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INDEX 春を彩るサクラ サクラ図鑑その1 サクラ図鑑その2

北国の春を彩るサクラPart2

サクラ図鑑その1・・・井川町・日本国花苑で撮影したサクラ43種
  • サクラの花は、野生種こそ10種と少ないが、栽培品種を加えると300種以上もあるという。素人がサクラの花だけを見て品種を判別するのは不可能に近い。例えば、ヤマザクラとエドヒガンなどの種を見分けるには、萼筒の形や花序、葉の形など、さらに細かな花の形態を見る必要がある。また、サクラは天然でも種間雑種をつくることが多いので、種の同定は簡単ではない。
  • 素人が様々なサクラを撮影する場合、山野草と同じく撮った花の名前を知りたいのは当然のことである。サクラの場合は、撮った後、図鑑で調べても、品種名を特定することがはなはだ難しい。日本国花苑では、200種ものサクラが植樹されているが、それら全てのサクラに、上の写真のように名前を記した名札が吊るされている。サクラの素人にとって、本当にありがたい。 サクラの名前を確認しながら撮りたい方には、井川町日本国花苑が超オススメである。
  • 1.紅豊(ベニユタカ)
     赤みの強い大輪の花と同時に、茶色みを帯びた黄緑色の若葉が開き始める。北海道松前町の育種家・浅利正俊が1961年に作出したサクラで、珍しくオクチョウジザクラが関与していると考えられる。他の八重咲き大輪の品種に先駆けて開花するので良く目立つ。
  • 2.枝垂桜(シダレザクラ)
     エドヒガンのうち、枝の生長が速く下向きに垂れる栽培品種。古くから各地で栽培され、様々なクローンが存在するので花の色や大きさには変化が多い。
  • 枝垂桜(シダレザクラ)
  • 3.枝枝垂(エダシダレ)・・・濃いピンク色の花をつける枝垂桜。花が咲くのは、ソメイヨシノと同じく早い。
  • 4.八重紅枝垂(ヤエベニシダレ)  
     エドヒガンのうち、枝が下向きに垂れて花が色濃く八重咲きになった栽培品種。京都・平安神宮が名所として有名で、谷崎潤一郎の「細雪」や川端康成の「古都」にも美しい描写がある。若芽は黄緑色で花の後から伸びる。
  • 5.豆桜(マメザクラ)
     富士山周辺でよく見られ「富士桜」とも呼ばれる。名の通り、花も葉も小さい。花は下向きに咲く。低木で花付きが良いことから観賞用に栽培される。盆栽にも用いられる。
  • 6.オカメザクラ
     カンヒザクラとマメザクラを交配した栽培品種。淡い紅色の一重咲き。花は平らに開かず、下を向いているのが特徴。低木で枝が余り横に広がらないので狭い庭でも栽培できることから、家庭向きのサクラとして人気がある。
  • 7.八重紅彼岸(ヤエベニヒガン)
     マメザクラとエドヒガンの種間雑種。葉より先に花を咲かせる。花はやや濃い淡紅色で八重咲きであるが、その中では小型の花である。
  • 8.十月桜(ジュウガツザクラ)
     マメザクラとエドヒガンの種間雑種。花は4月と10月頃の年2回開花する。春の方が花は大きい。秋から春にかけて咲くコヒガンの中で八重咲きのものを十月桜として分類する。
  • 9.アーコレード
     イギリスにおいてベニヤマザクラとコヒガンの交配により作出された品種である。花びらはハート形で可愛らしい花である。葉は花よりやや遅れて芽を出す。
  • 10.越の彼岸(コシノヒガン)
     エドヒガンとキンキマメザクラが関与したと考えられる交雑品の総称で、野生状態で両者が分布する富山県城端町の自生地は県の天然記念物に指定されている。花がソメイヨシノに似た大型で美しい1系統が近年各地で植えられている。
  • 11.神代曙(ジンダイアケボノ)
     ソメイヨシノ系の桜である。原木は神代植物公園にある。開花時期は染井吉野(ソメイヨシノ)よりもやや早い。染井吉野(ソメイヨシノ)と比べると花はやや小さく、ピンク色が濃い。特に花弁の縁の色が濃く、グラデーションが美しい。
  • 12.冬桜(フユザクラ)
     オオシマザクラとマメザクラの種間雑種。別名を「小葉桜」とも呼び江戸後期から栽培されている。晩秋から春に多くの花が開花する二季咲き性で、暖地では冬の間でも花が咲き続ける。だから「不断桜」「寒桜」とも呼ばれている。花は満開を過ぎると紅色を帯びる。
  • 13.陽光(ヨウコウ)
     広義のソメイヨシノの一品種・天城吉野(アマギヨシノ)と寒緋桜(カンヒザクラ)と交配して作られた栽培品種。ソメイヨシノの開花期に大輪で紅色の花が多数咲き華やかである。故に各地の公園に植えられている。
  • 14.プリンセス雅・・・ヒヨドリは、この花の蜜が好きらしく、群がっていた。
  • 皇太子妃「雅子様」ご成婚記念として、埼玉県の大崎で発見された新種の桜の木を「プリンセス雅」と名称登録したものである。中心に星型に見える模様があり、濃いピンク色の一重の桜である。
  • 15.大島桜(オオシマザクラ)
     関東南部の暖温帯に分布。樹高は20m以上にもなる。緑の葉も白い花も大きく、その対比が美しい。葉は厚く、毛がない点が食用に適しているので、桜餅を包むための塩漬けに加工される。花と同時に伸びる若芽が緑色であることからヤマザクラと区別できる。
  • 16.河津桜(カワヅザクラ)
