導者に両端を抑えてもらいながら、ノコギリで焦らずゆっくり・・・押す時ではなく、引く時に切る。  
  • 切った竹は・・・指導者に竹を割る専用のナタを使って、真っ二つに割ってもらう。真竹は切ったところが鋭いので、紙やすりなどで丸くすれば完成。 
  • 真竹そうめんセットの使い方
    1. 節の黒い汚れの部分を水とかたいブラシなどできれいに落とす。
    2. そうめんを食べる前は、必ず除菌洗剤で洗った後、洗剤をよく洗い流す。
    3. 水やツユが漏れるので、下におしぼりなどを敷く。長い時間、入れたままにしないこと。
    4. そうめん入れは、回転するのでおしぼりの両端を丸めて固定する。
    5. 使い終わったら、水やお湯でブラシ等を使って洗うこと。洗剤に漬け込むと、染みこむので✖。
    6. 竹コップの中に漏れないコップを入れてお花などを飾ることができる。
    7. 今年の夏しか使えない。割れたり、カビが生えたりするので、外で植木鉢などに利用してください。
  • ネイチャーゲーム「カモフラージュ」・・・生きものたちは、敵から身を守るために、まわりに同化する色(保護色)になったり、色や形を周囲の他のものに似せたりして、カモフラージュしている。それを見つけることのできる観察力を養うゲーム。  
  • ロープを張り、その内側に自然の中では絶対にない人工物を目立たないようにセットしてある。参加者は、お互いに話をせずに人工物を探し、その数を数え、終点にいる指導者にこっそり耳打ちをする。間違うと、もう一度、スタート地点に戻って再挑戦する。 
  • 森の散策・・・森と木の生活を楽しむためには、樹木の名前はもちろんのこと、私たちの暮らしにどう利用されてきたか、あるいは森の中に生きる生き物たちなど、憶えなければならない基礎知識が山ほどある。その基本を森の案内人とともに観察。 
  • 野鳥の森を散策しながら森林セラピー体験・・・森林セラピーとは、これまで感覚的に語られてきた「森林浴」の癒し効果を科学的に解明し、「ココロとカラダの健康づくり」に活かそうという試みで、一歩進んだ「森林浴」ともいえる。
  • 森林セラピーの効用・・・ストレス解消、免疫力アップ、自律神経を安定させる効果、五感を使ってリラックス、さらに森林浴をしながら歩けば、疲労度が軽減され、長時間にわたって快適にウォーキングできる。だから、血圧の正常化や足腰の筋力強化、メタボリックシンドローム改善効果、ひいては、心身の健康維持・増進、疾病の予防が期待できる。
  • 新型コロナウイルス感染症対策の一つとして、今こそ森林セラピーの効果を再評価すべき時ではないだろうか。
  • 参考:「八幡平森林セラピーロード・・・八幡平国立自然公園内のアオモリトドマツやブナの原生林の中を歩くルートは、蒸ノ湯森林セラピーロード、後生掛森林セラピーロード、大沼森林セラピーロードの3つのルートがある。
  • アウトドア体験・・・アウトドアの基本から至福のコーヒーを飲む方法まで幅広く伝授。
  • 林業機械展示デモ
  • 森の紙芝居・・・「森はみんなのたからもの」と「じめんのうえとじめんのした」の二つの紙芝居を観賞。
  • 第1話:紙芝居「森はみんなのたからもの」・・・小学生の主人公が森の妖精エココと出会い、森林整備から木材利用の大切さ、山と海の関係などを楽しく学ぶことができるストーリー。 
  • 第2話:紙芝居「じめんのうえとじめんのした」・・・にんじん、とうもろこし、じゃがいもなど、いつも目にしている植物が地面の上と地面の下で、どんな役割を果たしているのだろうか?植物は地面の上で日光や空気を、地面の下では水や養分をとりこみ栄養分をつくる。動物は植物を食べることで、栄養分を得ている。植物の葉や根の役割と関係、動物は植物なしには生きられないなど、自然界の生き物のつながりを、小さな子どもたちにも分かりやすく教えてくれる紙芝居。
  • 木工体験
  • 木の実などを使ったクラフト
  • 竹トンボ・・・竹とんぼを作り、芝生広場で竹トンボを飛ばして遊ぶ親子。
  • 森のクラフト(クリプトン視聴覚室)・・・木の実やドライフラワー、色づいた葉っぱ、木の枝、竹、貝など、自然の豊富な素材を使って森のクラフトづくりを楽しんだ。
  • 進藤インストラクターの作品「森と木の昆虫」など 
  • 動画「秋田駒ヶ岳に現れたクマ」・・・2020年7月30日、秋田駒ヶ岳の新道コースで撮影(撮影者:森の案内人小木田隆雄氏)
  • 秋田駒ヶ岳登山道、クマに襲われ2人ケガ・・・2020年7月13日、秋田駒ヶ岳の登山道で、高山植物の盗採防止パトロール(環境省委託)をしていた仙北市の男性(69)と秋田市の男性(72)が親子グマに遭遇し、母グマに襲われる事故があったばかり。
  • この動画を見る限り、事故を起こした親子グマではなく、別の若いクマである。しかも、何十人も行き来する新道コースで目撃された。ということは、人の気配を察知しても、逃げないクマであろう。今や、クマの生息分布は、里地里山から森林限界に近い高山帯まで拡がっている。森と木の生活を楽しむためには、クマ対策が必須である。
  • 「森と木の生活」を楽しむためのクマ被害防止対策
    1. 一人ではなく複数で行動すること。
    2. 音で自分の存在をアピール・・・クマ避け鈴やラジオ、笛、爆竹など
    3. 残飯や生ごみは絶対に捨てないこと。餌付いたクマは、人間に寄ってくるので危険。
    4. 臭いでアピール・・・腰に下げる「蚊取り線香」も有効。夏は、虫除けとクマ避けの一挙両得のアイテム
    5. クマと遭遇する確率が高くなっている現状を考えると、クマに会わないための対策だけでは足りない。クマと遭遇した場合の対策が必須である。万が一に備えて「熊撃退スプレー」を推奨したい。こうした武器を持っていれば、クマと遭遇しても、意外に冷静さを保つことができる。そして慌てず、騒がす、クマに対して決して弱みを見せることなく、向き合ったまま静かに後ずさりして離れるのが基本中の基本である。