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白神山麓にブナを植え、ブナについて学ぼう!

 2019年10月6日(日)、森の学校「フォレスターに学ぶ 白神山麓にブナを植え、ブナに学ぼう!」が、八峰町八森のナメトコ沢で開催された。NPO法人白神ネイチャー協会恒例の「白神の森にブナを植える」イベントに参加。今回の参加者は215名、植樹本数500本。うち第9班として参加した森の学校参加者は24名。秋晴れの下、皆で力を合わせてブナの植樹に汗を流すとともに、世界自然遺産白神山地周辺部で「山の森」を復元し「海の森」を再生させる取り組みなどについて学んだ。
  • 世界自然遺産白神山地・・・平成5年(1993年)12月、屋久島とともに世界自然遺産に登録された。その登録理由は、「人の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が世界最大級の規模で分布」し、その普遍的な価値が世界的に貴重なものとして認められたからである。(写真:真瀬川源頭の県境稜線から向白神岳方向を望む)
  • 世界自然遺産地域の面積は、核心地域が約1万ha、その周辺部の緩衝地域が約7千ha、合計約1万7千ha。
  • 二ツ森(1,086m)から、青森県側を望む・・・二ツ森山頂は、秋田・青森に広がる世界自然遺産地域を360度俯瞰できる最高の場所である。しかも、青秋林道終点からわずか50分程度で登れる初心者コース。奥の白い峰は主峰・白神岳(1232m)、最高峰・向白神岳(1243m)などの山々が連なる。 
  • 白神山地は豪雪地帯(写真:白神山地白滝沢、6月上旬撮影)・・・初夏になっても、白神山地最大の滝「白滝」が雪に埋もれるほど雪が深い。
  • 世界自然遺産核心地域のブナ原生林(追良瀬川源流部)・・・ブナは、「雪の申し子」と呼ばれるとおり、豪雪地帯でブナの極相林を見ることができる。その代表が世界自然遺産に登録された白神山地のブナ林である。
  • 美しき水の恵み・・・上の写真は、世界自然遺産核心部のツツミ沢「苔生す清冽な流れ」。ブナの森は「緑のダム」+「雪ダム」効果によって、年間涸れることのない豊かな水の恵みが最大の特徴である。その美しき水は、多様な水生昆虫やそれをエサとするサケ科魚類、鳥類などを育みながら、田んぼを潤し、海に注いで、魚類や海藻類、ハタハタが産卵する藻場にも滋養分を与える。(写真:追良瀬川源流ツツミ沢)
  • 生物多様性の宝庫・・・動物では、ツキノワグマやニホンザル、ニホンカモシカなど中大型ほ乳類14種。鳥類では、天然記念物のクマゲラやイヌワシなど94種。植物は、固有植のアオモリマンテマや「白神」の名を冠したシラガミクワガタ、ツガルミセバヤなど、540種以上が確認されている。このように白神山地のブナ林は、ヨーロッパのブナ林に比べ、5~6倍も植物の種類が多いと言われている。生物の多様性という点でも群を抜いている。
  • 詳細は「樹木シリーズ⑰ ブナ」、「世界自然遺産・白神山地」、「岳岱自然観察教育林」を参照
  • 受付・開会式・・・あきた白神体験センターで行われた。
  • NPO法人白神ネイチャー協会辻正英会長あいさつ・・・八峰町には、二つの二ッ森があります。一つは世界自然遺産に登録された白神山地を一望できる二ッ森。もう一つは、ハタハタの漁場である海の二ッ森です。その「山の森」と「海の森」をつなぐ「二ッ森づくり」をはじめて、今年でちょうど20回目となります・・・森のという漢字は、木が3つ集まってできています。だから、一人で3本の苗木を植えてください。
  • 来賓代表:森田新一郎八峰町長あいさつ 
  • 植樹のやり方と注意点について説明 
  • 苗木の養成・・・植樹用のブナの苗木を養成する場所は、会の活動拠点「ふなっこランド」。ブナの実から発芽させ、ポットに植え替え、3~5年になってから植樹する。今回は4年の苗木が使われた。
  • ブナの植樹は、秋田県水と緑の森づくり税(森林ボランティア活動支援事業)を活用して実施・・・20年間で植栽された本数は、約1万5千本。
  • 植樹会場のナメトコ沢(八森字水の目)・・・当初は、二ッ森登山口へ向かう青秋林道沿いなどで植樹を行ってきたが、2004年から町有林スギ伐採地の「ナメトコ沢」で実施している。植栽してから15年経過したブナは、大きく生長している。
  • バス9台に分乗し、ナメトコ沢に向かう。駐車場から歩いて10分ほどのスギ伐採地跡が植樹会場。
  • 第9班「森の学校」植栽地
  • 唐鍬を振り下ろして、ポット苗がすっぽり入る大きさの穴を掘る。 
  • 穴にポット苗を植えこむ。深植えはせず、根際を地面の高さにするように植えこむ。土の中の空気を抜く感じで、外側を踏み固める。土をかけて再度踏み固める。
  • 杭の設置・・・下刈り時に間違えて伐られないように杭を設置。その位置は、斜面より上側で、苗木より15cm以内に設置する。 
  • 植栽記念・・・設置した杭に、メッセージや名前などを自由に書き込む。
  • 植樹風景 
  • 主催者提供の「つみれ鍋」と持参したオニギリ、弁当で昼食・・・秋田県漁協北部総括支所女性部「ひより会」の皆さん手づくりの「つみれ鍋」 は、さすがに美味かった。ごちそうさまでした。
  • 閉会式
  • ノコンギク 
  • アキノキリンソウ 
  • リンドウ 
  • ヌルデハイボケフシ(虫こぶ) 
  • エゾアジサイ
  • ヤマウルシ
  • ヌルデシロアブラムシ(五倍子)・・・ヌルデシロアブラムシという虫がヌルデの葉に寄生すると、それに対する防衛反応で、不規則で大きなこぶを作る。中は空洞になっていて、ヌルデシロアブラムシが入っている。10月初旬、幼虫が脱出する前に採取して乾燥させたものを「五倍子」と呼ぶ。染料や写真現像液のピロガノール、インク、白髪染めに用いられた。
  • 森の学校植樹記念撮影・・・「森は海の恋人」という言葉を実感する植樹体験であった。ご協力いただいた白神ネイチャー協会の皆さん、お忙しい中、ご指導いただき、ありがとうございました。