     カンヒザクラとオオシマザクラの種間雑種。早咲き品種の中では花が大きく華麗。若葉の伸び具合は気象条件で変わる。静岡県河津町では、原木から増殖した8000本以上も植栽され、早春の観光資源となっている。
  • 17.白妙(シロタエ)
     サトザクラの栽培品種。純白色で大輪の八重咲きで美しい。花弁は11枚~20枚ほど。葉の展開に先立って花を咲かせる。
  • 18.手弱女(タオヤメ)
     サトザクラの栽培品種。京都の平野神社境内にあるサクラの八重咲き。花弁は円形または卵形の淡紅色で、萼筒は紅紫色の鐘形で、しわが良く目立つ。若芽も紅紫色で花よりやや遅れて伸びる。果実は少し苦味がある。
  • 19.思川(オモイカワ)
     栃木県小山市原産のサクラ。花はピンク色で、1花序に3個以上と多数つき、横に伸びた枝を覆うように咲く。ソメイヨシノと八重桜の中間の時期に淡いピンク色の花が可愛らしく近年急速に普及している。
  • 20.車駐(クルマドメ)
     ソメイヨシノを追い掛けるように咲き、花は白色、大輪、一重。タイハク、コマツナギとクルマドメは同一品種ではないかといわれている。
  • 21.松前早咲(マツマエハヤザキ)
  • 22.苔清水(コケシミズ)
  • 23.御車返し(ミクルマガエシ)
     サトザクラの栽培品種。車上の二人が一重か八重かを争って車を引き返したといういわれから名付けられ、「八重一重」とも呼ばれる。花は淡紅色で、丸く大きく質感も厚い。
24.小花八重大島(コバナヤエオオシマ) 25.薄重大島(ウスガサネオオシマ)
  • 26.楊貴妃(ヨウキヒ)
     昔,奈良地方にあった桜で,つぼみは濃紅色であるが,開花時には淡紅色となり,花色も優れ豊満なので,中国の楊貴妃を連想して名付けられた。
  • 27.望月桜(モチヅキザクラ)
  • 28.雪洞(ボンボリ)
  • 29.山桜(ヤマザクラ)
     北関東から中部地方以南の温暖な地域を好み、西日本で最も一般的な野生のサクラ。白い花と同時に開く赤みの強い若葉が美しく、古来より詩歌に多く取り上げられている。
  • 30.高砂(タカサゴ)
     チョウジザクラとオオシマザクラ系の里桜との雑種と言われている。ナデン、ムシャザクラとも呼ばれている。淡紅色の八重の花が咲き、葉は多毛。
  • 31.長州緋桜(チョウシュウヒザクラ)
     サトザクラの栽培品種。濃紅色の半八重状の花を開き、緋桜の名にふさわしい風情がある。花柄が短いことや丸く大きな花弁は紅紫色であることなどオオヤマザクラの形質が見られる。若芽の色は紫褐色で花に遅れて伸びる。
  • 32.白雪(シラユキ)
     カスミザクラ系の園芸品種。純白の大きな花が良く目立つ。若芽は褐色で花より遅れて伸びてくる。
  • 33.八重紫桜(ヤエムラサキザクラ)
     花は大輪、八重咲きで淡紫紅色。名のとおり、紫味を帯びた花色で美しい桜。三好学が東京の小石川植物園で紫桜の種子を播いたところ、八重咲きのものが生じたので八重紫桜と名づけたといわれている。
  • 34.仙台屋(センダイヤ)
     赤茶色の葉が花と同時に開きヤマザクラに似るが、花色が濃く、オオヤマザクラのような紅色の花をもつ。ヤマザクラとオオヤマザクラの種間雑種とも言われている。原木は高知市の仙台屋という店にあったことから、その名がついた。
  • 35.佐野桜(サノザクラ)
     佐野藤右衛門氏がヤマザクラの実生1万本から選抜された八重咲きのヤマザクラ。花弁は12~15枚で八重の中では清楚な趣がある。
  • 36.衣通姫(ソトオリヒメ)
  • 37.大提灯(オオチョウチン)
  • 38.衣笠(キヌガサ)
  • 39.ランラン
  • 40.松前紅緋衣(マツマエベニヒゴロモ)
  • 41.ホクサイ
  • 42.枝垂山桜(シダレヤマザクラ) 
     ヤマザクラあるいはオオシマザクラの形質は見られるが、枝垂桜のようなエドヒガンの形質は見られない。仙台枝垂、山桜枝垂、普賢枝垂、吉野枝垂などと呼ばれるものは全て同じ品種だと考えられる。
  • 43.ソメイヨシノ(栽培種)
     葉が出る前に花が開き、木全体が花に包まれたように圧倒するほど大量の花を咲かせる。花は白に近い薄いピンク色で、花びらが柔らかい。かつてサクラと言えばヤマザクラを指していたが、戦後はソメイヨシノをイメージするようになった。この品種は、若木のうちから花がつき、生長が早く、学校・公園・街路など新たに植えるサクラのほとんどがソメイヨシノになったからである。
     エドヒガン系統の花が葉より先に咲く性質とオオシマザクラの大きくて整った花形を併せ持った品種と言われている。欠点は、寿命が最大100年程度と短く、病虫害に弱いこと。ソメイヨシノの樹皮を煎じて飲めば咳止めにきき、副作用もないという。
参 考 文 献
  • 「桜の雑学辞典」(井筒清次、日本実業出版社)
  • 「フィールドベスト図鑑 日本の桜」(勝木俊雄、学研)
  • 「桜と日本人ノート」(安藤 潔、文芸社)
  • 「さくら百花事典」(婦人画報社)
  • 「サクラハンドブック」(大原隆明、文一総合出版)
  • 「桜が創った日本」(佐藤俊樹、岩波新書)

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