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大内沢山村広場、間伐の効果、樹高56m、コブ杉、国立科学博物館展示抜根、精英樹、県の木、八木沢
 森の巨人たち百選「コブ杉」が鎮座する森に足を踏み入れると・・・「かつて秋田の森は、こんな凄い天然スギの巨木に覆われていたのか」と、改めて驚かされる。事実、大正から昭和初期の頃、能代市二ツ井町七座山から上小阿仁村にかけての一帯は、樹高40mを超える天然秋田スギに覆われていたという。

 この森の最大の特徴は、面積は小さいものの、起伏の少ない台地に天然秋田スギの巨木が天を突き刺すように林立し、イタヤカエデなどの広葉樹が混じり合うなど天然林の状態が保たれているので、思わず写真をバシャバシャ撮りたくなるほど美しい点である。その森は、手付かずの森ではなく、これまで調査のために2回ほど間伐することによって形成された美林であるという点を見逃してはならないだろう。
位置図・散策ルート(上小阿仁村「コブ杉」パンフレットより)

 山村広場駐車場森林浴遊歩道3自然観察教育林東屋コブ杉国立科学博物館に展示されている天然秋田スギの抜根林間歩道3林間歩道4山村広場駐車場

アクセス

JR鷹巣駅から車で45分
大館能代空港から車で30分
秋田自動車道五城目・八郎潟ICから車で35分

お問い合わせ

米代東部森林管理署 上小阿仁支署 電話:0186(77)2422
上小阿仁村役場 産業課 林務商工班 電話:0186(77)2223
 上小阿仁村大林集落から三種町に至る県道37号線方向に向かい、大内沢沿いの道路分岐点の右手に「コブ杉」の看板がある。そこを右折し、車で5分ほど走ると、大内沢山村広場の駐車場に着く。
▲大内沢山村広場の看板と、その奥にトイレがある。

 案内看板を見て現在地とコブ杉のある位置を確認し、森林浴遊歩道3に向かう。入口に「クマに注意」の看板がある。クマ避け鈴は必携なので注意。
▲遊歩道3

 遊歩道3を歩き、手すり付きの階段を上ると、「コブ杉」の看板に従って右の遊歩道へ進む。入口から10分ほど歩けば、美しい天然秋田スギが林立する台地に出る。  
天然林収穫試験地及び自然観察教育林指定

 大内沢の天然秋田スギ林は、スギ天然林の構造と成長に関する調査研究のため、大正13年、天然林収穫試験地として設定された。この天然林は、これまで2回間伐が行われ、昭和61年まで定期的に調査が行われた。

 その後、天然秋田スギの美林保存と、村民の憩いの場、森林環境教育の場として活用するため、昭和63年、「自然観察教育林」に指定された。 
天然秋田スギと間伐の効果

 調査結果によれば、林齢が150年を超えた後に2回の間伐が行われたが、間伐後は、ほとんどのスギが年間の断面積成長量が増加・・・150年以上のスギでも間伐効果があることが明らかになった。また、現在のスギ人工林を数百年単位の美林に育てるためにも、間伐は重要な意味を持つことが科学的に実証された。

 面積3.85haに、約700本の天然スギがあり、蓄積は7千m3を超えている。ha当たりに換算すれば、材積は1,891m3で、日本の天然林の中でも高い蓄積を誇る。樹齢は250年前後、平均樹高は43m、樹高が50mを超えるものも50個体以上ある。
林内最大の樹高56m(胸高直径222cm、幹材積65.1m3)

 林内でもっとも高い杉は、日本一の高さを誇る「きみまち杉」の58mに匹敵する56mで、このほかにも樹齢250年を超える天然秋田杉が約700本もそびえ立っている。その神々しい巨木たちは、訪問者を圧倒するような存在感がある。

 いずれの巨木も、天高く真っ直ぐに伸び、神の依代として最適な森である。だから、「きみまち杉」の天然林と同様、神が宿るパワースポットと言えるであろう。
 天然秋田スギが林立する並木道を進み、窪地に仁王立ちしている林内最大の樹高を誇る巨樹を過ぎると、正面に東屋が見えてくる。カメラマンにとっては魅力的な被写体が次々と現れる。この左側、看板の奥に・・・一際神秘的な「コブ杉」が姿を現す。
▲天然秋田スギの巨木が林立する広場。「上大内沢自然観察教育林」の概要を記した看板の奥に「コブ杉」が見える。
森の巨人たち百選「コブ杉」

