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緑の遺産⑤ 世界自然遺産白神山地の森

岳岱自然観察教育林

  • 岳岱自然観察教育林は、世界自然遺産・白神山地の原生的なブナ林の雰囲気を気軽に味わえる希少な森である。ブナと苔むした巨岩、大小の転石との調和は、数ある自然庭園の中でも傑出している。「森林浴」で心身ともにリフレッシュしたいなら、世界に冠たるブナのグリーンシャワーに勝るものはないであろう。
     また、ブナの実生から稚幼樹、幼木、成木、老木に至る生育過程がよく観察でき、林内の歩道、案内板等も整備され、自然観察会などによく活用されている。 特に新緑と黄葉の季節がオススメ。
  • 岳岱自然観察教育林MAP
    1. 標高620m、面積約12ha
    2. コース 駐車場多目的展示施設湧水モリアオガエルの池400年ブナ駐車場
       コース一周1.8km、所要時間約50分
    3. アクセス 大館能代空港から車で約80分、藤里町・白神山地世界遺産センター(藤里館)から車で約40分。利用期間は5月下旬~11月中旬。
    4. お問い合わせ先
      藤里町商工観光課商工観光係 電話0185-79-2115
      白神山地世界遺産センター 藤里館 電話0185-79-3001
      東北森林管理局/藤里森林生態系保全センター 電話0185-79-1003
▲トイレ、駐車場(20台、無料)、案内看板完備
  • 岳岱の山開きは例年5月の最終週となるが、積雪が多い年は6月にずれこむ場合もある。新緑を楽しむなら6月、黄葉は10月下旬となる。11月中旬までは入山できるが、それ以降は通行止めとなるので注意。
  • ウッドチップで舗装され、400年ブナと多目的展示施設(右写真)までは車イスでも利用可能。
  • 岳岱自然観察教育林は、ブナを主とする冷温帯落葉広葉樹林の極林に近い林相を呈している。ここは、昭和48年度レクレーションの森「岳岱風景林」に指定された後、平成4年4月現在の名前「自然観察教育林」に変更された。ブナの巨木やイタヤカエデ、ヤチダモ、ホオノキ、サワグルミの大木を間近で観ることができる。
  • 太古の息吹を感じさせる自然庭園
     奥に進むにつれて、苔むした巨岩と巨樹の風景に変わってくる。この台地一帯には、藤里駒ヶ岳の噴火によると考えられる大きな岩が至る所に見られる。その岩は、苔や地衣類などに覆われ、その上に、ブナなどの発芽を見ることができる。これらは長い年月を経て岩石を抱きかかえるほどに成長しブナの大木が随所に見られる。
  • 森を見上げれば、萌え出たばかりのブナの若葉が逆光に透けて、眩しいほどの輝きを放つ。
  • ブナ(ブナ科)落葉高木・・・北海道~九州の山地に分布し、日本の温帯林を代表する樹種。高さは25mにも達する。樹皮は堅く灰白色で平滑、葉は互生し、長さ5~8cm、やや厚く縁には波状鋸歯がある。5月頃、黄色い花をつける。実は秋に熟しソバクリと呼ばれるほど美味しい。しかし、豊年は通常5~7年に1回程度しかない。材は耐久性に乏しいが、加工技術の進歩で家具材などに利用されている。
  • ブナの実
  • 岳岱風景林(昭和48年指定)の碑文・・・森の中に居座る大岩の碑には、次のように記されている。
    「岳岱風景林 黄金の光のごとく こぼれいる ブナの木立の 新緑を拾う
  • 苔むすブナが苔むす岩を抱く
     分厚い苔に覆われたブナの足が、まるでタコの足のように四方八方に根を張り巡らしている。このブナの森の特徴は、ほとんど根元が苔に覆われている点である。乾いた森ではなく、いかに湿った感じの森であるかが分かる。
     見上げては、ブナの偉大さに平伏し、見下ろせば、岩にしっかり巻き付いたタコのような足に驚嘆した。神木という言葉があるとおり、白神のブナの森は、やっぱり「神が宿る森」である。
  • モリアオガエルの池・・・白いアケビ状の卵塊はクロサンショウウオの卵。木道沿いにあるモリアオガエルの池では、木の枝先に産卵されているモリアオガエルの卵塊やクロサンショウウオの卵などをみることができる。
  • 白神のシンボル「400年ブナ
     ブナの寿命は300年前後と言われているが、それを遥かに超える老木で、通称「400年ブナ」と呼ばれている。幹周り485cm、樹高26m。「白神のシンボル」として「森の巨人たち百選」に選定されている。
  • 岳岱で観察できる動物・・・ニホンカモシカ、ニホンザル、モリアオガエル、クロサンショウウオ、エゾハルゼミなど
  • 岳岱で観察できる植物・・・スミレサイシン、タケシマラン、エンレイソウ、ギンリョウソウ、エゾアジサイ、サンカヨウ、ツルアジサイ、ユキザサ、シラネアオイ、ムラサキヤシオ、ヤチダモ、キハダ、オヒョウなどが見られる。
  • 10月下旬、ブナの森は、艶やかな黄色から茶褐色へと見事なグラーデーションで彩る。燃え尽きる直前の美の極致は、いつ見ても美わしい。
  • 美しい錦繍に彩られた岳岱自然観察教育林(10月下旬)
  • ブナの森の林床は、まるで分厚い落葉のジュウタン
     腐葉土は、枯葉から7~8年かかってできる。そのスポンジのように分厚い腐葉土は、水をたっぷり含み「緑のダム」の役割を果たしている。さらに雨の少ない乾燥期には、上の落葉が蓋のような役割を果たし、深く沁み込んだ水を逃さず蓄える。また虫や微生物の棲家にもなっている。
     登山靴一つの足にトビムシ類は1000匹もいるという。この虫たちが、落葉を分解し、自然にかえす働きをしている。森は、まさにリサイクルの精密工場のような働きをしている。
  • ちょっと寄り道①・・・「田苗代湿原」 面積約19ha
     岳岱自然観察教育林から黒石林道終点、藤里駒ヶ岳(標高1,158m)の登山道入口までわずか3.4km。ここから徒歩15分程度で湿原に達する。ミズバショウやショウョウバカマ、ニッコウキスゲなど湿原に咲く高山植物を見ることができる。
     駒ヶ岳は、古くから信仰の山で、山頂には女神がすみ、田苗代湿原は「神様の田」と言われている。昔から岳参りをしてその年の豊凶を占ったという。
  • ちょっと寄り道②・・・釣瓶落峠
     藤里町と西目屋村の県境の峠を釣瓶落峠と呼ぶ。トンネルができる前は、鎖を使い急な崖を200mも上り下りしなければ通行できなかった険しい峠であった。そのため、井戸の「釣瓶落とし」から名付けられた。この峠から見える桧原沢の右岸は、白い崖の山肌と谷間に紅葉した広葉樹、ヒバなどの針葉樹の濃い緑が見事なコントラストをみせる絶景ポイントである。

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