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散策コース、森林科学館、ブナの苗、原木ナメコ、三十釜、白神山地案内所、白神ふれあい館、二ッ森登山
 世界自然遺産白神山地「二ツ森」の登山口へ続く道路沿いに、丸い屋根の森林科学館・八森ぶなっこランドがある。白神山地の西玄関口にあり、自然観察会、体験学習ができるほか、白神山地のインフォメーションの拠点機能をもっている。

 名勝「三十釜」散策コースの起点にもなっている。道路を挟んで向かいには八峰町白神ガイドを斡旋する「白神ふれあい館」もある。
位置図(google地図)

アクセス
能代南IC、能代東ICから車で30分
大館能代空港から車で60分、八森駅より車で10分

開館時間:9時~17時 入館料:無料
休館日:水曜日(祭日の場合は翌日)12月29日~1月3日

問い合わせ先
八森ぶなっこランド 電話0185-77-3086
白神ふれあい館(八峰白神ガイドの会) 電話0185-70-4211
八峰町観光案内 電話0185-76-4100

八峰町ガイドマップ
散策コース

 駐車場森林科学館・八森ぶなっこランドきのこ園多目的学習広場清瀬橋三十釜紅葉橋真瀬神社白神山地案内所(バーべキューハウス)白神ふれあい館
  八森ぶなっこランドは、秋田スギを主体とした木造建築で、県産集成材をアーチ状に組み立てられており、山峡の景観に溶け込んだ木造ドーム式の建物である。館内では、世界自然遺産「白神山地」とは・・・をはじめ、ブナの森の四季、生態、ブナ帯に生きる生業、縄文以来受け継がれてきたブナ帯文化などについて学ぶことができる。 
世界遺産「白神山地」とは 二ツ森山頂から世界自然遺産・白神山地の展望
 白神山地は、秋田県と青森県に広がる約13万haに及ぶ広大な山地帯の総称。このうち中心部約1万7千haが、1993年12月、世界的に貴重な自然遺産として認められ、屋久島とともに「世界自然遺産」として登録された。2013年は、登録から20周年を迎えることから様々な記念イベントが開催されている。

■指定区域の面積は、16,971ha(青森県12,627ha、秋田県4,344ha)
■うち核心地域は、10,139ha(上図の濃緑色部分)
■緩衝地域は、6,832ha(上図の薄緑色部分)

詳細は「世界自然遺産・白神山地
ブナの森の四季 ブナの一生
ブナ帯を代表する生業・・・焼き畑やマタギの巻き狩り、木地小屋、炭焼きなどについて解説している

 残雪期は、白い雪の上の黒いクマは発見しやすい。マタギも堅雪で移動しやすい。4月下旬~5月上旬頃、越冬穴から出た直後の春グマ猟を行っていた。雪解けとブナの芽吹きが始まると、コダシを下げた山菜採りが森にどっと繰り出す。

 山菜のほとんどは自給用だが、近頃は直売所に旬の山菜が所狭しと並ぶ。山菜の中でもゼンマイは商品価値が高く、山棲み人にとって重要な現金収入源である。
縄文文化はブナ帯文化、今に生きる縄文文化

 太古の昔、ブナの森は人間にとって多くの恵みをもたらし、東北地方を中心に縄文文化を開花させた。人々は山菜、木の実、きのこなどを採取し、獣を狩って、ブナの森とともに暮らしていた。こうしたブナ帯で営まれた暮らしを総称して「ブナ帯文化と呼んでいる。
▲国指定特別史跡「大湯環状列石」(鹿角市) ▲国指定史跡「伊勢堂岱遺跡(北秋田市)

北海道・北東北の縄文遺跡群(「世界文化遺産提案書」抜粋)
「北海道・北東北は特に豊かな自然に恵まれた地である。世界自然遺産白神山地は、地球上に残された最大級のブナ原生林を有し、太古の昔から変わらぬ自然が保全されている。このブナ原生林は縄文時代に形成されたとされ、それを母なる森としながら、日本列島の北の大地に、我が国の文明の扉を開いたと言うべき縄文文化が育まれた

 白神山地は、「わが国の文明の扉を開いたブナ帯の原風景」が残る希少な森である。また、縄文以来、狩猟採集の文化を継承しているのが「ブナの森の狩人」と呼ばれる「マタギ」である。つまり、白神山地とマタギ、北海道・北東北の縄文遺跡群は、「ブナ帯文化」でつながっている
▲阿仁マタギの像(北秋田市) ▲山の神信仰 ▲ブナ帯のマタギ小屋
「ブナ帯文化」の代表は「マタギ文化」

