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北国の春を彩るサクラPart3

サクラ図鑑その2・・・日本国花苑で撮影したサクラNO.44~NO.65、その他のサクラ
  • サクラの名所の主役・ソメイヨシノの花が終わると、八重咲き系のサクラが咲き始める。2014年5月7日、日本国花苑の八重咲き系のサクラは満開で、実に豪華で美しい。ここに掲載するサクラの品種名は、全て日本国花苑のサクラに吊るされた名札による。
  • サクラは室町時代から品種改良が行われ、主に接ぎ木によるクローン増殖により継代保存されてきた。長い歴史の中では、取り違えなども起こったと考えられるが、花や葉などの外部形態による観察のみでは正確な識別は困難であった。現在は、DNAマーカーによる精度の高いクローン識別技術が開発され、栽培品種を正しく整理することができるようになったという。
  • 44.普賢象(フゲンゾウ)
     室町時代からある代表的な里桜。別名を普賢堂ともいう。豊麗で優美な八重桜。花が八重咲きで比較的大型、色が淡い特徴があるが、ハナガサやイチョウ、ショウゲツと似ており混同されやすい。花と同時に茶色い若葉が開く。品種名は、葉に変化した2本の雌しべから普賢菩薩が乗る白象を連想することによるといわれる。
  • 45.関山(カンザン)
     赤みの強い豪華な花と若葉が同時に開く。八重咲きのサクラと言えばこの品種を連想する人が多い。小花柄は太くて垂れ下がらない。開きかけの花は塩漬けに加工し、桜湯の原料とされる。
  • 46.花笠(ハナガサ)
     大輪で塊状に咲き、淡い紅色をした八重咲きの大輪である。満開時は花笠がぶらさがっているように見える。北海道の松前で育成された桜で、別名を松前花笠(マツマエハナガサ)ともいう。福禄寿(フクロクジュ)の実生苗から育成・選抜された品種である。名前の由来は、葉化した雌しべが花の外に突き出ている様子が「花笠」に似ているから。
  • 47.紅笠(ベニガサ)
     花は大輪で八重咲きで淡紅~白。幾重にも重なった花びらが豪華な花。他の桜が散る頃満開になる。蕾の時の方がピンクが濃く、咲き始めから次第に白っぽくなる。花の外側が紅色に染まるため、この名が付けられた。北海道の浅利政俊が糸括と里桜の自然交雑によって得られた実生苗から1963年に選抜した 美しい八重桜。
  • 48.鬱金(ウコン)
     サクラとしては珍しい淡い黄緑色の花が咲くことで有名な栽培品種で、全国で栽培され海外でも人気が高い。花は咲き進むと紅色を帯びる。花と同時に開く若葉は茶色みが強い。品種名は、この花色を骨董品を包むことで有名なウコン染めの布の色に見立てたといわれる。
  • 49.松月(ショウゲツ)
     長い柄の先に垂れて咲く大輪の八重サクラ。色が淡いという特徴があり、カーネーションの花を連想させる。また、イチヨウやフゲンソウとも似ており、しばしば混同される。かつては桜湯の原料としても栽培されていた。
  • 50.一葉(イチョウ)
     花は淡いピンク色で中心は白色に近く、うねりがあるが平らに開く。小花柄は長さが25mm以上で垂れ、花時に茶色みのある若葉が伸びる。品種名は、雌しべが1本で下部が葉に変化する花が多いことによる。花が大きな八重咲き品種中では花期が早い。
     花色が淡いフゲンゾウやショウゲツ、花色がやや濃いヤエベニトラノオなどのエド系品種と間違えることがある。
  • 51.ハナカイドウ・・・中国原産。春に淡紅色の花を長い柄の先に垂れ下げてつける。
  • 52.御衣黄(ギョイコウ)
     花の形や若葉の色は、ウコンと似ている。花弁に緑色の筋が入る珍奇な花色で有名な栽培品種。品種名は、この花色を貴人が着用する衣服の色に見立てたものといわれる。古くから栽培され、シーボルトが持ち帰った江戸時代の標本も現存するという。
  • 53.天の川(アマノカワ)
     上に向かって垂直に枝が立ち、花も上向きに咲くため、この名がついた。淡紅色の八重咲き。まるで桜の滝のごとく美しい。 横に枝が張らないので、場所を取らず、狭い場所でも楽しめる。古くから切花として用いられている。  
  • 54.永源寺(エイゲンジ)
     滋賀県の永源寺境内にあった里桜である。花は大輪、八重咲きで、白に近い淡い紅色の花が垂れて咲く。
  • 55.紅華(コウカ)
     関山と似た品種で混同されやすい。八重咲きの大輪で、花期が長く赤く咲き続ける。花冠の形からこの名がつけられた。葉の葉脈は濃紅色に染まる。花弁は縁が内側に巻き込む。雄しべはごく短く4mm程度。小花柄は細く、下向きに垂れ下がる。
  • 56.手毬(テマリ)
     サトザクラ系の中輪、八重咲きで花弁は15~20枚。長い枝の先に咲く花が満開時は球状に見えることから、この名がついた。