 「コブ杉」は、平成12年、「森の巨人たち百選」に選定されている。コブ杉は、高さや太さではなく、コブの周囲が6.6mもある「巨大なコブ」が最大の特徴である。周囲は、鬱蒼としたスギの巨木が林立しているだけに、一際神秘的な雰囲気を漂わせている。
「コブ杉」基本データ

●直径:1.20m コブ最大幅2.2m
●幹周り:3.8m コブ最大周り6.6m
●樹高:40m 樹齢:200~300年(推定)
 案内看板や東屋、ベンチなどがあり、林内をゆっくり散策するには大変便利で快適である。上小阿仁村では平成6年度から遊歩道や休憩所などを整備し、自然観察教育林を含む一帯を山村広場として管理している。
国立科学博物館に展示されている天然秋田スギの抜根

 その看板の方向に歩き、斜面を下ると、屋根で保護された巨大な抜根があった。これは、平成16年、国立科学博物館新館の常設展示物として秋田スギを展示するため、伐採された抜根である。樹齢は255年、樹高48.6m、胸高直径136cm、材積24m3。
 国立科学博物館には、根元から先端までの輪切りの円板や、4mの丸太を幹の中心で縦割りにした板や伐採の様子などが展示されているという。このほかに、もう2本の天然秋田杉が伐採され、京都迎賓館の建設に利用されたという。これは、天然秋田スギが最高級の品質を誇る証であろう。
上大内沢天然秋田スギ「精英樹展示木」

 木が高く、太く、早く、素直に育ち、大きくなった時に木材としての利用価値が高くなるような特に優秀な遺伝子を持つ樹木を「精英樹」として選定している。この精英樹の名称は、「上小阿仁101号」と命名され、東北地方の森林造成に貢献している。

 また、スギの花粉症対策として秋田県森林技術センターでは、上小阿仁107号や秋田103号などの精英樹から少花粉スギの品種7種を開発。全国に先駆けて少花粉スギミニチュア採取園をつくり、短期間で優良種子を生産し、速やかな普及をめざしている。
▲林間歩道3沿いの天然林
▲樹高50mを超える巨木の指標 ▲林間歩道沿いにあるベンチ
▲山村広場の休憩施設 ▲大内沢のスギ人工林

秋田県のスギ人工林面積、蓄積量とも全国一

 秋田県のスギ人工林の面積は、約37万haと県土のほぼ1/3を占め、「人工林のほとんどはスギ」と言われるほど、面積、蓄積量ともに全国一を誇る。
▲林間歩道4沿いの天然林

「秋田スギ」は、昭和41年(1966)、公募によって秋田県の木と決められた。
山の神祭り(写真・文・・・能代市二ツ井町歴史資料館)

 山仕事は、常に危険が伴っていた。杣子たちは初めて山で仕事をする時は、近くに山神をまつり、作業の無事故・安全を祈願した。これが山の神祭りで、矢立て祭りとも呼ばれていた。
 山神は、古木や岩などに宿ると信じられており、小屋の上流にそのような信仰の場が定められた。そり前に建てる鳥居の材木は、全て一本の立木からとることなどが事細かに決められていた。
ちょっと寄り道「KAMIKOANIプロジェクト秋田」
 プロジェクトの主要舞台になっている八木沢集落は、文化元年(1814)年、マタギ発祥の地と言われる北秋田市阿仁町根子から分村したマタギ集落であった。昭和40年には、戸数54戸、人口349名の大きな集落であったが、現在は8戸、20人まで減少している。

 道路沿いの約6haの棚田は、20年ほど前から水稲の作付けが行われていない。また、伝統的な八木沢番楽も途絶えて久しかった。それが一変したのは、2009年11月、秋田県初の地域おこし協力隊員2名が来村してからである。八木沢番楽の復活、休耕田の再生、高齢者の生活支援、そして2012年から「KAMIKOANIプロジェクト秋田」がスタート。今、最も注目される村になった。

位置図 google地図
 
 2014年には、国民文化祭が秋田で開催される。上小阿仁村では、引き続き「KAMIKOANIプロジェクト秋田」を、平成26年10月4日(土)~10月13日(月・祝)に開催する予定である。

八木沢地域イラストマップ
周辺関連情報 KAMIKOANI PROJECT AKITA 2013
KAMIKOANIプロジェクトの主要舞台「上小阿仁村八木沢集落
第29回国民文化祭・あきた2014 KAMIKOANIプロジェクト秋田
参 考 文 献
「秋田スギと非皆伐施業」(武田英文ほか、秋田県林業改良普及協会)
コブ杉(天然秋田スギ)」(東北森林管理局)
東北の材木育種 No.195 2011.1」(林木育種推進東北地区協議会)