 「マタギは、日本民族の山棲みの伝統的な生活様式を色濃く伝承している人たちである・・・山棲みの生活様式を基調とした古代エミシの系譜につながるものといえよう・・・

 マタギ村の生活は四季にのっとっている。春は山菜採取、夏は農耕、秋は木の実やきのこ採取、冬は狩猟というのがおおまかながら基本的な生活パターンである・・・また、春から秋にかけて川漁をする。」(「ブナ帯文化」マタギの世界、石川純一郎)
▲植樹用のブナの苗木

ブナ植樹ボランティア NPO法人白神ネイチャー協会

 世界遺産に登録された白神山地周辺部におけるブナの森づくりを通して、地域のシンボルであるハタハタなどの産卵ふ化する藻場「海の森」の再生を目指している。
 世界遺産区域に隣接する真瀬沢の造林地にブナの森づくりをするため、豊作の時にブナの実を採取し、2年間苗木養生し、成長した苗木を3年目から植樹している。植樹する際には、全国的に植樹ボランティアを募集、イベントとして実施し、自然環境を大切にすることの普及啓発に努めている。
きのこ植菌体験

 毎年4月に、シイタケとナメコの植菌体験を行っている。その際、植菌した原木を八森ぶなっこランドのきのこ園に置き、収穫したものを販売している。今年は気温が高く、ナメコが出るのが10日以上も遅い。菌床と違って原木栽培のナメコは、天然ナメコに劣らず美味しく人気が高いという。
▲「三十釜」案内標識 ▲「清瀬橋」 ▲黄葉の真瀬渓谷

 八森ぶなっこランドを起点に一周約2.5km、約40分の遊歩道がある。
▲東屋
▲遊歩道 ▲手入れされたスギ人工林 ▲東屋のある所が三十釜眺望所
▲三十釜

 白神山地に源を発する真瀬川は、三十釜で谷が急に狭くなり、その峡谷を急流が流れ下るさまは圧巻である。こうした奇岩やおう穴が三十あることから三十釜と呼ばれている。真瀬とは、もともと狭い谷を意味している。紅葉盛期には、多くのカメラマンでにぎわっている。
▲黄葉する代表・イタヤカエデ ▲紅葉したヤマモミジ
▲微妙な色の変化が美しいヤマモミジの落葉 ▲清流と落葉
▲白神山地案内所

 白神山地の観光パンフレット、総合案内のほか、手作りの木の実リースやクラフト、リースづくりセット、バンダナ、Tシャツなどの物産販売、バーベキューハウスを併設している。
▲白神ふれあい館

 白神山地登山のための休憩施設でトイレもある。NPO法人白神ネイチャー協会や白神ガイドの会の拠点施設にもなっている。
▲青秋林道終点・白神山地管理棟 ▲二ッ森登山口(945m)

二ッ森登山(「八森ぶなっこランド」から登山口まで車で約40分)

 青秋林道終点・二ッ森登山口(945m)45分二ッ森(1086m)30分二ッ森登山口

 二ツ森山頂は、秋田・青森に広がる世界自然遺産地域を360度俯瞰できる最高の場所である。しかも、青秋林道終点からわずか45分程度で登れる初心者コース。主峰・白神岳(1232m)や最高峰・向白神岳(1243m)、岩木山(1625m)、藤里駒ヶ岳(1158m)、小岳(1042m)などの山々を一望できる。
▲入山者カウンター  ▲整備された登山道  ▲登山道沿いのブナ林

入山者数調査

 平成12年度から、白神山地世界遺産地域周辺の登山道入口、岳岱自然観察教育林などにおいて赤外線式センサーによる自動計測を実施。平成24年度の二ッ森入山者数は2,854人で、白神岳2,119人より多い。岳岱自然観察教育林は、秋田県側最多の4,556人。
▲冬に備えて落葉した白神山地のブナ林

 季節風が吹き始めると、ブナの葉が森に乱舞する。ミゾレ混じりの氷雨や木枯らしが吹き抜けるたびに、森はその衣を脱ぎ捨て、沈黙の世界へと変化してゆく。林内は、落葉するたびに明るくなり、ブナは冬に供えて灰色の樹形をむきだしにする。
残雪と新緑の頃がオススメ

 山頂に残雪がある頃は、視界を遮る灌木類が雪の下にあるので、素晴らしい眺望を楽しむことができる。モクモクとうねるような新緑の波が、谷から峰に向かって染め上げる「新緑の山登り」と、遥か彼方に残雪をまとった白神岳稜線・・・まるで白い神々が宿る山・白神山地にふさわしい絶景を360度堪能できる。
参 考 文 献
「世界自然遺産 白神山地 しらかみフィールドガイド」(宮崎一彦、秋田県林業コンサルタント)