  • 57.オシドリザクラ
     淡紅色で八重咲き大輪の花を咲かせる。豆桜(マメザクラ)と他のサトザクラとの雑種ではないかと推定されている。富士山麓の御殿場市の農家にあった桜である。和名の由来は、雌しべが2本ある花が多いことからきている。葉の展開と同時に花をさかせる。花は大輪、八重咲きで、淡い紅色。花弁数は20枚から50枚。
  • 58.市原虎の尾(イチハラトラノオ)
     花は中輪、八重咲きで白色。ヤマザクラの園芸品種。京都市左京区の市原にあった桜で長く伸びた枝に花が密生し、虎の尾の様にみえることから名付けられたといわれている。
  • 59.福禄寿(フクロクジュ)
     明治期に荒川堤から広まったいわれている品種。太い枝に豊かに花がつき、その名にふさわしい趣がある。淡い紅色をした八重咲きの大輪。花弁の縁が濃いピンク色でフリルのように波打ちボリューム満点の桜である。葉の展開と同時に花を咲かせる。 
  • 60.八重紅虎の尾(ヤエベニトラノオ)
     昔から京都で栽培されていた品種で、花が枝に密集してつく様子を「虎の尾」にたとえたのが名の由来である。花は淡い紅色をした八重咲きの大輪で、花弁数は16枚から30枚である。葉は楕円形で、互い違いに生える。葉の先は尖り、縁にはぎざぎざ(鋸歯)がある。 
  • 61.松前花染衣(マツマエハナゾメイ)
     花は大輪、八重咲きで、淡い紅色。花弁には細かい皺があり、外側の花弁ほど色が濃い。葉の展開した後に花を咲かせる。原木は北海道松前町の松前公園にある。ヤマザクラ系のヒグラシと福禄寿を交配させて作出された。単に花染衣(ハナゾメイ)とも呼ばれる。
  • 62.琴平(コトヒラ)
     小輪で、はじめ微淡紅色、後に白色になり楕円形の花弁には切れ込みがあるのが特徴。香川県琴平町に原木がある。香川県琴平町の金刀比羅宮にあった原木から、1928年に佐野藤右衛門が、接ぎ木によって繁殖栽培したもの。
  • 63.雨宿(アマヤドリ)
     大輪・八重の白、または淡紅色の花を長い花柄から垂れ下がるように咲かせるオオシマザクラ(大島桜)系のサトザクラ(里桜)。名前は、開花とともに、花柄が伸びて葉陰に垂れて咲く感じが雨をよけているように見えるから。
  • 花が散った雨宿(アマヤドリ)・・・大輪・八重の淡紅色の花が散った林床は美しい
  • 64.紅玉錦(ベニタマニシキ)
  • 65.紅時雨(ベニシグレ)
その他のサクラ
  • 1.大山桜(オオヤマザクラ、白神山地)
     北海道、本州、四国に分布。特に北海道、東北を代表する野生のサクラである。花や同時に開く若葉は、赤みが強いのでベニヤマザクラとも呼ばれている。枝は上向きに伸び上がる傾向が強い。 
  • 2.霞桜(カスミザクラ、大仙市)
     北海道から九州まで分布するが、日本海側や冷涼な地域に多い傾向がある。ソメイヨシノより1週間以上遅れて、白い花と緑~茶色の若葉が同時に開く。新緑の中にたなびく霞のように咲く。一見ヤマザクラに似ているが、葉の裏に白味がなく花期も遅く、幹の色も赤褐色ではなく灰褐色。
  • 3.タカネザクラ(ミネザクラ、森吉山)
     奈良県以北の亜高山帯に分布し、ミネザクラと.も呼ばれる。日本のサクラの中では最も標高の高い所に咲く。6月~7月、花と若葉が同時に開く。登山でよく見掛ける山のサクラである。
  • 4.ウワミズザクラ(太平山系)
     白く小さな花が穂状につき、とてもサクラの仲間とは思えないが、これもサクラの仲間。
  • 5.サクランボ(湯沢市三関)
     バラ科サクラ属サクラ亜属の果樹であるミザクラ(実桜)の果実。木を桜桃、果実をサクランボと呼び分ける場合もある。花を鑑賞する品種のサクラでは、実は大きくならない。オウトウの花は白く、桜は観賞用として交配を重ね、ややピンク色がかっているものが多い。
  • サクラの季節が終わると、サクランボが出回る。原産はヨーロッパ及び小アジアで、わが国には明治7、8年頃移植された。最も多い品種が「佐藤錦」で、これはナポレオンと黄玉を交配したものである。
  • 桜ばな いのちいっぱい 咲くからに 生命をかけて わが眺めたり(岡本かの子)
  • 死に支度 いたせいたせと 桜かな(一茶)
  • 雲をゆく 一かたまりの 花吹雪(高野素十)
参 考 文 献
  • 「桜の雑学辞典」(井筒清次、日本実業出版社)
  • 「フィールドベスト図鑑 日本の桜」(勝木俊雄、学研)
  • 「桜と日本人ノート」(安藤 潔、文芸社)
  • 「さくら百花事典」(婦人画報社)
  • 「サクラハンドブック」(大原隆明、文一総合出版)
  • 「桜が創った日本」(佐藤俊樹、岩波新書)
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